海音寺潮五郎はまだ一冊も読んだことがないのだが、上杉謙信側から川中島合戦を描いた歴史小説「天と地と」は1969年にNHK大河ドラマに、1990年に角川春樹製作の超大作映画になっている。今回、映画版を見る。
この映画、渡辺謙が謙信を演じるはずだったのだが、謙さんは白血病で倒れるのであった。
で、代役が榎本孝明。まだ無名でオーディション代役?!
榎本は1991年市川崑映画「天河伝説殺人事件」で浅見光彦を演じるのだが、この当時はまだ若手俳優だったのか。
で、武田晴信(信玄)が津川雅彦。貫禄十分。調べてみたら、信玄は謙信より9才年上。なるほど。
カナダでロケ撮影した合戦シーンの引き画がテレビドラマでは真似できないレベルですごい。人と馬の数に圧倒。こんな戦国絵巻見たことない。バブル時代ってすごい!w
自分、武田信玄に関する知識を新田次郎「武田信玄」と松本清張「信玄戦旗」だけからしか得ていない。上杉謙信については直江兼続目線大河ドラマ「天地人」からしか得ていない。
謙信の家臣に琵琶島城主宇佐美定行(渡瀬恒彦)という人がいる。すまん、まったく知らない。謀反を起こした沼田を攻めるときに捕らえた妻子を斬ることをためらう謙信を見て「この親方、弱い」と嘆く。この人が第1回川中島合戦に欠席。すわ、謀反か?!
で、結局なぜか謙信と宇佐美は騎士道のような決闘。そんなバカな。
その娘が浅野温子だが、若い!「父上はなぜ景虎さまの元へ行かないの?」
この浅野温子の表情と喋り方が戦国時代娘にしては現代的でかなり違和感。
一方で八重なる未知の信玄側室を演じる財前直見がまるで五月人形のような桃太郎みたいな顔。
川中島合戦で馬を乗り回す財前。謙信「こざかしきまねを」と火縄銃一発で殺す。射程距離と命中精度からいって、一発で急所を仕留めるとか無理だろ。
夏八木勲の山本勘介の顔の醜怪さがすごい。ハマリ役。
赤と黒の両陣営に分かれて、赤い槍と黒い槍が突き合わされる。槍ってこんなに長いんだ。
馬と人がわさわさ動く絵がスゴイ。謙信の兵が中世ヨーロッパの甲冑みたいだ。
武田軍の諏訪神軍太鼓部隊とか初めて見る映像。
角川監督はたぶん1個師団を進駐させるぐらいのコストと労力をかけてる。
信玄と謙信の騎馬一騎打ちシーンも初めて見たパターン。
だが、ラストシーンの意味がよくわからない。なんで武田軍は謙信が先陣きって駆けてくるのにみんなで避けるの?
意味の解らないシーンはそれだけじゃない。もし、海音寺潮五郎の原作がこんな内容なら自分は読まないと思う。
80年代90年代の映画音楽ってシンセ音が安っぽいな…と感じながら見ていたのだが、この映画の音楽担当は小室哲哉さんだった!w
大作映画は音楽はオーケストラを使ってほしい。92年の勅使河原宏監督「豪姫」なんて武満徹ですごく豪華。
0 件のコメント:
コメントを投稿