2020年5月18日月曜日

ヘミングウェイ「武器よさらば」(1929)

ヘミングウェイ「武器よさらば」(1929)を新潮文庫で読む。自分がこの表紙のヘミングウェイを読むのは中1のとき「老人と海」を読んで以来。乃木オタなら誰でも名前は知ってるヘミングウェイ!
A FAREWELL TO ARMS by Ernest Hemingway 1929
アーネスト・ヘミングウェイ(1899-1961)はイリノイ州の出身。アメリカが第一次大戦に参戦すると19歳の時にイタリア軍付赤十字要員として従軍。脚に三か月の大怪我で入院中にアメリカ人看護婦と恋に落ちる。そんな経験を活かした長編小説。

この小説をざっくり説明すると、アメリカ人青年フレデリックの第一次大戦イタリア従軍記。
イタリアとオーストリアの前線にいる人々はみな厭戦気分。戦争の愚劣さを嘆く。

第一次大戦は日本人にはあまりなじみがないのだが、塹壕戦と毒ガス戦。100年前のヨーロッパはそれほど人権というものが確立してない。突撃しない兵士は軍曹がその場で見せしめ処刑だとか、戦場から逃れるために自傷したのでないことを軍医がチェックとか、戦功証明書だとか、娼婦宿とか、冷たい看護婦だとか、どれもこれもあまり見たこと聞いたことのない風景。ナポレオン戦争時代と大して変わってない。

日本の兵士と違うのが看護婦に甘く愛をささやくところw ケガで戦場を離れた主人公は英国人看護婦(スコットランド人)キャサリンと酒を飲み競馬に行く。

アメリカ人は戦況と国際政治について質問される。
「アメリカはまもなくオーストリアにも宣戦布告するだろう。トルコはわからん。ブルガリアと日本にもするかも。」「日本は英国の同盟国では?」「日本はハワイをねらっている」
このへん、当時のアメリカ人の世界知識と感覚か?

昭和30年の大久保康夫訳なので、今となっては読んでいて理解しずらい日本語。(現行の新潮文庫は新訳がでてるらしい)
「イタ公」という言葉がよく出てくる。語源を調べてみようとしたのだがいつからあるのかわからない。
あと、イタリア軍に牧師がいて混乱するのだが、アメリカ人士官のため?いろいろ当時の常識がわからない。

証明書なく隊を離れた兵士将校は憲兵に見つかれば、簡単な尋問の後にその場の片隅で銃殺処刑されるのが当時の常識?だとするとイタリアもヨーロッパも恐ろしすぎる。絶対に徴兵なんてされたくない。
てか、戦時中はいい若いもんが軍服も着ないでぷらぷらしてると軽蔑の視線を浴びるの?

主人公は勝手に戦争と縁を切って戦場を離れる。肩章をはぎ取ったり軍服を脱いだりしてるだけで逃亡兵士の逮捕案件。男は身重のキャサリンと湖を手漕ぎボートでスイスへ逃亡。手に汗握る。

その後はホテルで甘く愛を囁き合う男女の風景。だが、お産の場面になって急展開。なんだこの鬱小説。

0 件のコメント:

コメントを投稿