2020年12月28日月曜日

竹内結子「僕と妻の1778の物語」(2011)

SF作家眉村卓(1934-2019)の大腸がんで死去した妻悦子との実話を元にした映画「僕と妻の1778の物語」(2011 フジテレビ 東宝)をやっと見る。竹内結子の死後初めて竹内結子主演映画を見る。竹内結子が死ぬ映画を見る。

死にゆく妻との日々を描いた映画なの涙涙のひたすら気が滅入る映画。監督は90年代からフジテレビドラマを多く手掛けて来た星護。もうひとつの「僕の生きる道」。
草彅と竹内の共演は「黄泉がえり」以来だが、典型的なフジテレビドラマ演出と音楽で見てるとそれはまるで「いいひと」。「いいひと」の竹内結子ゲスト回は以前からもう一度見たいと思っているのだが見れていない。

草彅剛の妻は銀行窓口係。お金を降ろしに行って窓口で妻とSF小説のアイデアを話し合ったりする。根岸競馬場の3つの塔が歩きだすなどポップな映像。この映画は横浜近辺でロケをしてるようだ。病院の外観が北区の中央公園文化センターだ。

ある日、家の庭でお腹がイタタタタとしゃがみ込む竹内。オメデタか?と思いきや虫垂炎?夫草彅は急いで病院へ駆け込むと、大杉連医師から大腸がんで余命1年だと知らされる。32歳なので進行が速い。
竹内の母親が風吹ジュン。末期がんの娘を持つ親の悲哀。
医師から「笑うことで免疫力がUPすることがある」とアドバイス。自宅療養へ。以後、主人公は妻のために笑える短編小説を1日1話書いていく。だが、毎日というのは大変だ。

小説と妄想で話が脱線しまくる。いきなりブリキのロボットが部屋にいたりする。たこみたいな火星人がやってきたりする。
この夫婦が大学生のときの動物園デート回想シーン。竹内が草彅を撮ったカメラがROBOTというレアなクラカメ。軍艦部に大きなゼンマイ巻き上げがあるのが特徴のスクエアサイズカメラ。ロボットのセルフタイマーってこんなだったのか。自分はまだ一度もこのカメラを使っている人を見たことがない。

保険の効かない治療薬のために主人公は原稿料を稼がないといけなくなる。薬代が75万円?!書いたことのない恋愛小説の仕事も受ける。病気とお金の現実ほど切ないものはない。

この映画、わりと長い。そろそろクライマックスかなと思いきやまだ半分。薬が効いて癌が止まる(実はこれは嘘なのだが)。ふたりは以前から行きたいと思っていた北海道旅行へ。この映画、空がパキッとキレイに青い。
一心不乱にカリカリ何か書いている草彅を気味悪がる病院の人々のほうが気味悪い。どうしてこんな演出する?草彅と谷原がビル入口の階段に座って話をしてる間を忙しそうに出入りする人々の演出とか? 当事者以外はみんな赤の他人。人が死ぬ間際でも社会はカリカリと動き続ける。いろいろヘンテコ演出も盛る。

愛する人が癌になって死んでいく様子を描く葬式映画。見て楽しい映画じゃないことはわかっていた。死ぬことがわかってる展開はやっぱり切ない。やがて薬が効かなくなって痛い痛いと泣く竹内のシーンを見るのがとてつもなくつらい。大切な人の死はこんなにも怖い。

そして、こんなにキレイで可愛らしい竹内結子がもうこの世にいないのかと考えるとつらくて切ない。
他人の死を演じてきた竹内結子がどうして自ら死を選んだのか?我々が何を選択すれば竹内を死なせずにすんだのか?解せないままでつらい。

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