2015年3月27日金曜日

堀北真希 「春の居場所」(2006)

鷺沢萠(1968-2004 享年35才)の没後に発見された原稿によって出版された未完の小説「春の居場所」(新潮社)の堀北真希主演の映画化作品を見返した。

これ、DVDが出たとき(2007年5月)に一度見ている。今回、実に7年ぶりに見た。鷺沢萠という作家を自分は1冊ぐらい読んだことがあるかと思うのだがほとんど印象に残っていない。

この映画、60分にも満たない低予算映画。東京単館レイト上映?堀北真希主演作品なのに今ではほとんど忘れられている。

桐谷美玲のデビュー作として有名かもしれない。だが、桐谷美玲はヒロイン堀北真希の後ろの席に座っているだけで、挨拶を交わす程度で台詞もほとんどないし、ほとんど印象に残らない。ほぼエキストラ。

全編フルデジタルで製作ということだが、画面が暗くコントラストが低くとても見難い。役者たちの表情の演技が見えない。それに静かで地味な映画。なんか、台詞が聴き取りづらい。

ヒロイン柏尾芽衣子(堀北真希)は河原の道を歩いて、事情によって自分の実力よりも低い高校へ通っている高校2年生。学校では他人より勉強ができる優等生だが、人から頭がいいと言われることには心の中で違うと反論していた。
父親不在で家政婦が夕飯を作りに来てくれる家と学校を往復するだけの毎日。教室での会話はテストに出る箇所とか勉強のことばかり。仲のいい友人はひとりだけ。
芽衣子はゼンコウという男子生徒に秘めた恋心を抱いていた。dangerを「ダンガー」と読んでしまうように勉強はできないが、自分に積極的に話しかけてくれる気さくな生徒。このヒロインは鷺沢自身がモデルになっていると思われるが、暗く陰気な印象。

ある日、バイトで遅れる欠員の出たマージャンに誘われる。遅れてきた男が合流するとあとはすることがない。何時の間にか部屋の隅で寝てしまい、終電で帰ろうとするものの、この辺は治安が悪いと止められる。
始発で帰るのをバス停まで送ってもらう。その程度で「あ、優しい」とさらにゼンコウを好きになってしまう。ここ、ヒロインの感情が画からはあんまりよく伝わってこない。
この時代の高校生は徹夜マージャンとかしてたんだな。部屋の電話が黒電話だった。作者の年代から推測して昭和60年代ごろか?ゼンコウがニックネームになるということは、鈴木善幸首相の時代ごろかもしれん。
自分も高校時代にちょっとだけマージャンを教えてもらったことがあるのだが、役も並べ方も計算も他人任せで席を埋めるだけしかできなかった。今ではもうまったく覚えていない。
堀北真希が真剣に麻雀するシーンは貴重だと思った。

バレンタインにゼンコウに告白するも「好きな人がいる」とふられる。3年生になると仲のよかった友人ともクラス替えで離れ離れ。友人はやりたいことがあって専門学校へ。自分は推薦で大学へ。
満たされない日々を送り、「父と結婚してくれないかな」と好意を持っていた家政婦さんも他の人と結婚。自分の居場所を失ったと感じてニューヨークへ渡り現地で結婚、そして離婚。
再び日本へ戻る。ここは成長した芽衣子(佐藤藍子)が回想し独白で説明するだけ。インテリアと照明のアドバイスの仕事でゼンコウと再開するところで映画は終わる。おそらく再開場面は映画のみに加えられた場面。
淡々と語られる高校の日々、そして現在。とにかく変化がなく地味。この映画を今になって見る事にそれほどの意義と価値は見出せない。だが、堀北真希は10代のころから女優として素晴らしい逸材だったことは感じた。

堀北の友人役の女優に見覚えがある!って思った。柳沢ななという女優だ。この頃わりとドラマに出演していた10代の若手女優だったかと思う。調べてみたら近年はもう芸能活動をしていないようだ。みんな20代半ばになると自身の将来を見つめて辞めていってしまうんだな……。
成長したヒロインを演じた佐藤藍子も近年ほとんど見かけない。自分もすっかり忘れていた。なんか、いろいろ寂しい感情が起こった。

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