2019年10月31日木曜日

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017)

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017)を見た。

作家(堺雅人)と結婚し鎌倉の古民家へやってきた元アルバイト編集者高畑充希の体験する妖怪ファンタジー映画。
何の予備知識もなく見たのだが、見てる途中で監督脚本山崎貴じゃないだろうか?と思った。やっぱりか!

「あの部屋へは絶対に入るな」だが、入ってしまう。そこは鉄道模型だらけ。高畑の「退きますねえ」の云い方が面白い。高畑充希はつねに言い方と表情が面白い。
そこに中村玉緒。この人はもう一体何年お婆さん役をやってるんだ?日本のお婆さんイメージに近い容姿が貴重。それは吉行和子さんも同じ。

夜市で買った松茸を味噌汁にして食べてしまったときの反応も意外性があって面白い。
で、家に刑事(要潤)がやってくる。堺は鎌倉署心霊捜査課の顧問?殺人事件の捜査は交霊術で?まるでマンガの世界観。

江ノ電は黄泉の国へ走る電車?まるで銀河鉄道の夜。高畑「鉄道オタクじゃないんで」の云い方も面白い。高畑はなにもかもコントにする天才コメディエンヌ。

死神安藤サクラが普通の人すぎて逆に面白い。魔物の住む鎌倉は至る所死者。

昭和世界観ドラマだと思ってたら、キレイな茶碗を100円ショップで買ったってセリフがあったので現代パラレルワールドが舞台なの?

あまり見たことのないイザナギイザナミ死生観ファンタジーで新鮮だった。たぶんこういうの子どもも好き。ちょっと「千と千尋の神隠し」も連想。
着物姿で呑んでる堺が太宰っぽい。堤真一のエピソードはまるまるカットでよかったと思う。

2019年10月30日水曜日

谷崎潤一郎「刺青・秘密」

谷崎潤一郎「刺青・秘密」を新潮文庫版で読む。刺青は読んだことあるけど秘密はまだ読んでなかったので手に取る。

谷崎初期の代表作「刺青」(明治43年)をふくむ短編7本を収録。
最近も読んだばかりの「刺青」が読んでいて一番美しい。握手会で男たちが群がる乃木坂欅坂の女の子たちを見たとき、少女よ、その男たちを肥やしにして美しくなれ!と思うw

秘密(明治44年)が「刺青」のつぎに好き。この2作がワンツー。
目隠しをされてとある婦人の家へ人力車で運ばれる話。ラストが印象的。明治の浅草界隈の町並みと風俗を知る。

少年(明治44年)
変態はこどものころから変態。あまりにSMちっくなこどもの遊びに口あんぐり。

幇間(明治44年)
自分、つい最近までこの単語の意味を知らなかった。落語を聴くようになってからこの言葉の意味を知った。この短編もまるで落語だが、相場師からプロ幇間へ転じた男の性癖と旦那からのドッキリ仕打ち。やっぱりまるで落語。

異端者の悲しみ(大正6年)
この大学生主人公が学校へ行かずに父親とケンカ。妹は肺病で危篤。友人から借りた金は返さない。もうなにもかもがだらしない。読む人は誰もがコイツを嫌うと思う。ところがこいつが作家本人の自叙伝w 

二人の稚児(大正7年)
幼いころから比叡山に預けられ育った二人の稚児。15歳の千手丸と13歳の瑠璃光丸。世俗を離れているおかげで煩悩と無縁。だが、「浮世はどんなところだろう?」「女人とはどんなものだろう?」
やがて千手丸は山を抜け出す。そして音信不通。きっと人さらいにでも遭ったか死んでいる。だが半年後、瑠璃光丸へ千手丸から使者と手紙が来て…という話。
涅槃経「女人は大魔王なり。能く一切の人を食う。」
宝積経「一とたび女人を見れば、能く眼の功徳を失う。縦い大蛇を見るといえども、女人をば見るべからず。」
仏教では女はそんな扱い。女と無縁な男はきっと徳が高い。

母を恋うる記(大正8年)
まんが日本むかし話読んでるみたいな感覚。

2019年10月29日火曜日

武田玲奈「Invisible TOKYO シーズン1」(2017)#5

「Invisible TOKYO シーズン1」(2017)の第5回に武田玲奈がモデルとして出演しているというので見てみた。
これはROBOT製作アマゾンプライム独占配信のカルチャー教養ドキュメンタリー番組?

2時間近い映像のほとんどが作家村山由佳が居間のような場所で座って独演会。インタビュアーに話しかけてるようだがずっとひとり喋り。

作家として何を書くか?母と娘、男女の性、などについてずっと語っている。村山由佳という作家によほどの関心がある人でなければ退屈するに違いない。自分はこの作家の本をまだ一冊も読んでいない。
村山のひとり語りの合間に、モデルたちが無言のまま感情ゼロでモソモソと動く映像が延々と続く。G線上のアリアがバックに流れる。夜中に起きた直後のようにみんなぼーっとしている。

この映像に何か村山の作家としてのメッセージが含まれるのか?何も情報がなくてわからない。意味不明。困惑。

結論として武田玲奈目的の人は見る必要がまったくない。眠れない人が睡眠導入目的で見るような映像。

2019年10月28日月曜日

ケネス・ブラナー版「オリエント急行殺人事件」(2017)

ケネス・ブラナーが監督とポアロを務めた「オリエント急行殺人事件」(20世紀フォックス 2017)をようやく重い腰をあげて見た。

日本語吹き替え版で見たのだが、なんとポアロが草刈正雄w うそだろ。だが、この草刈さんの声がとても心地よい。次回作もぜひ草刈さんでお願いしたい。

ドラマ冒頭から原作にまったくない娯楽要素を盛り込んでる。エルサレムでささっと事件を解決するシーンがある。なんだこりゃ?自分としてはこういうの要らない。それにポアロがかなりキャラ変してる。

個人的にこの新機軸ポアロが嫌いじゃない。口ひげが今までポアロを演じたどの俳優よりもでかい。こっちのほうが原作イメージに近いの?!これまで多くのポアロ作品を活字で読んできたけど、どんな髭なのか?それはまったくわからなかった。
斜め後方から見たポアロがとても若く見える。ポアロが史上空前に身軽で動きが早い。アクションっぽい要素も。

ジョニー・デップ悪漢アメリカ人ラチェットが初登場するシーンからもう千葉真一か藤竜也。
この映画は駅の雑踏シーンで登場人物たちのだいたいの紹介を済ませてしまう。ハンガリーの伯爵が明らかにイっちゃった目つきの怖い人なのに気安く話しかけていきなり写真撮るやつなんなの。しかもこの伯爵がまるで総合格闘技家。
列車会社重役もイメージが違いすぎる。乗客たちの職業も民族もキャラ変。逆張りともいえる大胆な設定変更。いろいろと嫌な予感。

雪のバルカン半島CGがまるで魔界。列車を停止させる雪崩がただごとでない。脱線事故?!「死にましたか?」w ボイラーが動かないと極寒で凍える寒さになってしまう。

ラチェットの部屋に異常を感じたポアロがドアノブをステッキで破壊するシーンは「ええぇえぇ?!」って思った。ポアロ強ええ。ここから暫く天井カメラ映像になる。

フィニー版とは時代が変わった。乗客のひとりである医者が黒人俳優だ。船乗りたちにちゃんと定刻に出向できるかどうか尋ねている場面が荷役人に指示してる現地人に見えてしまう問題が発生。
しかもこの黒人青年がフィニー版でショーン・コネリーが演じたアーバスノット大佐。しかも医者にキャラ変。

