2025年11月10日月曜日

「未解決事件」File.02 北朝鮮 拉致事件

NHK未解決事件新シリーズFile.02は「北朝鮮による拉致事件」。10月18日に放送。

これを聞いてちょっと意外だった。未解決事件って犯人も目的もわかってない事件の真相を追うシリーズだと思ったから。でも、拉致被害者が家族のいる実家に半世紀経とうとしてるのに帰れないという状況は未解決と言っていいに違いない。

まずドラマパート。日本国内で工作活動に暗躍する北朝鮮のスパイたちを追う外事警察の刑事と幹部たち。高良健吾、沢村一樹、榎木孝明といったキャストで重厚に。
まだ誰も北朝鮮が日本国内で国家の主権を侵害するスパイ工作活動をしてるなんて信じてない時代。外事警察はかなり早くから事件に深く接近していた。北朝鮮協力者の尾行やマークなど、地味に神経をすり減らす長い長い苦闘の日々。

相次ぐアベック失踪事件は北朝鮮による拉致…という可能性を報じたのは産経新聞だけ。信じられるのは産経だけ。他の大手マスコミは完全スルー。
その責任は重大だが、当時の日本の雰囲気と戦後の平和な社会で育った人々に、まさか外国勢力が日本で人権を蹂躙するような事件を起こしていたとはとても信じられなかったのも仕方ないかもしれない。
一方、柏崎の海岸で恋人といっしょに拉致された蓮池薫さん役は田中俊介。北朝鮮での日々が描かれる。蓮池さんの奥さんを演じた人がすごくリアルにそっくりで驚く。

蓮池さんや曽我さんが生還できたおかげで、こういったドラマの細部が描けてる。北朝鮮工作員チェ・スンチョルを演じたのは大倉孝二。いい意味で見ていて腹の立つ軽薄さとバカ演技で感心。
沢村さんと榎木さんが…というシーンはどうしたって新旧の浅見光彦!って思ってしまったw

いやもう見ていてイライラする。関係個所の家宅捜索が政治側からストップがかかるとか、現場の刑事たちはやりきれない。

東京高等検察庁の偉い人の冷たさと関心のなさが酷い。軍事政権下だった韓国当局と捜査と証拠集めで協力するなんて無理。すぐ「難しい」とか言い訳してやるべきことをやらない。なのに偉そう。こいつらは実名を出して描くべきだった。
辛光洙事件、大韓航空機爆破事件から事件はつぎつぎと明らかになっていく。だが、それでも事件の気の遠くなるような解決に向けた進展の遅さに呆れる。もっとどうにかならなかったのか。

ドキュメンタリーパートも見た。
北朝鮮に交渉の現場で拉致事件の話を出すと怒りだして席を立つとか何なの。後に金正日が事実を認めて5人帰国させたのはなんなの。国と国との真剣な話し合いのテーブルで嘘つきって恥ずかしくないの。
金丸と田辺が訪朝するタイミングでの警察への介入があったに決まってる。
家族会の親たちで最後の生き残りになってしまった横田早紀江さんの「こんな人生もう二度と嫌」って聞いた瞬間に固まるほど衝撃的につらい。

拉致被害者の中で、今で言う闇バイト感覚で北朝鮮に渡った人はたぶんほんのわずか。900人近くに上る人々のほとんどがなんの落ち度もなく暴力的に連れ去られた。拉致被害者全員の奪還のためにはイスラエルがガザにやったようにしないかぎりムリかもしれない。
もう北朝鮮に35年間の植民地支配の賠償なんて考えなくていい。これでチャラ。

2025年11月9日日曜日

与田祐希「死ぬまでバズってろ!」

この10月から与田祐希主演連ドラ「死ぬまでバズってろ!!」が始まってる。MBS毎日放送の制作。

このドラマ、新聞で放送時間を確認しようとしたらどこにも乗ってない。なんと関東地方はテレビ神奈川かテレビ埼玉?!ウソだろ。そんなドラマをいったいどれぐらいの人がテレビで見れるんだ。
第1話冒頭でこのヒロイン・タパ子(与田)が最終的に誰かに恨まれて刺されるという末路をたどることが示される。なんだかほぼ「スマホを落としただけなのに」。

