2026年2月3日火曜日

松本清張「ゼロの焦点」(昭和34年)

松本清張「ゼロの焦点」(昭和34年)を新潮文庫(平成21年123刷!)で読む。こいつを読むのは人生2回目。最初に読んだのはもういい大人になってから。
今回読み返したのは、これも海外で新訳が出て読まれてるらしいから。この本に海外ウケする要素あったっけ?

26歳の禎子は36歳の鵜原憲一と結婚したばかり。鵜原は新聞広告代理店の北陸支社の優秀な営業マン。結婚を機に東京へ戻ることに決まる。
だが、引き継ぎのために金沢へ行き、そのまま失踪。あとは禎子が、憲一と同僚で交代で北陸支社に配属された本多と一緒に憲一の行方を追う。

これ、前回読んだときもあまり面白い印象がなかった。犬童監督による広末涼子、中谷美紀判の「ゼロの焦点」を見たときも改変が強くて面白くなかった。
そして、今回読み返して、やっぱりそれほど面白くないw 

まずダラダラ長い。「これはたぶん連載小説だな」と想いながら読んでいた。巻末解説を読んで、やっぱり雑誌連載小説だった。
たまにテンポ悪くサスペンス要素をもってくる。憲一の兄の不審な行動と毒殺、憲一の過去、など。さらに本多の死。

だが、それでもやっぱり禎子の不安と推論がひたすらぐるぐる同じところを旋回。読んでも読んでも面白く展開してくれない。それ要る?っていう意味ありげな写真とか。

最後で一気に説明してくれるのだが、それは推量。あまり鮮やかでないし納得もできない。あまり傑作社会派ミステリーという感じはしない。戦後十数年、女性たちが苦難の時代を生き抜いた…という小説としてなら可。

2026年2月2日月曜日

松本清張「点と線」(昭和33年)

松本清張「点と線」(昭和33年)を平成21年新潮文庫(123刷!)で読む。
近年海外で新訳が「TOKYO EXPRESS」という名前で出版され読まれているらしいので。

実はこれが人世で初めて読んだ松本清張。なんと小学生のときw 江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを一通り読み終え、次に手に取ったのが「点と線」。当時は光文社カッパノベルズだった。高校生のころまで持っていたはずだがいつのまにかどこかへ逝ってしまった。

おそらく、鉄道アリバイトリックというものに初めて接したのが今作。たぶん今回が通算4回目の読了。読むたびに視界がクリアになっていく。

15年ほど前に音楽フェス目当てで福岡を訪れたとき、そこに国鉄香椎駅(JR)と西鉄香椎駅が本当に存在したことに感動したw (情死体が発見された海岸へは行ってない)

この本を読むと、今では失われた風景、交通インフラなどを感じることができる。まだ新幹線のなかった時代、二等車三等車があった時代、青函連絡船のあった時代を感じられる。

今回読み返して、三原刑事と安田夫妻が想像していたよりも若かったことに気づいた。

福岡の鳥飼警部と東京警視庁捜査二課の三原の往復書簡で終わるところが清張らしい。
リアリズムを追求した社会派推理小説の代表作のように言われるけど、今作のトリックは十分に野心的。日本人にとってはシャーロックよりも「点と線」のほうが馴染みやすい。

2026年2月1日日曜日

松本清張「砂の器」(昭和36年)

松本清張「砂の器」(昭和36年)を読む。新潮文庫で読む。今回読んだものは平成23年の107刷!

自分がこの本を初めて読んだのはなんと中学生のとき。それ以来で2回目。当時もっていた版はこれとは違う表紙のやつ。
当時は読み終えたとき「すごい長編を読み終えた!」と思ったものだが、今回は上下巻を2日でささっと読み終えた。松本清張はテンポよくてさくさく読みやすい。それに新潮文庫新装版は活字が大きいし1ページあたりの活字数が少ない。

今回あえて2回目で読んだのは、近年海外で新訳が出たりして松本清張人気が高まってるらしいから。じつに65年前の社会派推理小説。
海外では「Inspector Imanishi Investigates」というタイトルになっているらしい。「砂の器」では抽象的すぎてダメだった?