船上でミス・デブナムとアーバスノットの重要な会話をポアロに聞かれるシーンが自分のイメージとまったく違う。この物語の構造上、医師は中立な立場で視聴者に的確に情報を与えないといけないのに、この役回りはどうなの?フィニー版のポアロ、ブーク、コンスタンチンのトリオがユーモアがあってよかったのに、ここも変えちゃうんだ。この映画はずっとシリアスでウエット。

証言へ斬りこんでいくポアロの目と口が鋭い。畳みかけるように質問する。原作のポアロはユーモラスな風貌で相手を油断させて証言を引き出すのに、この映画では容疑者たちを追い込んでいく態度が強くて厳しい。まるで現役で一線で活躍する刑事みたいにテキパキ動く。

あとポアロにはカトリーヌという心の恋人の存在が?!このポアロは事件の真相にかなり悩んでる。
そして除雪作業が終わると列車が動き出す。ユーゴスラビア警察が現場に介入するリミットがある。思っていた以上に考え抜かれたストーリーの書き換えかもしれない。

ポアロが狙撃され腕から血を流すシーンは初めて見る要素でびっくり。それどころか何もかもまったく新しいエルキュール・ポアロ像すぎてびっくり。
あの真相開陳場面は見せ場だったけど、ちょっと湿っぽすぎてあまり好きじゃない。音楽のせいかもしれない。

この映画、2017年になって初めてオリエント急行殺人事件に触れた人にとっては面白かっただろうと思う。
そして、原作を読んでる人、フィニー版を見て事件の構造をすでに知ってる人は混乱しつつも、ああ、そう変えたんだ…って思いながら見るまったく新しい別物の2017年版オリエント急行殺人事件だった。

フィニー版のラストで乗客たちが大喜びしてるのもどうかと思ったけど、ブラナー版の真実と正義への向き合い方もどうかと思うしキレが悪すぎる。
犯行時刻のトリックをまるまるカットしてしまい、本格推理もの感がなくなったのも痛い。結果、あまり好きじゃない。たぶんもう見返さない。
結局やっぱり一番はクリスティの原作だ。クリスティの文体が一番アッサリしてる。

ラストでポアロはエジプトでの事件に呼ばれるのだが、「ナイルに死す」もポアロ休暇中に起る事件だったはずだ。一体どこまで改変を広げていく気だ?

2019年10月27日日曜日

アガサ・クリスティー「スタイルズ荘の怪事件」(1920)

アガサ・クリスティー「スタイルズ荘の怪事件」(1920)を矢沢聖子訳2003年早川書房クリスティー文庫版で読む。私的クリスティマラソン53冊目。
THE MYSTERIOUS AFFAIR AT STYLES by Agatha Christie 1920
読む本がなくなった!と訴えたアガサは母から「じゃ、自分で書いてみたら」と言われて書いてみた。4社ほど出版を断られようやく出版された記念碑的作品。
これこそがミステリーの女王アガサ・クリスティーの長編推理小説第1作。この作品が名探偵エルキュール・ポアロ初登場作。

これ、15歳ごろ新潮文庫版で読んでるはずだが、もうまったく内容を覚えていなかった。今回読み返してみて、15歳の自分には内容がよく理解できていなかっただろうことがわかった。

今回読んでみたら意外にさらさらと読めた。時代は第一次大戦中?ベルギーからの難民のひとりが元刑事のポアロ氏。
この第1作でヘイスティングズくんはポアロは駅で再会。まだポアロに全幅の信頼を置いているわけではない関係。
この時代の英国貴族は自動車を所有している。だが、まだまだ馬車も交通手段として現役?

ヘイスティングズくんはたぶん30歳ぐらい。15歳年上の友人ジョンの住むスタイルズ荘に滞在中。
ジョンの血のつながらない継母エミリーが、怪しげな男と再婚。この顎鬚に眼鏡の男がスタイルズ荘のカヴェンディッシュ家の人々から嫌われている。

そしてエミリーはストリキニーネで毒殺。長男ジョンはヘイスティングズを経由してポアロに事件の解決を依頼。

クリスティ女史は第1作からクリスティだった。クリスティ作品によくみられる要素が盛りだくさん。そのひとつひとつが面白い。
そう見えていることは真実ではない。クリスティらしいミスリードもあざやか。
だが、その薬学と毒物知識は「そんなの読者はわかるわけないだろう」と思ったw 

ポアロがおしゃれ紳士だけど風変わり。自信満々でありながら一体何を捜しているのかわからないユニーク捜査。ヘイスティングズとのやりとりは英国のユーモア。

事件がかなり複雑。予期せぬハプニングによって犯人が計画を変更し証拠を隠滅するためにさらに複雑化。この犯人の計画は上手くいくはずがない。

ラストの事件の顛末の開陳部分が長い。伏線ひとつひとつを回収するけど、そのすべてには納得いかないかもしれない。読み終わって、もうすでに細かいところは思い出せないw 作家としての語り口の上手さの熟成はまだまだこれから。

ラストでのヘイスティングズは「男はつらいよ」の寅さんみたい。

今の自分にはまずまず面白かったように感じた。「スタイルズ荘」を読んだことで、残るポアロ長編は「アクロイド殺し」「ビッグ4」「ABC殺人事件」「カーテン」「ブラック・コーヒー」の5作のみ。「アクロイド」「ビッグ4」はすでに入手済みなのでそのうち読む。

2019年10月26日土曜日

新垣結衣「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」(2018)

2018年夏休み映画「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」(2018 フジテレビ 東宝)を見る。

自分、長年ガッキーオタやってても2008年コードブルーも、2017年コードブルーも見ていない。医療の現場ドラマを見ることがほとんどない。救急救命の現場が舞台になっているため、血みどろ急患を相手にしないといけない。そこが怖いw 結果、見たくない。

このドラマを2008年当時は第2話あたりまで見たのかもしれないが、なにせ肝心のガッキーがほとんどずっと同じ青い制服。変化がなくて見続けたいと思わなかった。

劇場版を何も予備知識がない状態で見た。現場の医師も看護師もみんな殺伐とした雰囲気。みんなプライド高い。センパイ医師が新人を叱り飛ばす。
冒頭でこれまでの「みんな悩んで医者になった」という過程のおさらい。児玉清さんとか出ていたのか。10年間はあまりに長かった。
ガッキーが飛行機事故の現場で治療を開始していると、トロント帰りの山Pがたまたま現場に居合わせ颯爽と登場。このドラマの視聴者には胸が熱いシーンかもしれない。だが自分は「ああ、エリート医師がパワーアップして留学から戻ってきたのね」という情報を読み取るだけ。

事故現場から急送されてきたけが人の中に末期がん患者もいる。重たい。その末期がん花嫁が結婚式でぶっ倒れる。ウェディング衣装を切り裂く命のギリギリ修羅場とか怖い。

さらにフェリーが海ほたるに衝突する大惨事も発生。どうしてそんなことが?国家の危機管理が問われる事態だろ。船長はなにやってた?

