2018年3月28日水曜日

パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~(2018)

昨年公開されたケネス・ブラナー版「オリエント急行殺人事件」以来、今じわじわとアガサ・クリスティー再注目が始まってるようだ。
この春、単発スペシャルドラマで新作クリスティドラマが3作も放送される。そのトップを飾って3月24日に「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」がテレビ朝日系で放送された。録画しておいたものを友人と酒のみながら鑑賞した。

これ、原作をまだ読んでいなかった。先にこんなトリッキーな翻案2時間サスペンスドラマで見てしまって後々後悔しないか?とも思ったけど、自分、ミス・マープルものを読むことは今後数年ないだろうと、決心して見始める。
謎を解くミス・マープルが天海祐希なのはいいとして、夫の看病のために警察を退官した元エリート刑事って設定はどうなの?ミス・マープルって市井の老婦人がうっかり事件を解いてしまうのが魅力じゃなかったの?エリートが自信満々に事件を解決するとこ見て何が楽しいの?「相棒」みたいなドラマは自分には必要ない。

自分、これまでの人生でほとんど刑事もの2時間ドラマというやつを見たことがないけど、橋爪功菅原大吉勝村政信の警察幹部3人が「まずい、まずい」と困ってる意味がわからなかった。警視総監賞を何度も取ってるやり手の元刑事に事件を解決される手柄を持っていかれるのが嫌なの?

アガサ・クリスティーの小説を現代日本に置き換えているはずなのだが、西東京駅を4時50分に出発した寝台特急内部で目撃された殺人者が、死体を奥多摩で窓から棄てたのではないか?と、そこにあるお屋敷に潜入捜査する話になってる。

蒸気機関車だったりアンティークな電話が出てくるけどスマホもある。みんなスマホで画面を見ながら相手と話してる。そのへん、あんまり細かい事言うと楽しいものも楽しめなくなるだろ?ごちゃごちゃ言うな!って作り手側のメッセージが伝わってくるようで潔い。

このドラマを見て、いままでクリスティの本を読んでいてあまりイメージできなかった英国の豪邸がイメージできるようになった。けど、あんなテーブルで家族そろって晩餐会みたいなことやる家が日本にあるの?
事故で死亡した長男の上海の女が写真を見てすぐに黒谷友香だとわかったので、こどもを迎えに来た黒谷を見てすぐ「中国人妻じゃん!」って思った。このへんは活字じゃわからない部分。
この人、現在42歳。とてもおきれいで素敵で困る。

長女役の原沙知絵もおキレイだった。クリスティによく出てくる富豪の長女役イメージにぴったりだった。
西田敏行はクリスティによく出てくる偏屈な富豪らしくない。アクは強いが安っぽい軽いおじいさん。最後の泣くシーンは要らなかった。今の日本にはかつての東野英治郎や西村晃みたいな悪人顔老人の名優が不足してる気がする。
画家の次男は鈴木浩介なのだが、自分、未だにこの俳優の名前が覚えられず「ライアーゲームのおしゃれきのこ」と呼んでいるw

自分、これまでクリスティを何冊か読んできて、犯行動機がドライなパターンが多いということを知っていた。キャスト的に「犯人はこいつだろう」と思ってた。その通りだった。何度も妙な癖が強調されてるし。
最後の草笛光子の証言だが、女を絞殺するソフト帽を深くかぶった男を背後しか見ていないのに、あれだけ確信をもって「こいつだ!」と断言できるものか?ちょっと腑に落ちない。
クリスティ作品には事件について話を聞いてくる20歳ぐらいの聡明で魅力的な娘が出てくるのだが、今回はスーパー家政婦として前田敦子が出てくる。前田が天海に代わって潜入捜査担当。
ナレーションは誰だろう?と思っていた。北村有起哉だったと知って驚いた。声が役所さんに似ている。

今回のドラマ化は作り手側にとってはチャレンジだったわけだが、自分は十分楽しめた。これからもじゃんじゃんこういう企画をお願いしたい。
そのうち「大女優殺人事件」「黒井戸殺し」も見て感想を書こうと思う。

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