高木彬光「人形はなぜ殺される」(昭和30年)を1995年光文社文庫初版で読む。これも出かけた先にあったBOを物色して110円でそこにあったので連れ帰った。
高木彬光(1920-1995)は日本における推理小説作家としてとても有名なのだが、今日ではあまり読まれてないかもしれない。
今作もわりと有名作なはずだが話題になってない気がする。高木は松本清張より18歳若いのに、悪趣味なギロチン処刑魔術ショーとか、無残首なし死体とか、ケレン味がする。文体が乱歩延長戦という感じで時代的。
神津恭介のキャラ造形はシャーロックに近い。東大医学部で法医学を研究し、その相棒友人は同じく医学部卒の作家・松下研三と事件を説く。なんだか昭和初期の教養主義な雰囲気。エラリーやカーの影響もあるのかもしれない。
婚約者は殺人鬼という警告文が届いた元華族の娘が、京都での学会へ向かう神津の乗った特急に轢かれた死体となって発見。神津は焦るけど京都での学会が最優先で焦る。え、なんでそんな設定?
この2番目のマネキン破壊と殺人のトリックは、日本ミステリ史にとって重要で重大。そ、そんなことが!?という衝撃的トリック。たぶんこの小説を高く評価してる人はこの部分に衝撃を受けた人。
だが、長く感じた。これは1955年の日本でしか起こり得ない。かなり古くさい。もう高木彬光は読まないかもしれない。
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