胸に鉄パイプがぶっ刺さった重症のけが人がいる前で、その息子とぐだぐだしんみり身の上話をしてる場合か?!ダメだとわかったらすぐ別の手を打て!
さらに山Pが感電し船底に転落して意識不明の最悪な二次災害。息つく間もなくつぎつぎに嫌なシーン。

新木優子と馬場ふみかのnon-noなふたりがカワイイ。馬場はナースなの?衣装の見た目がそれほど変わらないので見ていて混乱。
アル中母かたせ梨乃が2回目に出て来たときホントに嫌だったw 医師とナースにそれぞれ嫌な家庭の事情。だが、ガッキーに何か印象的なエピソードがあったかというと、もう何があったのかも思い出せない。

いろいろ詰め込んで結局「いろいろあったよね?」でしみじみして蛇足に蛇足を継ぎ足す退屈な終盤へ。正直、早く終わってほしかったw 

2019年10月25日金曜日

鮎川哲也「死のある風景」(昭和40年)

鮎川哲也「死のある風景」を読む。これは昭和40年に著者11冊目の長編推理小説として講談社から出版されたのが最初。後に各社から改訂版を重ねている。
今回自分が手に入れたものは1995年青樹社文庫版。もう1年以上前にいつかよむだろうと買っておいたもの。100円でゲット。

鮎川哲也は日本推理小説界の巨匠。松本清張の10才下、高木彬光より1才上という世代。
自分は今までまったく読んだことなかった作家だけど、「ペトロフ事件」が面白かったので2冊目としてこれを選んだ。松本清張や西村京太郎に近いアリバイ崩し昭和鉄道ミステリー。

作中で使われている架空の航空会社の時刻表から判断してたぶん昭和35年ごろが舞台。
当時はまだ蒸気機関車の時代。昭和の鉄道や地方の様子が興味深い。

家族で妹の誕生日を祝うはずが帰宅しない姉、翌日も会社を無断欠勤し失踪が発覚。後日、阿蘇山の噴火口へ身を投げて自殺した女性の遺留品から身元判明。
松本清張の短編でも読んだけど、この当時は阿蘇の噴火口に身を投げる自殺が流行ってたらしい…。

すると今度は唐突に金沢を旅する医者と看護婦カップルの場面へ転換。医者は旧友に会うために女と別行動。だがその夜、女は旅館に戻らない。海岸で射殺体となって発見される。
そして容疑者たちのアリバイ捜査。石川県警の刑事が東京、内房と関係者の話を聴いて歩く。社会派刑事ドラマのような展開に。
これは正直、自分と合ってなかったかもしれない…と思いかけた。

だが、西多摩の秋留にある農業用ため池の管理小屋でゴロツキ記者の死体が発見される。こいつは美容整形外科を脅迫し強請ってた。ここから先になると各ピースがピタッと組み合わさっていく。ああ、そう繋がってたのか。

鮎川哲也の推理小説には鬼貫警部が登場するのだが、この作品は全13章のうち第12章にしか鬼貫警部は登場しない。鉄道ダイヤと電報のトリックで決定的なひらめきをもたらす。
(クリスティのポアロやマープルでもラスト近くにならないと登場しないパターンはあるな)

これ、出版当時はかなりの力作鉄道時刻表ミステリーだったかもしれないが、ややこしすぎて現代人にはどうでもいいトリックかもしれない。昔の鉄道時刻表をじっくり眺めるのが好きな人は好きだろうと思う。
だが自分としてはあまり面白いものでもなかった。あまりオススメできない。
強いて感心するとすれば、上野駅のポストから発見されたブローニング拳銃の件ぐらいか?

この小説、現代人が読むにはかなりの困難が予想される。というのも、昭和30年代の常識がもはや多くの人が分からなくなってる。
この時代は多くの人が遠方と連絡を取る手段を電報に頼ってた。頼信紙(電報を記入する用紙)のこととかどうでもよすぎてさっさと読み飛ばした。
米軍キャンプ、ニュース映画館とか時代を感じる。昭和30年代になっても上野駅には闇米の取り締まり警官がいたことにびっくり。

あと、日本海を渡ってくるツグミはかつて金沢の名物料理だったことを知った。
現在では野鳥を捕獲することは厳しく禁じられているのだが、ほんの40年50年前まで、ツグミは料亭や居酒屋で焼き鳥メニューとしてポピュラーだったことを初めて知った。
調べてみたら、石川県や北陸地方ではツグミを大量にカスミ網で捕獲して食用にしていたし、農村でも食用にされていたらしい。

2019年10月24日木曜日

罪の余白(2015)

芦沢央 「罪の余白」をオスカーの吉本実憂内野聖陽主演で映画化したものがあるので見る。
この映画の存在は以前から知っていたのだが、内野聖陽というベテランとの共演というハクと実績づくりという、いかにもオスカーらしいやりかたで、あまり見たいと思えなかった。

もうすでに4年前の映画。オスカーは上戸彩、武井咲の次の主演女優を育てようとして、白羽の矢を立てたのが吉本実憂だった。乃木坂の山下美月をさらに正確キツそうな美人に整えた感じ。
どうも育成が上手く行っていないようで心配。オスカーはこれだと決めたひとりに集中投資、ダメとあきらめたらサッと手を引くことで有名。そんなつらい目に遭うカワイイ子を見るのは耐えられない。
木場咲(吉本実憂)は名門女子高のスクールカースト最上位に君臨する悪魔の女帝。てゆうかほぼ鬼。デスメタルとか聴いてそうな顔。こんなやつのご機嫌を伺い意向に忖度して学園生活を送らないといけないとか地獄。

こいつが内野教授の最愛の一人娘を事故死に追い込むのだが、え?!てっきりイジメ自殺に追い込むのかと思ってたら催眠チキンゲーム。

展開にあまり納得がいかないが、10代の子ならこういうこともあるかもしれない。
これって、むしろ吉本が大ピンチ。素直に謝ればそれほど問題じゃないのに「嫌だったら自分で断ればよかった」という人間のクズ。「うちらなら上手くやれる」と隠ぺい。一部始終を目撃していたクラスメート、なぜこういう事態になったのか、ちゃんと証言しろ。

「自分らから謝るとかありえねーから!」言葉遣いは汚いが、ある意味正しいリーガルマインド。欧米か!
偽名を名乗って内野宅を訪問し、号泣演技をして日記帳がないか探りに来るとか悪質すぎ。まるで松本清張の悪女。

内野聖陽は動物行動心理学者?!それ「不機嫌なジーン」を知ってる人は「またかよ!」と思ったに違いない。過去の役作りの正しい再利用。
娘を亡くした内野は仕事を辞め廃人。

吉本の目の前で娘のパソコンのパスワードロックを解いてしまうのは展開として都合よくない?って思った。
咲というクラスメートに虐められたことがパソコンの日記に書いてある。内野のテンパリ具合と吉本のあちゃーという顔、そして口から出まかせ。このシーンがコントっぽくて安っぽい。そんなウソやがてバレるにきまってるだろう!こういうところがこどもっぽい。

で、そそくさと部屋を退散。そこでそのBGMなら後ろからガバッと内野から腕捕まれるだろう…と予想してたら内野の放心半目姿に爆笑。真面目に作っているようで何もかもセンスが自分と合わない。

