だが、そこに書いてある内容はあなどれないことが多い。他では話していない内容だったりするので、地団太を踏むこともある。過去のフリーペーパーを手に入れるのはそれほど難しいことでもない。オークションサイトに大量に出品されていたりする。タダのものは大量に持ち帰って、出品目的で保存している人もいるだろう。
しかし自分は、そもそもタダのものにお金を払いたくないのだ。よって、フリーペーパーに関して、自分はきっぱりと関係を断っている。収集の対象とはしていない。
だが、ここにあるTSUTAYA RECORDS Magazine 2007 Aprilは重要だ。これはTSUTAYAが日ごろの自分の行動範囲内にあったからたまたま持っている。「ロング・インタビュー YUI 天才シンガー・ソングライター現る!」だ。
特集名からしてただごとではない。今回改めて読み直してみて重要性を再認識した。「CAN'T BUY MY LOVE」リリース期のインタビューとして重要な箇所を以下引用
■ニュー・アルバム「CAN'T BUY MY LOVE」は、ロック志向が顕著ですよね?
ライヴを重ねるうち、エレキ(ギター)をかき鳴らす曲をもっと作りたくなったし、もっと歌いたくなったから、その気持ちの現れでしょうね。路上でやる場合は、アコギ中心でしたけど、前々からギター・ロックも好きだったんですよ。その意味では、自分のなかにもともとある引き出しをひとつ開け放ってあげられたかなと。■作曲はエレキで作る場合もありますか?
あります。アコギの弾き語り系の曲をエレキで作ることもあるから、エレキで作る=ロックとはかぎりませんけど。たとえば「Rolling star」はロックンロールだけど、アコギで作ったし。でも、アコギで作りながらも、頭のなかでは、エレキのディストーションサウンドが鳴っている場合もありますね。ドラムというかリズムが鮮明に聴こえている場合もあるし。今回のアルバムの「Happy Birthday to you you」がそう。あれは完全にリズムのイメージが先行でした。実は、去年のROCK IN JAPAN FES. で、すでに「Happy Birthday~」は歌ってるんですよ。まだ歌詞もついてなかったけど。リハーサルで試したら、あまりにも楽しかったので。スタッフの人たちからはYUI語と言われている嘘英語の歌詞のまま(笑)。その時点では、もっとストイックな歌詞をイメージしてましたけど。■その「Happy Birthday to you you」を始め、ラウド・サウンドの「How Crazy」にしてもベースがブンブン鳴っていますね。
ベースは確かに好きです。ベースラインがクッキリ出ているミックスも好みだし。当然、曲調との兼ね合いもありますけど。だけど、音楽を聴き始めた頃は、ベースがどうのとか、わかっていなかったと思いますよ(笑)。それでも無意識にそういう曲を好んでいましたね。1年前あたりかな、自分の音楽的趣味を自己分析できるようになったのは。ベースがこうなっているから好きなんだとか。そっか、自分はドラムのここが好きなんだとか。そういう発見が楽しいし、うれしいですね。発見しても、こっそり自分のなかの引き出しにしまっておくのもありますけど。今回のアルバムのロック志向にしても、もともと引き出しのなかにあったものだし。■そのロック志向のサウンドのなかでも、アコギがしっかり存在感をもって鳴っていますよね。たとえば「It's all right」とか。
アコギも好きだから。アコギかエレキか、ふたつにひとつじゃないし、両立できるものだと思うし。だから最終的には、アンサンブルですよね。この曲では、アコギを鳴らしたほうが、コード感がキレイに響くとか。必然性というのかな。■新発見や新しさに惹かれるのは、アーティストならではの性ですか。
うーん、アーティストのタイプによるんでしょうけど、変わりたい願望型と貫きたい願望型でいうと、私はその中間にいたいですね。中間とは、いろいろな音楽を吸収したいけど、新しいことを吸収しても、すぐそのままやりたいわけではないってことです。吸収したものは、いつか自然と出ると思うので。今回のアルバムでも、引き出しのなかのものが自然に出たし。「Umbrella」も、自然に引き出しのなかの要素が出た1曲で。かなり前に書いた曲だから、自分でもどうしてこういう懐かしさを感じる曲を書いたのか思い出せません(笑)。でも、どこか昭和の香りがしませんでしたか?■そう、昭和が香る曲でした。GSとか。
エレキをもっと前面に出そうかなとも思ったけど、この曲はあえて音の隙間を大切にしました。エレキギターだと、空間は埋まるけど、当たり前になっちゃうから。今回のアルバムのなかでは異色作ですね。先行シングルの「Rolling star」も含め、「I remember you」「CHE.R.RY」「Good-bye days」と、シングル曲が4曲収録されていますから。「Umbrella」みたいな癖の強い曲も、アルバム全体の流れからすると、必要だと思ったので。■歌詞についても質問させてください。「Winding road」や「How Crazy」での情景描写は小説的ですが、意識しましたか。
私のなかでは、小説的というより、むしろ映像的です。詞を書く時、映像が見えている場合が多いので。たとえば「Winding road」なら、夕方5時の渋谷、渋滞している風景だったり。「Umbrella」の♪ちゃぷ ちゃぷ、とかも。映像が浮かぶ言葉だし。あの言葉のハマリは、私のなかでも新鮮でしたね。ひとつの発見。レコーディングでは、そういう情景がはっきり伝わるよう、どの曲も集中して歌います。ただ、もしも小説的と思われたのなら、私の読書好きなところが歌詞にも無意識にでているのかもしれないですね。
■最近だと、どんな本をよみました?