だが、今回読み返してみて「Inspector Imanishi Investigates」のほうがむしろ合ってるし相応しいと感じた。
野村芳太郎監督の「砂の器」では老父と幼い息子が過酷な旅をしてる場面がクライマックスで印象的。しかし、原作では今西刑事がずっと旅して聞き込み捜査をしてる。ほぼこの人の脚による事件の解決。回り道もしたけどすごく有能。そして松本清張のあっさりドライさ。映画は橋本忍、山田洋次脚本の叙情性がとにかく胃もたれ。

今回読み返して、中学生時代にはわからなかったであろう箇所が大人になるとよくわかると思った。
中央線の窓から切り刻んだ白い布を撒く女の箇所で、芥川龍之介「蜜柑」を連想させるのだが、当時の自分はまだその小説を知らなかった。

そして、今作の主人公で作曲家の和賀英良は「ミュージック・コンクレート」というジャンルの音楽をやってる前衛作曲家なのだが、中学生のときは何も想像できなかった。
後にクラシックを聴きまくった自分からすると、今では読書しながら音が聞こえてくる。たぶん一柳慧や湯浅譲二みたいな感じ?映画版の芥川也寸志「宿命」は今も好きじゃない。

読み終わって満足感と充足感がある。さすが読み継がれる名作。今西刑事がブレイクスルーをつかんでいく過程は爽快。

あと、10年ぐらい前に友人と東北を車で旅したとき秋田・由利本荘の岩城亀田を通りかかったとき「あ、砂の器の亀田!」ってちょっと興奮したことを思い出した。
あと、亀田をうろつく謎の男の件は、清張が同時期に連載していた「日本の黒い霧」の「下山国鉄総裁謀殺論」のことを連想。

2026年1月31日土曜日

永野芽郁「はたらく細胞」(2024)

2024年12月公開のワーナーブラザーズ映画「はたらく細胞」を見る。金曜ロードショーでやてたので。
監督は武内英樹。脚本は徳永友一。キャスト筆頭に永野芽郁佐藤健の名前があるので、この二人の主演作かもしれない。

何の予備知識もなく見た。見れば生物学や生理学の知識が身に付くかもしれない教育番組のつもりで見始めた。
登場人物たちは皆、この映画のもうひとりのヒロインといえる芦田愛菜の内部にいる、赤血球だったり白血球だったりキラーT細胞だったりマクロファージだったりヘルパーT細胞だったりNK細胞だったりの擬人化。
これが見ていて誰が誰だかわからない。見ながら調べたりしてようやく気付く。

山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、加藤清史郎といったキャストは見ればすぐわかる。
だが、佐藤健と塚本高史は顔が白塗りなので、どこかで見た顔だな…と、ずっと頭に?マークが浮かびながらの視聴。
片岡愛之助と小沢真珠は「翔んで埼玉」とほぼ同じ質感での登場。アクの強すぎる怪人たち。なにやってんの?

映画序盤は新鮮で見ていて面白かった。しかし、芦田愛菜が白血病になって…以降はよくあるやつで困惑し退屈し閉口。Fukase(SEKAI NO OWARI)登場以降の、そういうシリアスなやついらん。阿部サダヲのう〇このくだりは要らない。
正直、これは小学生中学生が見ればいいやつ。とても大人が見る様なものではなかった。映画らしくなかった。途中から早く終わってほしくてスマホいじりながら見た。

しかし、カラダ内部の細胞たちにとって、病気になるとはほぼ戦争のようなものだということは学んだ。
中学高校生物とか習う以前にこれを見てる子は、見ていない人よりはスタート地点で前に立っている状態と言えるかもしれない。

音楽はFace 2 fAKE。主題歌はOfficial髭男dism「50%」(IRORI Records / PONY CANYON Inc.)

2026年1月30日金曜日

飯沼愛「天使の耳」(2023)

小芝風花主演のNHK東野圭吾ドラマ「天使の耳」(2023)が、昨年12月に再放送されていた。

飯沼愛が飯沼は兄の無実を晴らす視覚障碍者女子高生という役どころ。どうやら連ドラ内の1エピソードのためのゲスト出演。自分はこのドラマの存在を今まで知らなかった。
今、飯沼愛がとても心配だ。というのも、飯沼の女優としての仕事が2024年「南くんが恋人」以来まったくない。

ことの発端は昨年10月にTBS「VIVANT」続編の制作発表と同時に、飯沼愛が演じていたキャストが交代することも発表されたこと。これには世間もざわついた。

さらに、あれだけ頻繁にインスタを更新しインスタライブもやっていたというのに、その後まったく飯沼から発言がない。ずっと沈黙を保っている。なんで?2025年は何も女優としての活動がなかった。ラジオとJAバンク香川の仕事しかしてなかった。