そして生徒たちに話を聴いて回る。吉本を発見し復讐の鬼。それ、湊かなえ「告白」と似た展開。
正義&クールな葵わかながカワイイけど脇役。乙女新党を卒業し女優に専念し始めたころ。
この子は後に朝ドラ「わろてんか」という最低レベルにつまらない作品の主演を引いてしまい、人気女優になれていない。いろいろ上手くいかない。「陽だまりの彼女」での大活躍がすでに懐かしい。

女子高文化祭で不審者として連行される件、その場所で娘を亡くした父親であることを担任に証明してもらって逆に警察に捜査の件はどうなったか問いただせばあんな目には遭わなかったのでは?
映画であってもバカ警察を見ると胸糞悪すぎ。禿刑事もテメーとか汚い言葉使うなよ。

咲は内野にあえて暴力を振るわせ現行犯逮捕させたり、児童の性的虐待の噂を広めたりとありとあらゆる非道で被害者父を追い詰める。

内野が前後不覚にとりみだしすぎ。周囲に取り押さえられすぎ。いいマンションに住んで酒飲んでる金と暇あったら探偵を雇うべき。
大学に勤めていて相談してくれる同僚もいない。唯一の味方が谷村美月助手。頼りないが、ラストでは頼りになる。

対決シーンがサイコパスVSサイコパス。こういうの、追い詰める側が理性と知性と正義があってほしい。見ていてぜんぜん楽しくないw

この映画を見ると子供をイジメ自殺で亡くした親が学校と警察に真相究明を求める難しさを痛感。両方が敵。
今回自分は武田玲奈と、「いだてん」に出演していた北香那を見たくてこの映画をチェック。
ふたりともに教室シーンとモブシーンのみの出演。
武田玲奈が全出演者で一番かわいいけど、武田玲奈目当ての人は見る必要ない。
今田美桜は人気かもしれないが、自分はまだ一度もカワイイと感じたことがない。

芸能事務所マネージャー加藤雅也がうさんくさすぎ悪人容姿。
スタッフロールが下から上へという見たことないチャレンジ。

2019年10月23日水曜日

コリン・デクスター「別館三号室の男」(1986)

コリン・デクスター「別館三号室の男」(1986)を1994年ハヤカワミステリ文庫で読む。これがシリーズ7作目。自分にとってデクスター6冊目。
THE SECRET OF ANNEXE 3 by Colin Dexter 1986
今回もオックスフォードが舞台。ホテルの新年特別プランの余興ゲーム大会の仮装大会優勝者が部屋で死んでる。
で、モース警部とルイス警部が捜査開始。死体は一体誰?宿帳は偽名だし身元がわからない。
泊り客も偽名ですでにホテルから姿を消している。これは捜査が難航しそうでモース激怒。いつものようにルイスが気の毒。

もう序盤からぜんぜん頭に入ってこない文体。ペダンチックでスノッブ野郎のモース。つまりデクスター。これは自分と合ってない作品だった。さっさと読み飛ばした。真相もそんなに驚けない。

良質な英国ミステリーを期待して読むのだが、デクスターには毎回悪い意味で裏切られっぱなし。ミステリーというよりモースとルイスのキャラで萌える刑事ドラマ。

部屋のドイツ語表記にケチをつけておきながら、支配人がドイツ語ペラペラだと知って口をつぐむとかw「ドイツ語知識はワーグナーとR.シュトラウスからだけ」

警察医とのやりとり
医「被害者の年齢は30から40。あるいは29か、41かもしれん」
モ「あるいは42かも」
医「あるいは28だ」
モ「先を続けてくれ!」
こういうところが英国人っぽい。まるでパタリロとバンコラン。

もうデクスターはよほど薦められないかぎり手に取るのはやめようw

2019年10月22日火曜日

川口春奈「にがくてあまい」(2016)

川口春奈の主演作に「にがくてあまい」(2016)という映画があるので見てみる。申し訳ないがこんな映画が存在することを今日まで知らなかった。

何の予備知識も無く見始めた。
オフィス街でお昼ご飯の風景。どうやらこのヒロインが野菜をまったく食べることができないようだ。ゼリーのようなものを食べている。こどもか。
仕事に余裕がなく焦りまくっている。職場の上司もすごく嫌な感じ。
野菜嫌いヒロインがゲイの高校教師林遣都の家に転がり込んで一緒に住みはじめる。そのへんが唐突。
リップスライムのSUさんがバーのマスター役で出てる。
で、ベジタリアンで料理上手な林の野菜料理で野菜を食べられるようになるという。え?そんな短期間で?

自分、今までまったく意識していなかったのだが、林遣都ってハーフなの?って初めて感じた。調べてみたら同じことを思っている人が多い。英国人っぽい感じがする。
今はハーフかどうか?とかデリケートな問題なので、疑問に思って調べるということも許されないかもしれない。

その一方で部屋でだらしない姿をしている川口春奈がインド娘に見える。顔がすごく濃い。部屋でパンツ一枚姿がちょっとトキメく。
自分、今まで川口春奈をわりと好きだったのだが、この映画のヒロインは自分勝手すぎてなんら共感したり同情したりすることができずイライラ。

男は優しく愛情のこもった野菜料理をつぎつぎと繰り出す。愛妻弁当のようなものまで持たせる。ヒロインはこの男のことが好きなようだが、男はゲイなのでヒロインを何とも思っていない。

ヒロインの態度が異常。自分の立場をわかっていない。人生をかけたCMプランナーとして仕事を出演を希望するアイドルモデルに断られるのだが、林に教えられたゴーヤープリン持参で押し掛け無理矢理食わせるw 迷惑。
後半はヒロインの常識のない予想外さがむしろ面白かった。ヒロインの実家シーンはとくに面白い。
軽トラの運転を代わるシーンでシフトレバー見て「AT免許だから運転できないじゃん!」ってシーンも可笑しい。

短いストロークで面白ネタが唐突に何発も撃ち込まれてくる。劇団っぽい。脚本はヨーロッパ企画の人らしい。クレジットに脚本監修・上田誠(ヨーロッパ企画)とある。脚本監修?そんな参加の仕方があるのか。

主題歌はOKAMOTO'Sの「Burning Love」。

2019年10月21日月曜日

FLOWER FLOWER「インコのhave a nice dayツアー2019」10月20日@Zepp DiverCity

Zepp TOKYOで始まったインコのhave a nice dayツアー2019も中盤に差し掛かった。福岡、名古屋を回って再び東京お台場のZepp DiverCityへ。開場時間の4時ちょっと過ぎに現場に到着。

ZeppTOKYOは平日だったので学生みたいな子ばかりだった。ライブ引退を考える程ファン層が若返ってた。今回は日曜日なので、さすがに30代40代な感じの人も多かった。前回、仕事がどうしても終わらず来れなかった友人と一緒にフロアへ。1200番台だったのでそれほど見やすい場所というわけにはいかなかった。
ZeppでSOLD OUTすることは簡単なことじゃない。FLOWER FLOWERはなかなかの人気バンドといっていいのではないか?
若い子のファンが多い。男女ファンの比率もほぼ半々。まだまだ上を狙っていけるバンドだ。

この日は映像収録が入った。次のアルバムのオマケ映像かな?と思う。
この日集まった聴衆はyuiに呼び掛ける人がいつもよりちょっと多かったようだ。曲終わりの余韻に浸っているときに大きな声で「ユイ~ッ!」と叫ぶ男が悪目立ちしていたように思えた。

