2018年1月28日日曜日

太宰治「きりぎりす」

太宰治「きりぎりす」(新潮文庫)を手に入れた。昭和12年から17年まで、太宰28歳から33歳の短編14編を集めた1冊。100円で購入。

びっくりした。若者代表太宰治のポップな文体。どれも面白い。
日本人に愛されたちょっと困った人太宰。いつもちょい卑屈で理屈っぽい。ひたすら心の声を書き留める日常スケッチ。つっこみどころがたくさん。

燈籠 ちょっと頭の弱い少女目線一人称。「女生徒」っぽいかもしれないけどヒロインは貧しく不幸。好きな人のために万引きをして捕まる鬱系文学。1本目からブルーになる。

姥捨 どうにもならなくなった男女の心中旅行だが、女はどこかネアカ。情景的に暗い気分になるけど、女のせいでどこか救われる。

黄金風景 昔イジメた女中との再会。味わい深い。

畜犬談 まさかの犬大嫌いエッセイw イヌへの悪口。とても面白い。

おしゃれ童子 少年の他人にはわからない衣服へのこだわり

皮膚と心 皮膚病になったかも…という女の不安定な心の独白

 太宰と客人の心の通わないやりとりが面白かったし味わい深い。

善蔵を思う 庭に植えられた薔薇の話から、同県人のつどいてきイベントの話題。こいつも異常に面白い。

きりぎりす 売れ始めた画家の旦那に愛想を尽かした妻の独白。この女がイイ女すぎる。自分はなぜかずっとまさみの声で脳内再生。俺のまさみもこんな女でいてほしい。自分ならヘチマ棚ぐらいすぐ作るぞ。タイミングよく繰り出される「あ~成金スノッブに成り下がった夫が嫌だわ~」ってつっこみにプッと笑ってしまった。一番好きな作品。

佐渡 新潟の高等学校での講演ついでに思いつきで佐渡に渡った太宰。ひたすら「まったく楽しくないわ~」と書き連ねるその偏屈ぶりがひどい。ちょっと笑ってしまった。

千代女 綴り方(作文のことか?)を学校で褒められた女生徒。叔父さんから作家になることを勧められるのだが…。これも太宰によくある若い女性の独白形式。

風の便り ひたすら卑屈な若手作家と、若手を叱咤激励するベテラン作家の文学論往復書簡。これは読んでいて重くてあまり内容が入ってこない。だが、やっぱり太宰はちょっとふざけてしまう。

水仙 付き合いのある家の夫人がなんだか頭おかしい…。これまでとガラッと作風の異なる暗い作品。

日の出前 放蕩息子が家庭を崩壊させる暗い事件。これもシリアス。読んでいて楽しくない。時代の雰囲気が出てる作風か?

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