乙一「銃とチョコレート」という作品を読む。これはもともとジュブナイル向け講談社ミステリーランドとして出たのが最初。文庫化もされているのだが、今回自分は2013年講談社NOVELS版で読む。乙一を読むのは久しぶり。
ヨーロッパの架空の国が舞台らしい。登場人物たちがみんな欧州人の名前だから。宮沢賢治の童話のような世界観かもしれない。主人公は「移民の子」だという理由で差別されている。
だがそれは間違っていた。心根が正しいのは主人公の少年とその母親だけだった。ぜんぜん話が予想の通りに進まない。なにこのピカレスク小説?
英雄と思われていた人が英雄ではない。国家は人々をダマす。
講談社ミステリーランドという児童向けシリーズのうちの1冊のはずだが、読者にどのようなメッセージを送るつもりだったのか?おそらく目に見えていることは真実ではないということか。
怪盗ゴディバが盗んだ宝石の隠し場所をめぐる冒険。それなりの謎解き推理や、登場人物の意外な正体なんかもあったのだが、自分はあんまりおもしろく感じなかった。
悪人同士が争う裏切り抜け駆け展開は横溝正史のようでもあった。
児童向け読物なのでひらがなが多くて読みづらさも感じた。
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