映像収録が入るとyuiも「緊張する」と言っていた。「放送禁止用語とか言っちゃう?まるまるカットしてもらうために」。
「(メンバーが)いつもよりテンション低い」とも言っていた。無理にテンションを上げるため?「素晴らしい世界」では「東京イェイッ!」

「コーヒー」が終わるとメンバー紹介。今回はピアノに絵を描いたナツコさん、ロングTコラボした人なども紹介。(招待され来場していたようだ)

ならば、MCはむらじゅんに引っ張ってもらおう。
む「一時期冷え切ってたけどw、最近みんな仲良くて。打ち上げ行ったり。」「博多のもつ鍋とか最高。ツアーの思い出が食べ物。」「僕らは人生というツアーをやってる」

あんまり他にMCネタがなく困ってる様子。yuiは無理矢理「今日、ラグビーあるよね!」む「博多の打ち上げでもラグビー観てた。誰もルールわからないから、行け~!としか言わないw」

いつも以上にしゃべろうとしないメンバー。まふまふも映像収録があると緊張するらしい。ゆ「わかるよ。収録あるともっとうまく歌おうと思うもん。」
さっちゃんにモノマネをムチャブリするも、さ「ぜったいムリ!」ということでMC終了。ゆ「……これがバンドです。いつももっとテキトーなこと言ってます…。」「ガンダム見た?でっかいよね!」

そしてこの日もやっぱりRolling starで大盛り上がり。まふまふ「バンドをこっそり8年、正式に7年やってて、ずっと応援してくれてる人たちへの御礼のために」

自分としてはバンド初期からある「バイバイ」がどんどん演奏が進化してるように思う。自由でありながら極まってる。yuiの歌唱も完成形に近い。

アンコールでもyuiは「反省点はMC。上手くなるので、また懲りずに来てください!」と言っていた。この日はあんまり面白い話ができなかったなと後悔している様子。でも、喋りと仕切りの上手いyuiなんて誰も期待してないし求めてもいない!w
インコのhave a nice dayツアー2019 Zepp DiverCity 10月20日セットリスト
01.月
02.時計
03.素晴らしい世界
04.とうめいなうた
05.席を立つ
06.命
07.コーヒー
08.灯火
09.秋
10.炎
11.蜜
12.神様
13.Rolling star
14.パワフル
15.踊り
16.バイバイ
アンコール
01.スタートライン
02.ひかり 
Zepp TOKYOとは開始3曲の順番が違っている。
自分は「ひかり」が大好き。この曲を圧倒的な音圧で浴びていると、ひたちなかの陽光に眩暈を感じながら芝の上で聴いてるような錯覚に陥る。来年はこの曲をグラスステージで聴きたい。

ひょっとするとこの日のライブで自分の今年のライブは終了かもしれない。
ユニコーンガンダムになって初めてDiverCityに来た。人のあまりの多さに困惑。それに、これってもはやガンダムじゃないよね?

2019年10月20日日曜日

黒島結菜、黒髪をほどく

黒島結菜は「死役所」番宣のために今度もジャ○ーズ系バラエティ番組に出演。「二軒目」では髪を後ろで結んでいたのだが、髪をほどいてテレビ出演。これがもう一目見て「おおぉ…」と感動のあまり言葉を失った。誰、この美女?!
髪が真っ黒。まるでスペイン女のような匂い立つようなエロス!
黒島ジーマーミ豆腐エピソードを再現VTRを交えてトーク。それ、初めて聞く。
沖縄時代の黒島には大好きで忘れられないジーマーミ豆腐があったらしい。好きすぎて他の豆腐は食べられないという。そのエピソードを見て自分で自分を笑う黒島。
番組はすでに閉店した豆腐店の店主を探し出した!そして、黒島に3つの豆腐から選ばせる「利きジーマーミ豆腐」を出題。
これが一口食べただけでハッキリと確信をもってBと回答。Aは美味しいけどもちもちさが違う。Cは初めて食べる全然違う味。
ゆいなは違いの分かる女。難なく正解。さすがだ。試験問題もこれぐらいハッキリわかりたいものだ。
黒島結菜は初めてみたときからまさみに似ていると感じていたのだが、竹内結子にも似ていると感じ始めている。

2019年10月19日土曜日

三島由紀夫「仮面の告白」(昭和24年)

三島由紀夫「仮面の告白」を読む。自分、中学生時代に「潮騒」「金閣寺」を読んだ。そのとき「仮面の告白」も読むリストに入っていたのだが、新潮文庫版の裏に書いてある簡単なあらすじ「女性に対して不能であることを発見した青年が、」の件が、金閣寺以上におどろおどろしいような感じがして結局読まなかった。これを中学生当時に読んでも気持ち悪くて意味が解らなかっただろうと思う。

で、今になって読む。現行の新潮文庫版の表紙がダメ。この表紙の新潮文庫しか認めない。三島由紀夫の格調高く美しい文体を予想させる良い装丁。

これ、少年時代の前半が読んでてキツい。ずっとホモセクシャルな性癖性向の告白。

だが、草野センパイという人と交友するようになりその妹園子が現れてからは普通の恋愛青春小説になる。
やがてふたりはキスをする。だが、この青年はかわいらしい園子に対して何の感情も起らない。

やがて草野センパイから妹と家族の代理で「で、どうなの?結婚とかしないの?」という手紙が届く。だが丁寧に婉曲に断る。想像以上にいろいろ展開が速い。

そして戦争が終わり、官吏登用試験に受かった主人公の前にふたたび園子が現れる。園子は見合いの末、外交官と結婚し幸せになっていた。無難に最近の作家の話題なんぞをする。かつてのように、Aという作品は読む?と聞いてみた
園子「あの女の裸の?」
主人公「え」
園子「いやだわ……表紙の絵のことよ」
二年前、彼女は面と向かって「裸の女」などという言葉を使える人ではなかった。園子がもう純潔ではないことが、こうした些細な言葉の端から痛いほどわかるのである。
長年自分も関心のある人の言葉の端々に注目してしまったので、すごくよくわかるw 
だが、使う言葉一つで「純潔でないことがわかる」なんてありえない。どんだけ痛いんだよ。

園子と再会してからの煮え切らない展開が読んでいて地獄w ラスト5分間の緊迫感と手探り感。そして終局の幕の下りる速さ。

三島の文体がまあ美しくて真似できない上手さ。大蔵省を辞めて作家に転じた24歳の文学の才能がすごい。高校生が読むにはイッパイイッパイになるぐらいいろいろ難しい。

2019年10月18日金曜日

黒島結菜、酒を飲む

この秋、テレ東で新ドラマ「死役所」が始まる。マンガ原作らしい。いろいろな事情で死んでしまった人々が手続きのために一時的に立ち寄る場所が死役所らしい。ま、「銀河鉄道の夜」みたいな?「鎌倉ものがたり」みたいな?

