樋口有介「刺青白書」を読む。2000年に講談社から刊行後、2007年に創元推理文庫から初文庫化。これも柚木草平シリーズ番外編という一冊らしい。
向島で生まれ育ち、日本史を専攻する地味なメガネ女子大生・三浦鈴女(21)が今作のヒロイン。卒論に悩み就職も決まらず焦る毎日。
隅田川リバーサイドの高層マンションで殺害された人気CMタレントアイドル・神崎あやが中学時代の目立たなかった同級生だったことを知り衝撃。後ろ手をガムテープで拘束され全裸で刺殺。全身に切り傷という凶悪事件に世間は騒然。
あやには、刺青を消した痕。
さらに、中学時代の同級生・牧歩(テレビ局の女子アナに内定)が隅田川で水死体として発見される。10日間のインターバルで中学時代の同級生が連続で事件に巻き込まれるとか異常じゃないのか?彼女にもあやと同じ場所に、同じ刺青があった…。これは一体?!
鈴女は中学時代の同級生で、かつて野球部エースのモテ男だった左近と一緒に、かつての同級生に聞き込みに。
父が中小規模出版社編集部にいる。芸能ゴシップを扱っている。柚木草平とかいう40がらみの男と話してる。ああ、今回はそういう登場の仕方なのか。
柚木草平(38)もジャーナリストとして独自の聞き込み捜査。被害者がかつて中学時代同級生で同じクラスの女子生徒がイジメ自殺していた過去を知る。さらに、自殺少女の父親で教育評論家の米山が中学生娘を性的虐待していたことも掴む。
今回の柚木は歌舞伎町性風俗店にも指名料払って突入聞き込み。
隅田川周辺にずっと張り付いたままの人々の人間ドラマと記者探偵ハードボイルド。中学生だったヒロインたちの21歳青春小説。21歳でこの人生はキツすぎる。樋口せんせいならではのイジメ問題への怒りと諦め。
たぶん西村京太郎なら隅田川殺人事件というタイトルをつけるに違いない。
ちなみに、この本は行きつけのBOで110円で購入したのだが…、もしかしていわゆるサイン本?!
本当に樋口有介の筆跡かどうかググって確認しようとしたのだが、どうも樋口先生のサインはいろいろな筆跡があるらしく判別は不能。「介」の筆記が違う気もする。
自分、有名人のサインというものは本人の目の前で書いてもらったもの以外は有難いと思わない。この本はもしかすると本人が手に触れたものかもしれないという、ただそれだけの想像だけでよい。もしかすると誰か(桂ちゃん?)がサイン会で購入したものかもしれない。そしてその誰かの遺品かもしれない。
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