しかも所属事務所の回答が異常なほどにまったく冷たい。2026年3月で契約が満了するというのにも驚いたし、出演と活動に関与してないというコメントも異常。
芸能事務所って所属タレントと二人三脚で一緒にがんばっていくものじゃないの?!
もうこれは完全に事務所との何かトラブルを予感せざるを得ない。
ずっと続報を待っているのに、年が改まって1ヵ月経っても何もない。とにかく異常。何か深刻なトラブルが進行してるんじゃないかと不安。早く何があったのか教えてくれ。もうこれ以上心配の種を増やさないでくれ。

2026年1月29日木曜日

光文社新書141「江戸三〇〇藩 最後の藩主」(2004)

光文社新書141「江戸三〇〇藩 最後の藩主 うちの殿さまは何をした?」八幡和郎(2004)という新書を読む。こいつは55円で売られていたので連れ帰って4年積読だったもの。やっと開いた。

書名のごとく明治維新のとき存在したすべての藩について列挙。ほとんど名前も聞いたことない小藩がいっぱい。百科事典のごとく網羅してるのだが、2行ほどしか説明のない藩もある。
あれ?あの藩がない…ということもあるのだが、明治維新まで存続してることが条件。

日本史の教科書に載ってる佐幕の藩、会津、庄内、長岡といった奥羽越列藩同盟を除くと、あとはほとんどの藩が戊辰戦争当時に官軍に恭順。そこは読んでいてあまり面白みのあるものでもない。

あと、へえというちょっと驚く程度のエピソード。藩主って親から子へ受け継がれることは難しく、ほとんどが他藩から養子を取っている。
それ以外は各藩ごとの幕末明治史。殿様とその子孫で有名になった人はあまりいない。それが著者の考え。

よほど日本史に詳しい人でも、300藩すべてを把握してる人はいないのではないか?
藩の名前と藩主を覚えるのは難しい。似た名前の人ばかり。
1回読んだだけでは身にならない。なので今後もぱらぱらとめくっていきたい。関東近県の市町村に出かけたときに、その街を知るのにやくにたつ。

2026年1月28日水曜日

のん「幸せカナコの殺し屋生活」(2025)

のん主演「幸せカナコの殺し屋生活」全6話をついに見終わった。
そんなのありえないだろという軽いコメディ。これ、監督が英勉だったのか。とにかくテンポがいい。
ヒロインがブラック企業を退社しさらにブラックな殺し屋稼業事務所に就職という、ある意味現代日本も風刺。

殺し屋なので毎回がっつり雑に簡単に人が殺される。なのに笑えるというやつ。DMM TVだから問題ない。
ヒロインはパニくるとなぜか多くのイマジナリーフレンド動物が現れる?その声を齋藤飛鳥が担当。
「いやいやいやいやロップイヤー」「うそうそうそうそコツメカワウソ」「むりむりむりむりカタツムリ」といった呪文を唱えるだけの声の仕事かと思いきや、齋藤飛鳥にはたまにちゃんと声優としてセリフもあった。
齋藤飛鳥は今「クスノキの番人」という東野圭吾原作アニメでも声優をやっている。この役をオーディションで勝ち取ったという。「何も手ごたえがなかった」というオーディションだったのに。もしかすると「幸せカナコ」での経験が活きた?どっちが前後なのかわからないけど。
のんはコメディエンヌだとどうしてこうも輝くのか。表情と台詞の言い方と声質とテンポと間合いは天性の才能。
藤ヶ谷太輔のキャラと表情と演技が松重豊を想わせた。
渡部篤郎は何を見てもいつも渡部篤郎。とてもしっくりピッタリとハマってた。
無能警察の矢本悠馬山崎紘菜コンビのキャラがいい。山崎はいつも目が怒ってる。腕組みしてるキャラがすごく似合う。
菅井友香の「女ともだち」以上でも以下でもない恋のアドバイスするだけ女の平均的キャラもすごく良い。感心しかしない。

見ていてこれは「もしかして4コマ漫画?」って思った。とにかくみんな天然。
ヒロインは天然なようでいて殺し屋の素質が無自覚に天才的。そういうの羨ましい。
これぐらい気軽にパワハラ上司やコンビニクレーマーや痴漢を〇しちゃってもいいんだよ…という社会へのメッセージか?