で、黒島結菜はTOKIO松岡と一緒に番宣のため「二軒目どうする?」というトーク番組に出演。
黒島は22歳になっていた。あたりまえかもしれないが、黒島はいつのまにか酒を飲むようになっていた。
黒島が酒飲んでるとこ初めて見た。この番組は博多大吉、居酒屋雑誌の編集長らと一緒に「二軒目の居酒屋」でというていで、酒を飲みながらトーク。
イマドキの20代は韓国アイドルみたいな子が多い中、黒島は顔が浅黒く髪が真っ黒で素朴で稀有な存在。自分はだんぜん黒島結菜みたいな子がいいと思う。

黒島は沖縄本島糸満出身だが、父親は石垣島出身だということをこの番組で初めて知った。17で上京したとき部屋を用意したのは事務所でなく親だったらしい。
この番組のロケがなぜか川崎。いったいなぜ川崎?w 川崎はここ10年人口増加率が高いらしい。東京と横浜の間にあるのだから便利に違いない。自分、人生で5回ぐらいしか川崎に行ったことない。うち3回が川崎大師。

いか大根という料理を初めて見たという黒島。そういえば自分の実家ではよくいかじゃがが出た。いか大根もいかじゃがもここ数年まったく食べていない。
黒島は「趣味は何?」という質問にカメラでなく犬の話をしていた。保護された雑種犬を飼っているらしい。なんと名前が「こはだ」w。ドッグランに連れて行ったり犬中心の生活だという。
さらに3軒目の中華料理店へ。この店が白ワイシャツのサラリーマンばかりで驚いた。紹興酒をぐびぐび飲む黒島。酔っ払い黒島を初めて見た。
かわいい。黒島の出るドラマは民放だと深夜ドラマや配信ドラマが多い気がする。もっとたくさん黒島を見たい。バラエティMCとかでも見たい。

2019年10月17日木曜日

有栖川有栖「孤島パズル」(1989)

有栖川有栖「孤島パズル」(1989)という本を読んだ。1996年創元推理文庫版で。
THE ISLAND PUZZLE by Alice Arisugawa 1989
今年の2月に買って積んでおいたもの。自分、推理小説をよく読むようになってまだ4、5年。この作家の名前もBO本棚でよく目にしていたのだが、ペンネームがちょっとふざけた感じがして勝手にライトなイメージを持ってて眼中になかった。
これはタイトルとジャケットと、孤島を舞台にしたクローズドサークル連続殺人っぽいので「ひょっとしたら面白いかも」と買っておいた。

主人公の名前が有栖川有栖。文中ではずっとアリスと呼ばれていて、こいつが男子大学生だということになかなか慣れなかった。
そしてヒロインは有馬麻里亜。この美少女も名前がふざけててラノベ感がする。ふたりとも京都の大学に通う法学部2年生。アリスとマリアでも日本人。

あー、はいはい。20歳の大学生が夏休みバカンスで絶海の孤島へ行って外部と連絡が取れなくなって連続殺人が起こるパターンね。キャンパスでの会話もコミカル。ジュヴナイル感もする。
ミステリー研部長の江神二郎が名探偵役らしい。黒髪ロン毛7回生。京都コトバの探偵。

奄美の南にある熱帯の島・嘉敷島は、上向きランドルト環のような形をしていて、内側が湾になっていて、先端に親戚一同が宿泊する望桜荘があり、もう片方に画家がアトリエにしているロッジがある。ここはボートで行き来する。陸路だとぐるっと島を回って徒歩だと1時間半自転車だと30分かかる。

バカンスしながら資産家アリスの祖父が孤島に5億円相当の宝石を埋めたという宝さがし。島内に点在するモアイの向きが暗号になってる?
これが社会派刑事ドラマとかクソくらえな現実離れした設定でとてもワクワクする。
海岸の岩場での宝探しはちょっと新田次郎「つぶやき岩の秘密」を連想した。

マリアの伯父一家の長男は財宝探しあと一歩のところで溺死という事故死をしていた?
そしてその恋人だった女性はその家の養女になっている。
次男はライフルを不法所持。滞在客に見せたり撃たせたりする。夜は酒飲んだりジグソーパズルをして1日を過ごす。

やがて、親戚親娘が室内で射殺される。しかもドアも窓も内側から鍵。台風接近で銃声が聞こえなかった?父は大腿部を撃たれ後頭部をテーブルの角に打ち付けて倒れていた。胸を撃たれた娘はその上にのしかかるように重なって倒れて絶命している。自殺なの?他殺なの?先に死んだと思われる娘の方が上に重なってるのはなぜ?
凶器のライフル銃が室内にない。窓の外はすぐ海。海に捨てた?外部と連絡を取るための唯一の手段である無線機が壊されている!

そして今度は対岸に住む画家が胸をライフルで撃たれて死んでいる。散乱するジグソーパズルにダイイングメッセージでもあったのか?
ボートがその夜マリアのおっちょこちょいで転覆し湾内を漂っていて使えなかった。つまり犯行は自転車での往復で行われた?

やがてこの家の次男が自殺。兄殺し、密室殺人、画家殺しを告白する手紙を残して。だが、江神はささいな証拠から他殺であることを見抜く。

この江神二郎という大学生がエラリーくんばりのガチロジックで犯人を特定。犯行時刻と自転車の存在と不在のアリバイ、路に落ちていたメモ紙の上に自転車のタイヤ痕があったという事実から、こいつしか犯行を行えなかったと見抜く。
娘が父に折り重なって死んでいた理由を知ったとき「どっひゃあ」と声が出たw

江神くんはエラリーくんのように自信満々じゃない。証拠がないことを認めてわからないところは犯人に教えを乞う。

この本、自分はめちゃめちゃ面白かった!読んでる最中も飽きないし、細部までパズルのピースがピタッとあって爽快!犯行動機も日本人に合ってる。
これがクリスティやエラリーだったら大絶賛の名作になっていたに違いない。エラリーよりはるかに面白いかもしれないw 

なんで今までまったく知らなかったのか?今後も有栖川有栖を探して読んでいく。また読書の幅が広がった。自分が知らなかっただけで平成時代は才能あるミステリーの書き手であふれていた。

2019年10月16日水曜日

吉岡秀隆「八つ墓村」(2019)

10月13日の夜9時、台風19号関東直撃という、ただじっとしてるだけで恐ろしい状況下。多摩川&荒川そして東京中のほとんどすべての河川が氾濫目前という役満リーチ状態で「八つ墓村」がBSプレミアムで放送された。

前回の「悪魔が来りて笛を吹く」で仄めかされていた待望の新作だが、登戸の無差別児童殺傷、単独犯日本新記録となった京アニ放火事件といった拡大自殺を連想させるのでお蔵入り企画になるかもと思ってた。予定通りの放送だった。

角川文庫の原作を初めて読んだのがたぶん中3か高1のころ。当時はそれほど面白いと思えなかった。
そして、満を持しての市川崑監督による豊川悦司版(1996)を見て、野村芳太郎監督による渥美清版(1977)を見た。どちらもさっぱり面白くなかったw (ひょっとすると稲垣吾郎版も見たかもしれないが、まったく覚えていない)

金田一耕助は前回に続いてまたしても白髪交じり短髪の吉岡秀隆だった。見た目がまるで初老w
金田一さんはもっさり汚らしい長髪モジャモジャヘアスタイルでないとしっくりこない。
実質主人公の辰弥を演じたのは村上虹郎という若手俳優だが、この人はなんと村上淳の息子だ。びっくり。だが、あんまり昭和20年代の人物という感じがしない。(村上淳は「悪魔が来りて笛を吹く」では新宮利彦という諸悪の根源を演じていた)

