2020年11月5日木曜日

黒島結菜「カツベン!」(2019)

周防正行監督の昨年公開作「カツベン!」(2019 東映)を見る。制作はアルタミラピクチャーズ。おそらく映画誕生から昭和の初めまで存在した活動弁士に脚光を当てた人情ドラマ。主演は成田凌。モデルから俳優としてついにトップにクレジットされるようになった。

そして2番目に名前があるのが黒島結菜。大正娘。黒島めあてで見るのだが、この映画でハンサム弁士高良健吾と出会ってしまい、熱愛に発展してしまったという悪夢の結果w
大正時代の活動写真と子どもたちの風景が冒頭から十数分続く。撮影現場を村人たちと取り囲んで興味津々で見る。撮影は現場の成り行き次第。こういうの、映画黎明期にリアルにあったことっぽい。子どもたちは木戸銭払わずに活動弁士永瀬正敏を見に行ったりする。みんなお金も物もなかった時代。

キャラメルを盗む子どもは成長すると移動活動屋の弁士になる。だが、これが活動に詰めかけて村人が留守になった隙に泥棒する一座。主人公はこんな泥棒一座で弁士を嫌々やっている。日本の警察(ヒゲ生やしてサーベル提げてる)は何やってる。こういうの調べればすぐわかるだろ。

で、ヤクザ親方(音尾琢真)の元から逃げた成田は100年を超える芝居小屋青木館へとたどりつく。ちょうどその時、楽士たちが辞めていく現場。引き抜きというライバル館の嫌がらせ?楽士が三味線、鼓、クラリネットの3人だけ?

弁士やらせて!すぐに採用。だが、雑用兼任。主人の竹中直人と女将の渡辺えりはリアルに大正時代を感じる。この芝居小屋では客は畳の桟敷席にあぐらや正座、自由な姿勢でスクリーンを見る。活動写真ってそんな時代なのか。

街を仕切ってるヤクザがいるとかもリアルな大正昭和。興業の世界は昔からヤクザと相場が決まってる。立派なコンクリート劇場にセシル・デミル監督の「十戒」が掛かってる。ということは1925年よりも後。チャールトン・ヘストン主演の総天然色セルフリメイク版の前はサイレント映画だったのか。

高良健吾は俺様弁士。自信満々でプライドの高い威張り散らしたハンサム弁士。楽士が辞めてくのもこいつのせい。この時代って周囲の人たちから嫌われたら、今以上にやっていけなくなるのでは?こいつにはあまり大正時代を感じない。
この時代って手でフィルムリール回すこと自体にも技術が?!映写技師が人気弁士の側に回転速度を合わせるってマジ?

街のボスが小日向文世で若い愛人が井上真央。自分、井上真央って今までほとんどまったく出演作を見たことがなかった。このキャラが自分にはよくわからなかった。
いつの間にか主人公の村の幼なじみが活動女優に?!黒島結菜は銀幕でも美人。盛った日本髪が似合ってて大正娘をリアルに感じられる。高良健吾が黒島を自分の女としてお酌させてるシーンと無理矢理組み伏せるシーンが不快。箪笥と戦うシーンはもうちょっと面白くできなかったか?

永瀬の代役で弁士として登壇した成田は喋りで大うけ。どっかんどっかん客が笑う。だがやっぱりその展開に視聴者はそれほど納得できない。

そこに盗賊団から逃げた成田を追う竹野内豊が登場。ここからきっと面白くなると予想して我慢しながら見た。だが、面白シーンになるはずのシーンがすべて壮大に滑っててひたすら寒かった。
トランクに隠した現金を徳井に見られ徳井に盗まれる。ヤクザ音尾と小日向、徳井を一網打尽に竹野内豊に逮捕させるシナリオじゃないと納得いかない。こいつらの処理が脚本としてまったくダメ。なにやってんの?

竹野内豊刑事の大太刀回りシーンが酷い。いつまでヤクザに自由にやらせてる?いつになったら加勢が来るんだ?とずっと思いながら見ていた。とても笑顔になれるものではなく、どんどん険しい顔で見ていた。メチャクチャなだけでぜんぜん面白くなってない。焼け跡から出た金が自分たちのものになると思ってんの?

成田が音尾に殺されそうになるシーンはリンカーン暗殺事件の現場みたいだった。一般市民がいる場所で拳銃を撃つとか、今も大阪神戸、福岡ではあたりまえの日常かもしれないけど。

各キャラに見せ場はあるのだが、話がぜんぜん予想通りに進んでくれない。見ていて納得できない展開ばかり。短期的にも全体的にも爽快感がない。2時間ずっとすごくイライラする。いくらなんでもテンポが悪すぎる。これを面白いと思う人がいるの?
オーディションで周防監督に選ばれた黒島結菜は二番目にクレジットされるヒロイン。話題作ヒロインを引き当てて映画賞にも呼ばれて良かった。活動写真時代の風景としては興味深く見れた。

だが、映画としてこれはかなり酷い映画だったと思う。活動写真、サイレント映画時代への愛情は感じたけど、制作と脚本が機能していない事故映画。これは大コケ当然。
黒島めあてであっても見終わった後に爽快感がまったくなかった。はっきり言って超絶つまらなかった。ずっとイライラして見てた。

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