2017年9月11日月曜日

二葉亭四迷「浮雲」(明治20年)

二葉亭四迷(1864-1909)を初めて読んだ。この文豪の名前は小学生のころから知っているのだが本を手に取ったことは一度もなかった。

明治20年に出版された「浮雲」をほるぷ社の初版復刻本で読んだ。この本は3年ほど前に古本屋で108円で購入したもの。ようやく読み通した。

自分は国文学というやつを一度も学んだことはない。今まで読んだ明治の文豪の作品で一番読みづらかったw

この作品は明治の東京庶民が話していた言葉をそのまま文字起しした文体で会話シーンを再現している。それまでの日本にはなかった画期的表現方法が用いられている。
もちろん意味の分からない言葉や表現も多い。「お茶ッぴい」ってなんだよ?調べてみたらおしゃべり女という意味か。
それよりなにより「旧仮名遣い」に閉口する。あと、句読点のない読み難さ。
え?!まったく読めない「ひらがな」が頻出する。だが、そのまま半分ほど読み進めるとだいたいの文字が推測できるようになっていく。ヒエログリフ解読みたいなもんだな。

主人公は内海文三という若者。不器用で愛想もない。苦学して東京で勤め先を得るのだが、第一篇を半分ほどまで読み進めた段階で突然「免職」。

主人公が失業してすごくクヨクヨ悩んでる。リストラされて家族に言えない…。読んでいてつらい。明治時代の就職はコネがないと本当に難しい。ま、今の日本も大して変わってないけど。

下宿先の叔母・お政から人格を完全否定されるがごとく罵詈雑言を浴びるw 不運なだけなのに、日ごろから課長に世辞を言ったりご機嫌伺をしてないからこういうことになる!ああ、情けない!と癇癪ババア。

ここから先が酷い。読んでいてムカムカと不快感。なにも犯罪を犯したわけでもないのに、どうしてそこまで面と向かって酷いことをいわれないといけないのか?
本当に酷い。日本文学史上、最悪最低な人格を持った人物。お政は豊田議員。

お政は娘のお勢の結婚相手に文三を考えていた。お互いに恋心のようなものを抱く関係だったのだが、もう会いに2階へ行くなとばかりに「今迄の文三と文三が違ひますお前にやア免職になつた事が解らないかエ」

娘はちょっとだけ人よりも学殖があった。「教育のない人」をさげすむ傾向があった。文三を「まあ教育のない人の云う事だから」と励ますw
文三には本田昇という友人がいた。こいつが如才なく世辞愛想もある人物。「昇進して給金が35圓になったんすけど」

そして第二篇、お政とお勢と本田は3人で人力車仕立てて団子坂へ菊見に出かける。
上野で息子に小遣いをせびられるシーンがまるで落語。「運動会」を「饂飩会」と聴き間違えるとことかw 明治の人々の会話はそれ自体が落語。

とにかく主人公の悩みがひたすらグダグダと書き連ねられる。ズルズルと泥沼にはまっていく。これが二葉亭四迷の芸風か?w
すっかり主人公に感情移入してつらくなったw

これは明治のラブコメ?ラノベ?
現代の若者はこの本を読むべき。とくに女子はこれを読めば男がどんなことでクヨクヨ悩んでいるかわかるw 明治の若者も今現在の若者も何も変わっちゃいない。
これは一体どう着地するんだろう?と思ってると、読者はラストで突然に突き放される。ええぇぇ…、そんな終わり?

まるで他人事じゃなくて読んでて辛かったりもしたけど、菊を見に行ったお勢さんのことを勝手にクヨクヨ悩んだりとか、本田とのケンカのシーンとか、笑った。
ある意味、ドルオタもこんな感じ。勝手に妄想して勝手にキレる。そして涙目。

「浮雲」、なんだか予想外にすっごく面白かった。一度は読むことをオススメ。

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