終盤にヒロイン以上のプロ殺し屋が登場してからなんだか不必要にシリアス。なにこれ?どう見ていいかわからなくなった。

2026年1月27日火曜日

加藤小夏・江の島巡礼

引続き5年前のウェブCM-NOWロケで加藤小夏と杏花のなかよしふたりが江の島を訪れた回の聖跡巡礼。いやあ、この日は天気がよく気温が16℃もあって暑くて体力を奪われた。
まずふたりが立っている場所は大橋のとこにある駐車場。だがなぜかトイレの前。なんで?
今回の比定の旅で唯一の心残り。それは、この場所を特定できなかったこと。
事前にここだと予想していた場所が、どうやってもふたりが立っていた場所をぴったりと特定できない。木立の具合が一致できない。ここじゃなかったのかもしれない。撮影に使用したカメラレンズの画角の問題かもしれないが。
あと、江の島へ渡って参道に入った途端に、あまりの混雑に予定を変更。ふたりがお茶してたカフェーマルさんへ行くのは断念。ま、江の島はいつでも来れる。
その代わりに西浦の浜へ。ここに来たのは自分は15年ぶり。霞みつつも対岸には富士山が見える。おそらく小夏と杏花のふたりが来た時は真冬の曇り空だったので見ていない可能性が高い。
あまりに人が多く歩くだけで疲労。初詣的なイベントはすべてスルー。だって並んでるんだもん。その代わり、ふたりが記念撮影していた場所は押さえた。
こういった動画は公開から数年後に何かしらの経済効果を生む。この動画を制作してくれたシーエムナウさんには感謝だ。

2026年1月26日月曜日

片瀬で小夏丼

1月の天気のいい土日の片瀬・江の島の込み具合は酷い。観光客がとても多い。目当ての店にも行列ができている。今回我々が訪れたのは紀伊国屋旅館の食堂。ここで5年前に加藤小夏と杏花のなかよしふたりが海鮮丼を食べた。
この店が注文はタッチパネル端末、レジも自動レジなのだが、お手洗い(隣の旅館)へ行くととてつもなく昭和の風情を味わうことになる。
小夏さまがお召し上がっていたものはしらすイクラねぎとろの三食丼だと予想。
はい、大満足。

2026年1月25日日曜日

加藤小夏&杏花CM-NOW片瀬ロケ地巡礼

2021年の初めごろに加藤小夏と杏花がなかよし二人旅をするCM-NOWウェブ動画が公開されてから5年。この動画内にでてくる古民家カフェに友人と出かけてきた。
そのカフェは藤沢市片瀬の表通りから1本入った狭い路地にある。実は我々取材班はこのカフェに来るのが9年ぶり。このカフェは土曜日しか営業していない。
朝食を出している。朝8時の開店前から店の前の公園でなんとなく過ごしていると、早くも客がやって来て引き戸を開いて中へ。我々も続く。
なかなかタイミングが合わず9年ぶりとなったのだが、他の2組の客も常連風であったがたまにしか来られないのかもしれない。
独り占めというわけにはいかないので小夏シートには座れなかった。
ワンオペ体制の店なので、注文から料理が運ばれてくるまでわりと待つ。その間、注文してないスープをサービスされた。ありがたい。そして卵サンド的なやつをつまみながらコーヒーを飲みながら、心の眼で小夏をそこに見る。普通の客を装いながら。
このカフェには本棚もある。わりと古い本から最近のものまで。たぶんオーナーが読んだ本。自分が9年前に手に取った本もそこにあった。

2026年1月24日土曜日

ウィリアム・サリバン「FBI 独裁者フーバー長官」(1979)

ウィリアム・サリバン「FBI 独裁者フーバー長官」(1979)という本を読む。昭和56年に土屋政雄訳で中央公論社から出た単行本の昭和62年中公文庫版。

こいつは3年前にキャンプ先のBOで110円購入した古い本。「JFK」と一緒に手に入れたので、同じ元持ち主が処分したものかもしれない。アメリカ現代史を知るのに役にたつかもしれないと連れ帰った。

約50年間FBI長官の地位にあったJ・エドガー・フーバー(1895 - 1972)の下で、大戦中から30年間FBIに奉職したウィリアム・サリバンという人のFBI回想録をビル・ブラウンという人がまとめた本。

