2018年5月13日日曜日

アガサ・クリスティー「第三の女」(1966)

アガサ・クリスティー「第三の女」(1966)の小尾芙佐訳1977年ハヤカワ・ミステリ文庫(2000年43刷)を手に入れた。
こんな作品、名前も知らなかった。まったく印象に残らないタイトルだ。100円で購入。
THIRD GIRL by Agatha Christie 1966
クリスティ女史もポアロもついにビートルズ時代に突入していた。もう、若者たちのヘンテコなファッションやヘアスタイルについていけない…と嘆く。
表紙イラストが孔雀なのは、この時代の英国の若者を孔雀に例えているから?

朝食時間にやってきた若い娘が「人を殺したかも…」と言うので話を聞こうとするも、ポアロ探偵を見て「こんなお年寄りだとは思ってなかった」と逃げ帰る。ポアロ憤慨。

おじいちゃんだが有能探偵ポアロ、名も名乗らず帰った少女ノーマの身元を突き止める。
ヒロインが殺人について相談に来たのに、肝心の殺人事件がどこにも存在しない。ポアロの側からどこかで殺人事件は起こっていないか?と方々へ調べ歩く。

ノーマは周囲から「頭がおかしい」と思われていた。知的に障害がある?
生みの母を棄てて南アフリカへ別の女と出奔し、また新たに別の若いと再婚して帰ってきたシティの大物財界人である父アンドリューを憎む。

この継母も健康を害しているのだが、ひょっとするとヒ素を盛られてる?
アンドリューの伯父である元軍人老貴族の可愛い秘書が外国のスパイ?多くの人物が登場。一体それぞれがどう絡まり合っているのか?

この本のもう一人の主役は探偵小説作家オリヴァ夫人。おしゃべり好奇心おばさん。ノーマの恋人らしき男を尾行するも、何者かに殴られ気絶。「気をつけろって言ったじゃん!」ちょっとは役に立つ人だけど、ポアロもこの人にはウンザリ。

多くの情報を得てじっくり考えるも、ポアロは真実がなかなか見えてこない。この作品、死体なき事件で超絶地味な展開。そもそもこれ事件なの?早く何か起これ!って思いながら読んだ。

ポアロは仕事じゃないのに好奇心だけで動く。最後の最後で男性の刺殺体が!傍らにナイフを持った女が!ちょっと変わった構造の作品だな。これでは読者は退屈する。
それに、訳のせいかもしれないけど、今まで読んだハヤカワのクリスティ作品の中でも1,2を争う頭に入ってこない作品だった。

実はアレがああなってた!という、昔のミステリーでとてもよく見るパターンだったけど、そんなことって実際に起こりうる?

またしてもポアロおじいちゃんはラストでカップルを成立させているけど、オリヴァ夫人との「彼と彼女、そうなんでしょ?」のやりとりがよく意味がわからなかった。え?二人の会話を傍らで聴いていた以上に何か他の意味が?

この内容でもそれなりに満足度の高い本に仕上げているクリスティ女史はさすがだが、クリスティ初心者にはオススメしない。おそらく人気面でも下位の作品ではないか。

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