西村京太郎「近鉄特急殺人事件」(2021 新潮社)という積読本があるので読む。
これ、コロナ期に購入。自分は近鉄という路線になんら馴染みがないのだが、なんと55円で売られていたので連れ帰らざるをえなかったw
令和2年(2020)に小説新潮6月号から12月号に連載されたものの単行本。まさにコロナパンデミック期に書かれた小説。
東京阿佐ヶ谷のマンションで男性の刺殺体が発見される。十津川警部が同居していた女性の行方を追ううちに、京都発賢島行き近鉄特急ビスタEX社内で大学准教授が毒殺。
この本がミステリーなのはここまで。
あとはほとんどが伊勢神宮の歴史、戦時中の宗教界の戦争協力に関する講義講釈。
そして伊勢神宮門前おかげ横丁で辻説法する女「第二の元寇に備えよ!」
そして武漢での新型肺炎。ひろがるパンデミック。
いろいろと世相を反映した風刺の効いた一冊。新幹線と近鉄特急のアリバイはほぼおまけみたいなもの。
戦争中の仏教界への批判。戦争世代の西村京太郎から現代人へ向けた最後のメッセージか?「近鉄特急殺人事件」というタイトルから予想していたものからほど遠い反戦メッセージ色の強い内容。
飽きさせないための変化球のような十津川警部シリーズの一冊。わりと楽しめた。
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