たまたま路上で目撃した飲酒ひき逃げ事件スクープ動画をSNSにUPして犯人逮捕につながったことでバズる快感に目覚めてしまい、イイネをもらうために告発暴露系インフルエンサーへと暴走していく狂気のヒロインを与田祐希(ギャル)が演じてる。
金髪与田が良い。それにキャラがよい。与田は乃木坂三期生として入ってきた直後からクレイジーなものを持っていた。与田にこういうクレイジー女の役はきっと合う。
与田がクレイジーな行動をとっていくカットで、与田が心の声をナレーションしてくれる。何かしながらよそ見しながらでもドラマの筋を見失わない。とても親切でわかりやすい。

わかりやすすぎて政府や自治体の広報映像を見てるかのよう。何も頭を使わない。これからはもうこういうドラマでいいのかもしれない。
しかし、第1話でひき逃げ逮捕されたアナウンサーの娘まみ(星乃夢奈)がタパ子に接近してくるくだりはあきらかにサスペンスの匂い。松本清張の悪女のよう。まるで「霧の旗」。

なのにタパ子は何も心配もせず楽観的という適度なバカぶりが深夜ドラマとしてちょうどよい。とにかくわかりやすいコメディー感もある社会派ドラマ。こういうのでいいんだよ。

2025年11月8日土曜日

アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」(1962)

アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」完全版(1962)乾信一郎(1906-2000)訳の2008年ハヤカワepi文庫トールサイズ(2010年4刷)で読む。
これはコロナ期に55円で売られているのを見つけてすかさず確保しておいたもの。3年積読本をようやくこの秋に読む。

キューブリック監督の映画(1971)を見たのでだいたいの話は知ってる。なのでなかなかページを開こうと思えなかった。今読んでみると、キューブリックの映画は原作にほぼ忠実。だが、主人公アレックスは原作だと15歳になっている。もっとずっと年上にしたキューブリックは正しかった。じゃないとローティーン少女との性交などは映画にすることはできない。

それにしてもアレックスが粗暴。路上強盗で老人をボコボコにしたりしたあげくに住居侵入と強盗で老婆を殺害してしまう。懲役14年の判決。15歳で刑務所へ。
映画は刑務所に収監されるということがシャレになんない事態なんだなと気づかせてくれる映像と演出だった。60年代英国は国力と経済力の低下から治安の悪化になすすべなかった時代。社会の目も犯罪者に厳しい。獄舎の環境が劣悪。

で、青少年の厚生を目的とする行刑としていかがなものかと政治の側から口出し。アレックスは人体実験のような更生プログラムで暴力的なものに不快感を感じるように改良。大好きだったクラシック音楽も嫌悪。

出所後のアレックスが憐れ。かつて強盗に入った作家の家にたどりついてしまう箇所は読んでてほぼホラー。アレックスがそうなったのはすべて選択の結果。シビアな現実。
アレックスがずっと意味不明なスラングを使ってる。これは実際に60年代英国で使用されたものでなくロシア語っぽくしたバージェスの創作。文中に登場するクラシック曲の作曲家名もたぶん創作。

ちなみにこの邦訳には「完全版」とある。英国で出版されたときアレックス出所後の第3部は全7章だったのが、米国版は出版社からの要請で第7章がカットされた全6章版となった。アメリカ人からすると第7章がとってつけたようなハッピーエンドに思えたらしい。

早くから邦訳が出た日本では全6章ハヤカワ文庫旧版(1971)と作者の当初の意図を汲んだ全7章版(1980)が出回った。それぞれの読者の間で感想に齟齬が出たという話が「ビブリア古書堂」に書いてあった。
自分も第7章はいらんなと読後すぐに感じた。第6章で終えたほうが映画的。

ちなみに「時計じかけのオレンジ」は早くから映画化の話がすすんでミック・ジャガー主演の企画もあったそうだ。
あとバージェス(1917-1993)はちゃちゃっと書いた今作が代表作に思われてるのが不本意だったらしい。

