2024年10月31日木曜日

杉井光「世界でいちばん透きとおった物語」(2023)

杉井光「世界でいちばん透きとおった物語」(2023 新潮文庫)という本があるのできまぐれで読み始めた。作者のことは何も知らない。どんなジャンルの本かも知らない。

母を交通事故で亡くした主人公青年はその後、父親であるミステリ作家宮内彰吾の死を知らされた。母は校正者で愛人だったので非嫡出子。認知もしてない。書店でバイトしてる。

父の正妻との息子が連絡をしてくる。遺産はない。だが、未発表の原稿がどこかにあるはずだ。作家が亡くなって鮮度があるうちに出版したい。
この兄が嫌なヤツ。分け合う遺産がないのなら金輪際会う必要もない。だが、主人公の僕は「世界でいちばん透きとおった物語」というタイトルの父の遺作を探すために関係者に話を聴いて回る。

父は生前に親しくしていた女性に酔った勢いで過去の殺人について仄めかしていた。探してる原稿はそのことが書かれている?!

僕のアパートに泥棒が入ったり、不審な出来事。
やっとのことでたどり着いた原稿の在処。しかし、直前に何者かに燃やされてしまい絶望…。
だが、編集者の霧子さんが、驚くべき真相を指摘する。鋭い観察眼により主人公青年の特殊な何かに気づいていた。

その真相が明かされたとき、「マジか?!」とページをめくって確認した。
いや…、こ、これは、信じられん。絶句。
ああ、これは紙の本でしかできない所業。紙の本で現物を持ってる人しか確かめることのできないことだ!
てか、小説のタイトルの真の意味と、この仕掛けに途中で気づいた人っているのか?

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