懐中電灯二本刺しハチマキの狂人多治見要蔵がポン刀と猟銃を提げてこちらに向かって走ってくる姿だけが「八つ墓村」のホラー映画としての魅力。
今回の要蔵はなんと音尾琢真という意外なキャストだったのだが、こんなやつにロックオンされるかと思うと心底恐ろしいものを感じた。このキャストは良い。
美也子役は真木よう子。昭和20年代の女らしかったし役柄にぴったりな雰囲気だった。さすがの存在感とハマり具合。発声が芝居がかって異常に感じた。いかにも横溝正史の悪女といった感じ。辰弥の背中の火傷の跡を舌でぺろぺろ舐めるシーンはエロすぎてたまげた。

自分としてはその他どのキャストもしっくりこない。やたら軍人らしさを出す駐在の警察官も現代の若者にしか見えなかった。
昭和20年代の雰囲気を今出そうとすると大変に難しい。例外的に典子役の佐藤玲という女優は容姿雰囲気声質喋り方が昭和20年代で感心した。

自分は「八つ墓村」が苦手。雰囲気だけの作品で、どうやったって「八つ墓村」は面白くなりようがないと思ってる。
今回の喜安浩平脚本、吉田照幸演出には多少の期待はしていたのだが、これもやっぱり自分の予想をそれほど上回らなかった。もう見返さないと思う。

もし自分がこの作品の映像化を命じられたら、落ち武者だまし討ちシーン、要蔵の村人32人惨殺シーンは一切カットしたいw
登場人物にさらっと説明させるだけにしたい。ハイコントラストのコマ送りモノクロ映像フラッシュバックだけにしたいw

77年野村版みたいな洞窟の中でのエロシーンと妖怪変化シーンがなくてほっとした。渥美清のバナナのたたき売りみたいな口上でのくどい説明がなくてよかった。
だが、最後の病室での真木よう子告白シーンはやっぱり嫌い。徹底的にドライに、金田一さんの口からさらっと真相を説明するだけがいい。國村隼、小柳友とのシーンもいらない。
堤幸彦監督が「TRICK」でも散々にバカにしていたアホすぎる無教育村人たちが、過去作と比べて一番飛ばしてんなあと思ったw 殺人の共同謀議だし住居不法侵入だし武器準備集合罪だし傷害と殺人未遂。あの執念深すぎるイッちゃったリーダー格の男は実刑くらうに違いない。他の村人は脅されてしかたなく…ってことにすればいい。

あと、最初に尼僧が毒殺される場面も、真木よう子の最期も、なんで医者がすぐ手当しない?って思った。
それにしても主人公辰弥はスーパーハードな体験をした。だが、今回のラストは希望の持てる楽しいものだった。このシーンは好き。大判がリアルじゃなかったけど。
それだけにその後のラストの怖すぎシュールさが映えた。

BGMがベルリオーズの幻想交響曲だったのは新鮮だったけど合ってたのか疑問。それに手あかのついたデスペラードはダメw

事件が終わって磯川警部(小市慢太郎)は「亀の湯っていういい温泉があるんですよ~」と金田一さんを誘う箇所に笑った。
ということはつまり、次回作は「悪魔の手毬唄」だ。たまには違う作品も見たいのだが。

2019年10月15日火曜日

アガサ・クリスティー「ねじれた家」(1948,1949)

アガサ・クリスティー「ねじれた家」を読む。田村隆一訳ハヤカワミステリ文庫(1984)版で読む。個人的クリスティーマラソン52冊目。
CROOKED HOUSE by Agatha Christie 1948,1949
これまた毎度毎度の英国資産家屋敷での遺産相続をめぐる毒殺事件。

青年外交官チャールズはカイロで若く有能な役人ソフィアと出会い恋仲になる。2年の外地勤務の後に結婚を申し込むのだが、ソフィアの反応がおかしい。
ソフィアの祖父でギリシャ移民一代で財を成した当主アリスタイドが、糖尿病のインシュリン剤が毒物とすり替えられ死亡していた。

事件が解決するまで結婚できない。チャールズの父親はロンドン警視庁の副総監。タヴァナー警部と一緒に屋敷に入り込み聞き込み捜査。

当主アリスタイドは80近いのに30代の後妻ブレンダがいる。
長男夫婦(レストランチェーン経営のロジャーと物理学者クレメンシイ)も同居。
次男フィリップは本を書き、妻は女優。その娘がソフィア。弟と探偵を気取る妹がいる。そしてその若くハンサムな家庭教師がブレンダといい関係?

やがてソフィアの妹ジョセフィンがドアの上に仕掛けられたブービートラップで脳震盪。

これ、読んでも読んでも面白くなってくれなかった。チャールズとソフィアはぜんぜん積極的に犯人を捜してない。
結局、ちょっとしたサスペンスミステリー。推理小説要素が少ない。この真犯人はそれほど意外でもない。満足度も低い。これは駄作だったように思う。

2019年10月14日月曜日

シリーズ深読み読書会「悪魔が来りて笛を吹く」

シリーズ深読み読書会(10月9日放送)がまたまた横溝正史を取りあげた。今度は「悪魔が来りて笛を吹く」

今回のナビゲーター的ナレーターはなんと鈴木杏。だが、「金田一少年の事件簿」に出ていたというのに杏ちゃんは横溝正史を読んだことがなかったという。ま、それが普通か。

そしてこちらも初めて横溝を読んだという島田雅彦氏、そしておなじみ高橋源一郎道尾秀介の2氏。
この4人が「悪魔が来りて」に隠されたメッセージを深読みし読み解く座談会。
アプレゲールだ!道鏡だ!チェーホフだ!源氏物語だ!オイディプスだ!など、インテリトークに耳を傾ける。

まさみの同級生鈴木杏がまるでスナックのママみたいになっていて衝撃w 何かの役作りか?
作家たちに交じって的確に自身の「悪魔が来りて」解釈と持論を展開していて感心。杏ちゃんの口から「肉欲」とか「近親相姦」とかいう言葉を聴くことになろうとは。
高橋源一郎氏は作品の前後の年表から「高木元子爵失踪事件」なる新聞記事を発掘してきた。
「悪魔が来りて」は帝銀事件がモチーフと見せかけて、三笠宮の義理の父(入江侍従長の義理の兄)である高木正得元子爵が失踪して奥多摩山中で白骨死体となって発見された事件を元ネタにしていた!これが華族制度廃止による困窮が原因か?
それ、今まで知らなくてびっくり。

高橋氏は須磨がでてくることから「源氏物語」との類似性を指摘。その一方で島田氏は得意ジャンルのオペラからモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」におけるドン・ジョヴァンニ、ドンナ・アンナ、騎士団長を「悪魔が来りて」の登場人物に当てはめるなどの説を披露。道尾氏はクラシックにまったく馴染んでないらしく「話にまったくついていけないw」とのことだった。

さらに高橋氏は椿新宮玉虫という貴族の名前に着目。何かメッセージが隠されているのでは?
椿は「首が落ちる」不吉な花なので名家の家紋には使われない名前らしい。新宮は大逆事件の主要メンバーを出した土地。そして、玉虫は「玉虫厨子」を連想。それはつまり、兄(用明天皇)と妹(穴穂部間人皇女)の間に生まれた聖徳太子だ!

