横溝正史「迷路の花嫁」を角川文庫版で読む。自分が今回手に入れたものは平成6年第33刷。
旧作を長編化リライトして昭和30年に単行本化されたものらしい。巻末解説を読んでも初出などは不明。
空襲を免れた町を夜ふらふら散歩していた駆け出し作家の松原浩三。向かいから歩いてきた女が挙動不審なのを怪しんだ。来る路を引き返して路地に消えたのはおそらくこのあたりだろうと探していると、とある家の前に怪しい不具の男。この家から悲鳴が聞こえたという。ヤモリが這い蜘蛛の巣だらけ。
警官と一緒にその不気味な家に入ってみると血の海。全裸の女が斬り殺されうつ伏せに倒れていた。そして血まみれの猫たち…。殺されたのは交霊術の霊媒師。飼い犬も殺されている。
やがて付近の寺から行方不明になっていた女中の死体も発見。
作家松原は好奇心から事件を捜査しているように見えるのだが、拾った重要証拠を隠し持ったりと不審な行動。事件の関係者たちとも何やら関係がありそうだ…。
これ、出だしこそ猟奇的で怪奇だが、その後はぜんぜん普通。本格推理じゃなく、多くの関係者がどう繋がっているのか?が明らかになっていく社会派人間ドラマっぽい長編。
主人公松原は快男児。実は資産家?こいつが女たちの生き血を吸う悪い男を懲らしめ人助けをするヒーローもの?
金田一耕助は主人公の前に私立探偵として現れるのだが、あまり目立たない。てか、出番はほとんどない!w 警察もあんまり出てこない。
こういう小説で感動できる人もいるかもしれないが、自分としては面白さを感じなかった。期待して読んだけど、これもやっぱりそれほど気に入らなかった。
横溝正史作品にはもう2時間ドラマにして面白そうな作品が残ってない。
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