今、読んでるのは大槻ケンヂさんの「リンダリンダラバーソール」。90年頃のバンドブーム時代とか、知らない時代の話だから新鮮で。今の自分の状況と重なったりもしますから。■でも、アルバム収録の「RUIDO」は、あのバンド・ブーム時代を彷彿とさせますよ。
そうですか(笑)。私自身もライブハウスに行きますから、ま、ある意味、短編ドキュメンタリー・フィルムみたいな歌ですよね。よく名前も知らないバンドのライヴでも観るし。路上ライヴでもチラシをもらって帰ったり。音楽が好きだから、単純に楽しいんですよ。刺激にもなるし。「RUIDO」の歌詞にも出てくるように、私もがんばるぞっと思えるし。東京中のバンドのライヴを観たいくらいです。■ライヴやレコーディング、曲作りなどの音楽活動以外に、読書とライヴハウス、1日24時間は足りないでしょ(笑)。
そうです。もっとDVDも観たいし。■お近くのTSUTAYAにぜひ。
行きますよ。時間がある時は。でも、3本借りたのに、結局1本観られなくて、返却ってこともあります(笑)。だから、1本ずつ借りようと反省します。■最近はどんなDVDを観ましたか。
ある雑誌の企画で松山ケンイチさんにお会いすることになったから、「DEATH NOTE」と「NANA」を。でも、映画館に行くのも好きです。行くと、キャラメル・ポップコーンとメロンソーダは欠かせませんね(笑)。スッゲェ胃に悪そうな組み合わせですけど。■映画と言えば「タイヨウのうた」主題歌「Good-bye days」も映像的作詞でしたか。
あの曲の場合は、私の頭のなかに映画館があるイメージでした。私がその客席に座ってて。で、脚本を読みながら、スクリーンの映像を想像しながら、映画の世界観を創っていくみたいな。そしてラスト・シーンで泣いちゃう。で、映画本編が終わり、エンドロールが流れているところで、私ならこういう音楽を聴きたいなと‥‥そういう曲を作りました。その点では、映像的ですよね。映画的なのかな。というか客観的かも。もうひとりの自分が自分の聴きたい曲を見つけて書いたような感覚なので。■ちなみに本誌編集部の平均30歳の編集者たちが「CHE.R.RY」の甘酸っぱい歌詞とメロディにヤラれてます(笑)。だから、YUIさんの歌は、同世代だけのものじゃないと。声を大にして言いたい。
ありがとうございます(笑)。レコード会社の地下スタジオで曲作りをしていたときに生まれた曲です。そのままアコギを持って、スタッフの人たちがいる上の階に行き、弾き語りで聴いてもらったんです。別にシングルにするとかじゃなくて。そうしたらすごく評判がよくて、いきなりシングルにしようよって言われて(笑)。■30代のみならず、40代のおやじ世代にもYUIファン急増中のようですが。
うれしいです。そういう話を聞くと、路上で歌っている頃にも、通りすがりの酔っ払いのおじちゃんに聴いてもらったのを思い出しますね。博多だから、“そのCD買っちゃるばい”とか言ってもらったり(笑)。そういう経験もどこかで引き出しのひとつになっているのかもしれませんね。年齢を問わず歌いかけることだったり。今回のアルバムに入っている「Rolling star」「Highway chance」という2曲の応援ソングも、10代限定ではないですから。老若男女を問わず‥‥。全然違う話ですけど、このローニャクナンニョは早口言葉みたいで言いづらいですよね。前、ライブのMCでも噛んじゃいました(笑)。結局、そこだけお客さんに行ってもらったけど。あ、で、応援ソングですよね。あれは今まさにチャレンジしている人すべてに届けばと思います。たとえば負けて帰ってきた時、がんばったねと慰めるだけじゃなく、もう1回行っておいでと。背中を押す歌にしたいと。もし私が負けた時も、そう言われたいから。だから、歌いながら、自分自身も励まされる曲です。特に「Rolling star」は、本気でチャレンジするのなら、ファイティング・ポーズを見せる時も必要だって気持ちも込めました。■この2ndアルバムが発売になる頃には、20歳になっているYUIさんですが。アルバムに「Thank you My teens」という曲も収録されていますね。