作家先生たちは「悪魔が来りて」を「こんなこと書いていいんだ」と感心していた。ギリシャ悲劇でしかないようなインセストタブーを盛り込んだ小説は他にあんまり見かけない。

2019年10月13日日曜日

辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」コミック版

辻村深月(直木賞作家)をまだ一冊も読んだことない。「冷たい校舎の時は止まる」(2004 講談社)もまだ読んだことなかった。

だが、そこに講談社文庫コミック版(新川直司作画 2008年から2009年にかけて講談社コミックスKCDXとして出版されたものを2012年に文庫化)があるので読んでみた。小説で読むとまる1日以上かかるのだが、マンガ版だと半日で読めるw

まったく予備知識なしに読み始めた。たぶん高校を舞台にした日常ミステリーだと予想していたのだが、なんと、ファンタジーホラーだった。

上下巻読み終わった結論から言うと、これ、面白かったですw

高校生たちの新学期が始まる。アイツも停学が明けてかつてのように仲良し8人組がまたそろって学校へ。だが、自分たち以外誰も登校していない。職員室にも誰もいない。チャイムも鳴らない。なんで?
時計がみんな同じ時刻で止まってる。その時間は高校文化祭の日に生徒が校舎屋上から飛び降り自殺した時間だ!だが、それが誰だったのか?誰も覚えていない。

学校の外にどうしても出られない。ケータイでもパソコンでも外部と連絡つかない。ドアや窓を破壊しようとしても傷ひとつつかない。なんだこれ?

やがてひとりずついなくなる。大量の血痕なんかはあるけど、死体はどこにもない。

その地域でNo.1の進学校に通い、しかも学年トップクラスの生徒たちは考える。この中の誰かが自殺して、その意識の内部に閉じ込められている?!

これ、冒頭で登場人物のフルネームとか関係性とか何も説明してくれない。なかなか事実関係が呑み込めない。

登場人物表とかあればいいのに…と思っていた。だが、8人の名前は読み進めていくうちにわかっていく。それこそがこの物語のキモ。ちなみにヒロインの名前は辻村深月だ。

ぼんやりしかわからない状態でもどんどん読み進めていい。最後の方で「オマエ、誰?!」って人物が出てきて驚く。
ひょっとすると原作小説はいわゆる叙述トリックか?

みんな高校生で受験生なのにこれまでの人生がヘビー。家庭環境、受験勉強、恋愛、友情、イジメ、それぞれがトラウマ級の心の傷を負っていた。
受験、貧困、イジメはとくに残酷な現実だなと改めて思った。

ぜったいバッドエンドだろ…と思いながらページをめくっていた。だが、ラストは救済のあるハッピーエンドなので、安心してページをめくっていいw
「うる星やつら ビューティフルドリーマー」と日向坂「Re:Mind」みたいな?スティーブン・キングみたいな?

作画も自分と合っていた。それぞれのキャラクターの描き分けが簡単な線でよく表現できていて感心。

原作小説もいずれ読もうと思うのだが、「長すぎる」という不評も聞く。マンガ版だとそれを感じない。新川直司という漫画家も注目が高いので広くオススメする。

2019年10月12日土曜日

渡部淳一「阿寒に果つ」(1973)

渡部淳一「阿寒に果つ」を中公文庫(2015改版)で読む。婦人公論1971年7月から72年12月号に連載されたものが初出。1973年に初単行本化。

渡部淳一(1933-2014)の本を読むのは初めて。まさか自分が渡辺淳一を読む日がくるとは思ってもいなかった。自分、元医者の書く恋愛小説なんか読めるか!と思ってたw

だが、これを読もうと思ったきっかけは乃木坂46橋本奈々未「恋する文学」で取り上げられたから。たぶん橋本はこの本をちゃんと読んでる。

そして、記憶に新しい2017年に起った中国人女性の失踪事件。この本をモデルにした自殺らしい。ということは、中国でも有名な一冊らしい。
物語は1952年4月13日、雪解けが始まった阿寒湖を見下ろす釧北峠の一角で、赤いコートを着た女子高生の遺体が雪原から発見される場面から始まる。

そして高校2年生の回想。
1952年は学制が変わり、通ってた学校の名前が札幌南高校に変り、男子校だったのに2年生に進級したら男女共学になって戸惑う…という時期。

ムッツリ生真面目高2少年俊一が、大人びた魔性の美少女純子に興味を持たれ、翻弄される。こっそり図書室でウィスキーを飲みタバコを吸いキスをする。昔はそのへん、おおらかでいいw
この少女が絵画の才能があって有名人。美術界の大人たちと交際し、新聞社の取材を受け、東京へも出かけたりする。
純子はじつは結核で学校をちょくちょく休んでいた。文化祭の雪像作りで喀血し周囲は大慌て。

修学旅行の上野では旅館で「下着!?」という青春お色気シーンも。いろいろと映像が眼に浮かぶ。
純子は俊一とラブレターを交わし、会うたびにねっとり濃厚なキスをしておいて、他にも数名の大人の男たちとも男女の関係?! 

純子の死から20年、俊一は純子の絵の師匠である画家に会って話を聴く。ここからは画家目線になる。これが聴くんじゃなかったという話。
14歳の中学生がとつぜん絵を習いたいと妻子ある30代画家浦部のアトリエにやってくる。最初は断るのだが絵の批評なんかして指導してると入選してしまう。天才少女として有名人になってしまう。

やがて少女の妖しい魅力に陥落。あとは肉体関係とドロドロ不倫。俊一くんと出会う前と交際中にもかかわらず。学校に来てない日は道東スケッチ旅行という名の不倫旅行。最悪。
夜の図書室で純子と一緒のところを見られたらどうしようと、夜回り先生にドキドキしてたピュアな関係は何だったんだ?!

そして今度は純子の姉の恋人だったハンサム新聞記者村木に話を聴きに行く。こいつも純子に誘われるままに肉体関係を繰り返してた。性が乱れすぎ。
そして純子が睡眠薬を大量摂取(自殺未遂)して病院に担ぎ込まれたときの医師千田に話を聴く。この人は紳士だったのでキス止まりだったw
この医師の証言から多くの新事実を得るのだが、「結核?そんなこと絶対ないけど」にはひっくり返ったw 純子、虚言癖オオカミ少女?!

さらに、純子が最後に会った男である党オルグで偽医者で現カメラマンの殿村にも話を聴く。もちろんこの男とも肉体関係。
純子が殿村の弟の文芸同人誌に書いた短編小説のタイトルが「二重セックス」w どんなJKなんだよ。

最後に純子の姉である蘭子に話を聴く。この姉とは同性愛的なことまで?!行為の描写が一番淫靡。

6人の目から見た純子についての証言のすべてが終わった。読んでいて時系列が混乱。
そして、俊一くんの結論。これが…、それほど意外性もない。ま、ミステリーじゃなくて純文学だから。
これが初期渡辺淳一の代表作らしい。18歳の少女をめぐる男5人と女1人。テーマとしてもっと若者に読まれてもいいと感じた。表現も平易でサクサク読める。
渡辺淳一が村上春樹ほど若者にバズってないのはなぜだ? 人格イメージだろうな。

この純子という18歳で自ら命を絶った天才画家は、渡辺淳一が実際に交際していた加清純子さんがモデルだそうだ。

この小説は映画化もされていると知った。五十嵐淳子と三浦友和?うーん、イメージと違う。
それに、橋本奈々未もまったくイメージと違うw てか、こんなとんでもないJKにイメージが会う女優が誰も思い浮かばない。