2020年10月19日月曜日

新海誠「天気の子」(2019)

新海誠監督の「天気の子」(2019 東宝)を見る。制作はコミックス・ウェーブ・フィルム。これ、公開直後から「つまらない」という声を聴いていた。自分はもうすでに新海監督の長編アニメが、イラストとしては美しいけれど、映画としてそれほどクオリティが高くないことを知っている。

雨が降ってばかりの東京新宿で語られる世界の秘密の物語…らしい。東京は冬をのぞいて、いつも雨が降ってる印象。

主人公は神津島からの家出少年16歳。ちなみに、自分は9年前に神津島に行ったことがある。もうすでに懐かしい。現代は家出少年であってもスマホは持ってる。昔はなかった生存のための便利な道具。そしてネットカフェで寝泊まり。金が尽きると強い雨が降ってる路上へ。いろいろと2010年代東京の現実を突きつけられる。キレイなアニメ画であっても暗い。

他人に無関心な冷たい大人たちばかりのネオン街。そして拳銃を拾う。マックで店員森七菜からハンバーガーを恵んでもらう悲惨な生活。東京に出ようなんて考えちゃいけない。
少年は船で出会った胡散臭いおじさん小栗旬を訪ねる。こいつは都市伝説ライター?こいつには飯をたかられる。事務所にいるセクシーお姉さんが本田翼。色気全開で寝ている。できれば実写で見たかったシーン。

いちおう個人経営の編集プロダクション?生活の場でもあるので事務所とはいえ散らかってる。少年は取材のような仕事をやらされ採用。掃除と調理、皿洗いなどもする。雨女、晴れ女についての取材とテープ起こしと原稿作成。これが16歳少年にできるような仕事なの?そしていきなりRADWIMPSの音楽。(こういう音楽の使い方はアニメなら許されるけど、あまり映画らしくない)

一方東京では大雨に魚のようなものが混じってる。積乱雲の中に未知の生態系が?(アーサー・C・クラークみたい)

マック少女と再会するも、少女の腕をつかんで店に連れ込もうとする女衒男に銃を発砲。逃げて廃墟となってるビルへ。屋上に鳥居と祠があるビルって東京だとたまに見かける。雨雲がささっと晴れる。奇跡か?この少女は晴れ女?

アパートに行って食事をつくってもらったりするのだが、ネギやカイワレ(豆苗?)のようなものを水栽培してるのを見て、どこも同じだと思ったw 見慣れた田端駅付近の線路の交差風景も出てきて驚いた。あのへんは飛鳥山、上中里を通って自転車でたまに出かけてた。
そして晴れ女ビジネスを始めるw ああ、こういうファンタジーなのか。そんなことができたらいいな。この映画、つまらないと聞いて心配してたけど、この晴れ女ビジネスの十数分間だけでも見ていて楽しかった。

本田翼の声の演技が聴いていて異常に面白楽しいw 16歳少年に「胸見てたでしょ?」とか、実生活で一度でもそんなこと言ったことあるのか。本田翼、ホンダのバイクシーンも含めて予想以上の大活躍。

その一方で児童相談所の介入など社会派な展開?18歳と小学生のふたりだけで暮らしていることが近所の人々から問題視。警察も拳銃発砲事件を追っている。家出人捜索でも訪ねてくる。家出人なんて普段は捜さないのに。少年は職場の事務所にもいられなくなる。何もしてない子どもを暴力的に取り扱うな。命令するな。

そして異常気象。ずっと大雨。荒川がヤバい。去年の19号台風を思い出す。寒気もやってくる。雪も降り始める。不要不急の外出を控え…って言葉、去年の夏から流行語。

雨と寒さで泊まるところもない。警官に呼び止められるもそこに落雷で車炎上。池袋のあのへんも昔はよく行った場所。そして子ども3人ラブホテル。1泊2万8千円の部屋がすごい豪華。なのに食事は冷凍食品。

東京ってどこへ行っても人が多すぎてウンザリする。そんな嫌な感じがすごくする映画。3人の子どもが漂流。自己犠牲もテーマなの?こどもが人柱の巫女とか考えなくていい。自分もこんな街、雨で沈んでしまえって思う。救う必要なんてない。

って、思って見てたらそんな展開になってたw 水に沈んだ東京がベネツィアみたいになっていてキレイw 水浸しになった東京をこれほど美しく描いた映画って他にある?知らないだけかもしれないけど、無からこの映画を産みだした新海監督は最大限に褒められるべき。

「天気なんて狂ったままでいいんだ」という台詞に強い印象を受けた。調べてみたら多くの人々がこのセリフについてコメントしてた。そう、誰かが犠牲になるような社会は狂ったままで捨てて置け。

保護観察処分って、拾った拳銃を発砲したから?代々木の廃墟ビルに隠しておいたから? 東京ポリスは安全パイな案件だけ扱うな。コロンビアやメキシコの警察官を見習え。血みどろ麻薬戦争に研修にいけ。

つまらないのかもと心配してたけど、これは2019年を代表する映画といっていい。新鮮だったし狂った映画。「君の名は。」よりも上回ってる。一度見てみることをぜひオススメする。

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