悔いのない10代に感謝という歌です。もしもこの先、何かで迷った時も、原点を思い出させてくれる歌になる気がしています。これからの20代をどういう10年にしたいですかと、質問されることもあるけど、今を大事にすることが未来を大事にすることにもつながると、私は思います。迷ったり、葛藤する夜は、10代でもあったし、20代になってもあるだろうけど、それがあるから明日というか先が少しだけ確かに見えるようになるわけで。先のことを考えて不安になるより、今できることをやるべき。今を楽しむべき。楽しむための努力なら苦しくはないから。
将棋指しの指す手のように、YUIの楽曲作りについての質問に対する答えはいつも明確だ。なんとなく出てきた言葉はない。すべて考えぬかれていて、自信に満ちあふれている。このインタビューを読んで、このときYUIがまだ10代だと気づくだろうか?完全にプロのミュージシャンになっている。ぼんやりしたところがない。それに、この風貌。只者じゃない眼差しだ。音楽誌以上に音楽の話をしていている。
ROCK IN JAPAN FES.2006で「Happy Birthday~」をYUI語でやっていたと言うのはぜんぜん知らなかった。この箇所をぜんぜん覚えていなかった。この曲はYUI語バージョンもいい!「Top Runnner」で対談中に披露されたときは、あまりのかっこよさに打ちのめされた。2ndツアーで一番楽しい時間もこの曲だったりもする。
YUIの2006年から2007年にかけてのインタビューで映画の話題になると「キャラメルポップコーン」という単語がよく出てくる。好物なんだろう。YUIと映画を観るときはさりげなくキャラメルポップコーンを用意しておくとポイントが高くなるだろう。メロンソーダもよくYUIから名前があがる飲み物だ。ビールやチューハイになっていないことを祈る。
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満員御礼舞台挨拶のときだったかな?
キャラメル・ポップコーンとメロンソーダ用意して、
タイヨウのうた観ましたけど、逃げ場のない甘さに苦しみましたw
YUI語Ver.ライヴや、CDも需要はあると思うのですが…
いっそ署名でも集めるべき?w
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甘いものにさらに甘いものをプラスする発想は男にはないよねw
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UmbrellaYUIさん自身も昭和なイメージをもっていたんですね
みんなのうたのサイトを見たら
YUIさんの新曲fightの編曲者がCOZZIさんになっていたんですけどこんなこと過去にありましたか??
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そうなんだ‥。Highway chance とか、アルバム曲にわりと多いかと思う。編曲者たちは昔から変わってないね。
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YUI語の「Happy birthday to you you」聴いてみたいです‼
そんな事知らなかった〜
「Thank you My teens」は19歳の今の自分にとても響きます。
20歳までになにが出来るんだろう・・・って悩む日々です。
19歳のYUIさん、すごすぎます(>_<)
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問題の「Happy Birthday to you you」は2007年2月にYUIがNHK「トップランナー」に出演したとき「つくりかけの曲」として披露されました。是非聴いてほしいけど、中華系の動画サイトとか行かないと見つからないかも。
自分も昔はYUIに強く嫉妬したし悩んだけど、今はもう‥‥そんなことはなくなったかな。
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fightって
作詞/作曲がYUIさんで
編曲はなんかNHKに選ばれた人だった気がしますが。。
バンドバージョンだか何かをひさしさんが手がけてたような気も。
COZZiさんは
みんなのうた用に編曲したとかですかね??