監督は三島有紀子。そして主演が黒木華と野村周平という不人気な女優と俳優。
だが、テレビドラマ版よりかはマシかもしれないと、それほど期待せずに見る。
この原作は誰がやっても、どう実写映像化しても面白くなるとは思えない人情噺。
いきなり葬送の場面。気が滅入るw 主人公五浦大輔(野村周平)が語る祖母の想い出。
いくら大切にしている古本とはいえ、さわっただけで孫を平手打ちで倒すとかなんなの?映像で見ると幼児虐待度が高くて違和感。
篠川栞子役黒木華は頭脳明晰な古書店主役としては適度にブスでリアリティがある。原作は黒髪美人で大人しくて胸が大きいとか理想的すぎてラノベ感がする。
夏目漱石全集「それから」をビブリア古書堂へ持ち来んで大輔と栞子のファーストコンタクト。このシーンはかなり良いと思う。あんな小さく狭い切通しとか憧れ。
「漱石のサインがあるんすけど」に対する栞子の表情が突然変わるシーンもリアルだが、現実はもっと嘲笑するようになると思う。
たった一冊の本から五浦家の秘密を嗅ぎ取るとか、ヒロインはどんだけすごい探偵なんだよ。
祖母の「人に知られてはいけない恋」への導入までの映像と演出も良いと思う。ここから夏帆と東出昌大登場。夏帆は60年代っぽい。
鴨居に頭ぶつけて昏倒して親密になるオリジナルエピソードも良い。
漱石をめぐる祖母と東出のエピソード(不倫)と、太宰「晩年」アンカット本を狙う大庭葉蔵(マニア)エピソードのふたつに絞って映画オリジナルとして原作を再構成するセンスが良い。
結果、東出と夏帆の主演と言って過言ではない。切り通しで密会して逢瀬とか鎌倉ならではw
鎌倉にはもう鎌倉らしい風景が残ってない。野村が自転車を必死でこぐ川べりの風景がなまこ壁の蔵なので下田だと気づいた。
原作での重要人物である母親とホームレスせどり志田の存在を映画ではバッサリカット。
なので、大庭要蔵の正体が早い段階でわかる。こいつしかいないって。
サスペンスタッチで怖い。古書マニアサイコホラーとして怖い。映画としてそれはよい選択。
あの書棚が倒れたらいいのに…って思ってたら、やっぱりか!妹、グッジョブだ。だが、警察をすぐ呼べ!
あの大ピンチは2対1なんだからこっちが絶対有利だろ。相手は手負いでバイク、こっちは車なんだから車から出るなよ。人けのない場所へ逃げるなよ。人混みに行けよ。
やっぱ、車には金属バットかゴルフクラブを積んでおかないといけないと思った。
けど、なんでアイツは収監されてない?!損害賠償と慰謝料は?ああ、イライラする。
主人公は栞子さんのところへ漱石を持ち込んだことから、祖父は本当の祖父じゃなかったという真実を知ってしまうわけだが、母親は自分の父が本当の父じゃなかったって知らないまま?!
主題歌は原由子歌唱のサザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」。
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