伊坂幸太郎「グラスホッパー」(2004)を角川文庫(平成27年46版!)で読む。
自分はそれほど伊坂幸太郎を読んでないけど、欅坂時代の小池美波がこの本を読んでいたらしいので今回選んでみた。
2015年に映画化されてるらしいけど未視聴。どんな話かまるでわからないまま読み始める。
妻を大物政治家と繋がりのある反社企業の寺原社長のバカ息子に轢き殺された中学数学教師の鈴木。復讐の機会を窺い会社に潜入しようとするのだが、恨みを買いやすい寺原の元に「働きたい」とやってきた鈴木も、寺原の社員・比与子から、そんな輩ではないかと疑われる。身の潔白を証明するために、たった今拉致してきた男女を殺して見せろと迫られる。
寺原息子が視察に来るというそのとき、目の前で寺原息子は交差点で何者かに背中を押されて車に轢かれて死亡。
鈴木は比与子に命じられるままに寺原息子を車道に押した何者かを追いかける。追いかけないと何の罪もない男女を殺す!と脅されて。
もうこの時点で読んでて胸糞悪い。鈴木は尾行の末に槿(あさがお)という妻子のある男の家を訪問し、こどもたちの家庭教師に自分を売り込んで接触。その間、比与子からケータイでガンガン急かされる。何やってんだ?
そして、汚職政治家の秘書に強制的に遺書を書かせて自殺させる専門の殺し屋・鯨。これまでに多くの邪魔になった秘書やジャーナリストを依頼者に代わって自殺に偽装して殺してきた。殺して来た人々の幻覚を見る。
秘書を殺した鯨の存在に不安を感じた政治家・梶に殺されそうになるが、逆に梶をホテルの部屋で自殺させる。
そして水戸で一家3人をナイフで粗暴に殺害してきた殺し屋・蝉。この家の息子はホームレスを殺したことで殺しあっせん業者の岩西から下請け仕事。自分は操り人形のようだ…。
鈴木以外はみんな人を殺すことを何とも思っていない。この3者たちがいったいどう絡む?!という予測不能でカオスな殺し屋群像劇w
これは読んでいてややこしい。ほぼ映画を意識したようなカット割り映像と構成。
殺し屋VS殺し屋。ノワールなハードボイルドだが、一般人鈴木も含めて登場人物たち全員が会話も行動もどこかネジが外れてる。
人間観察と緻密なストーリー。感心しかしない。なるほど、こういう本を書いていれば人気作家になれそうだ。
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