サリバン氏はFBIナンバー3を目前にフーバーと感情的口論の末に辞表を出した人。なのでそのほとんどがフーバーの悪口。
フーバーという異常な人でなければ米ソ冷戦時代のFBI長官を半世紀も務められない。アクの強い気分屋でFBI捜査官たちを委縮させた人。王侯貴族のように特別扱いされないと機嫌を悪くする。こんな上司の下で働きたくない。なので有能な人ほど辞めていく。ならば国家にとって害悪。

フーバー時代のFBI捜査官に頭髪の薄い人はいなかったらしい。理由はフーバーが「見栄えが悪い」と感じるから。まさに独裁者のように振舞った。

フーバーは共和党支持者。ケネディ家の3兄弟も嫌ったし、キング牧師も嫌った。公民権運動にも新左翼にも冷淡。
英国人もフランス人もオランダ人もオーストラリア人も嫌った。そんな状況でアメリカ国内のソ連スパイを追跡し逮捕する。そのへんの事情と回想は読んでいて面白いかもしれない。

ケネディ暗殺後のリンドン・ジョンソンは自身も暗殺されることを極度に恐れていたらしい。大統領車ではいつも頭部を窓より低く前かがみ。大統領専用機でも護衛の戦闘機。

ウォーレン委員会にフーバーの密偵として送り込まれたのがジェラルド・フォード?!この大統領は日本を訪問した初の大統領で、昭和天皇を米国に招待した大統領。なのに今日まるで存在感がないし日本人から忘れられている。

そしてニクソン時代のウォーターゲート事件。このへんは日本人にはあまり関心も馴染みもないかもしれない。

2026年1月23日金曜日

ジム・ギャリソン「JFK」(1988)

ジム・ギャリソン「JFK ケネディ暗殺犯を追え」(1988)を岩瀬孝雄訳1992年ハヤカワ文庫版で読む。こいつは3年前の秋にキャンプ先のBOで110円購入。
ON THE TRAIL OF THE ASSASSINS by Jim Garrison 1988
オリバー・ストーン監督の「JFK」の日本での公開が1992年3月だったので、公開に合わせて2月に出た邦訳。陰謀説派の決定的で最重要な一冊。
自分が手に入れたものは1994年4月で20刷!たった2か月で?当時は多くの人に読まれたものなんだろう。古本屋の棚でよく見る本。今回初めて手に取った。

映画を見た状態で読む。なので映画の場面を思い浮かべながら読むことになる。当然ながら本のほうが登場人物が多く内容が濃くて詳しい。ともに見てるほうが理解が進む。

ニューオーリンズ地方検事ジム・ギャリソンがジョン・F・ケネディ暗殺事件を地方検察当局の主任として追いかける。

容疑者として逮捕され2日後にジャック・ルビーに拘置所で射殺されたリー・ハーヴェイ・オズワルドという人物の謎の正体に迫る。オズワルドはソ連に亡命しロシア人妻を連れ再びアメリカに帰ったというちょっとありえないことをやってのけた人物。それだけで謎。
メキシコでは反カストロ・キューバ人たちと接触、ダラスの白系ロシア人亡命者と交友、ニューオーリンズでは元CIAの探偵らと繋がりを持つ。ぜんぜん共産主義者じゃなかった。

ギャリソン検事はオズワルド単独犯行説の矛盾を指摘し、オズワルド周辺の人物たちのきな臭さに注目。ということはCIAに利用され罪を背負わされ消された哀れな人物か?
ダラス警察も事件直後から挙動がおかしい。隠蔽や証拠捏造。オズワルドの調書を取らなかったり、重要な容疑者を消失させたり…。

ギャリソンには連邦政府からもFBIからも嫌がらせ。大手マスコミからも政治的野心からやってると糾弾。クレイ・ショーを無実の罪で訴追し人生を台無しにしたと非難される。ロスアンゼルス空港トイレでは警察に猥褻犯の罠にはめられそうになる。全米が敵。
(オリバー・ストーン監督がギャリソンの映画を製作したときもマスコミは批判的だったとは知らなかった。)

映画ではクレイ・ショー裁判がクライマックスだったのだが、本はその後も続く。捜査に圧力をかけられたり、ギャリソン検事はでっちあげ冤罪で逮捕され裁判になったり。支援する振りして罠だったり。

ケネディの外交方針の変更が好ましくなかった勢力による、結果的に極悪な王殺しクーデター。何かを必死で守りたい勢力から評判を落とそうという謀略。ギャリソンはそこが事件の本質と見抜いて疑わない。

映画もよかったけど、本も良い。両方見ることをおすすめ。ケネディ暗殺事件は現代人にとって必須の教養。