2024年12月13日金曜日

行成薫「明日、世界がこのままだったら」(2021)

行成薫「明日、世界がこのままだったら」を読む。
小説すばる誌に2019年2月~9月号に掲載後、集英社より刊行。そして2024年9月に集英社文庫化。表紙イラストはuyumint氏。

自分は知らない作家だったのだが、「名も無き世界のエンドロール」という本は映画になったので名前は聞いたことあった。未視聴だけど。

ある朝目覚めると、いつもと何だか違う。タワマンにわりと裕福な両親と暮らすサチはリビングに行くと見知らぬ男。
男の名前はワタル。時空の歪みでタワマン部屋と男のアパートが繋がってる?!
この本を何の予備知識もなく読み始めたのだが、これって異世界SFなの?

という会話を軽妙に。やがてこの世界の管理人だというサカキも登場。
実はここは生と死の狭間の世界。え、ふたりとも死んでる?死にかけてる?

ワタルは美容師の仕事を辞めて実家の田舎へ帰るという決断。
サチは両親の敷いてくれたレールに乗った人生がつまらない…。
この接点のなかった男女が出会うまでの過程を振り返るシーンが続く。

ああ、そういう日本人死生観ファンタジーなのね。この二人のリアル境遇がわりとつらい。リアル日本の若者。
ラスト付近で明かされる真相はそれなりに驚けた。

こういうの、中学生から大学生までなら響くんじゃないか。自分は何か軽い読み物がほしくて開いた本なのに、がっつり重くて予想外。

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