2025年11月7日金曜日

新木優子、バルセロナを行く

10月11日放送のアナザースカイは新木優子(31)の回なのでチェック。10年ぶりにバルセロナを訪問したという。
この番組はいつのまにかアシスタントMCが堀田真由になっていた。新木と堀田はノンノ誌で先輩後輩モデル。
日本の女優はすごく頻繁に海外へプライベートで出かける。新木は毎回レンタサイクルで街をめぐるらしい。 
サグラダファミリアの前の池で自撮り写真。ちなみに新木のインスタフォロワーは400万人?!500万人?!
なんと新木は19歳だった2013年4月からインスタをやっている。ノンノモデルになったときと「コード・ブルー」出演時に多くのフォロワーを獲得。
10年前に新木がバルセロナに来たのはクルマのCM撮影。これが初海外。「私生活では海外が現実的じゃなくて」20歳ごろはそれほど海外に出かけなかったらしい。
2017年の23歳のときにはバルセロナでファースト写真集を撮影。それだけお気に入りの街。
10年前の新木はまだ仕事が順調というわけでなく苦労人だった。オーディションは100個受けて100個落ちたそうだ。それはメンタルにくる。前回のスペインが20歳大学2年のとき。「自分で決めたリミットだった」就職するつもりだった。
と語りながら本場のパエリアを食す。
新木はバルセロナ動物園へ。鳩のでかさに驚き、キリンにエサをやったりする。
新木はSeventeenモデルのオーディションに落ちていた。だが、自ら売り込んでJILLEでスナップショットが転機となって、ついにノンノからオファー。「最初は怖くて一度断った」「やっとJILLEっていう居場所ができたのにノンノの看板モデルになったら他の雑誌に出る機会がなくなる」そういうものなのか。そんな新木に踏ん切りをつけたのが新木母。2014年からノンノ専属。
次に、新木が行ってみたかった場所のモンセラート山へ。特異な岩山に興奮する新木。
芸能生活22年目。今何合目ぐらい?「6合目ぐらい」「半分は登ってきたなとは思える」
10代のころは芸能活動をしている子として後ろ指をさされていた。「だったら絶対有名になってやろうと思って」
新木の次の夢は世界一周の旅。「30代で実現したい」

2025年11月6日木曜日

京極夏彦「魍魎の匣」(1995)

京極夏彦「魍魎の匣」(1995)を講談社NOVELS版(1999年22刷!)で読む。これも2年前に110円で拾ってきて積読しておいたもの。
なにせ2段組み683ページという大ボリュームでなかなかページを開く気分になれなかった。ようやく読んだ。今作が自分史上の京極夏彦3冊目。

原田眞人脚本監督による堤真一主演映画で見たものを活字でおさらいするような気分でいたのだが、その内容と雰囲気はかなり違っていた。そして、ページをめくってもめくっても話が進まない。3日かかってようやく本の真ん中付近。結局読了に6日かかった。

とにかく登場人物が多い。それぞれで会話が進行。とにかく長くて長くて、その内容を読んでる最中から忘れていくw 結局、すべてを読み終えたときはヘトヘト。

とくに主人公の京極堂こと中禅寺の講釈が長くて閉口。読んでも読んでも終わらない。

事件がバラバラ死体(手足ばかり見つかる)というおぞましいもの。映画だとマッドサイエンティストSFみたいだったけど、あれはあれで正しく適切な映像化だったんだなと、この本を読んで気付いた。多すぎる様々な要素を切り落としてこその実写映像化。
実はこの本を読んで原田眞人の脚本と監督演出はいろいろとがんばってたんだなと改めて気づいた。

今作は映画では宮迫博之が演じてた刑事・木場修太郎がいちばん出番が多かった気がした。
元女優の柚木陽子は31歳で20歳ぐらいに見える美女という設定だが、それでは実際問題として演じれるキャストがいない。映画版が黒木瞳だったのも適切。

このシリーズで一番の人気作だと聞いて期待して読んだのだが、正直、自分はそれほどハマれなかった。だが、読書は旅に没入するようなものだと感じさせてくれる一冊だった。読んでる間は昭和20年代の異世界に移動してた。

2025年11月5日水曜日

原菜乃華&久間田琳加「見える子ちゃん」茶臼山高校ロケ地

桐生に立ち寄ったついでに「見える子ちゃん」のロケ地を押さえる。
ここ、初めて見たときから既視感があった。
遠くに野球グラウンド用のネットが見える。ああ、あれは旧桐生南高校だ。
7年前に巡礼した「君に届け」のロケ地から徒歩1~2分の場所だった。
そしてヒロインみこが通う群馬県立茶臼山高校
友人ハナの肩に死霊の手が見える…
これで秋の足利ロケ地巡礼の全行程を終了

2025年11月4日火曜日

「君に届け」ロケ地巡礼、足利から桐生へ

多部未華子と三浦春馬主演の映画「君に届け」(2010)は足利フィルムコミッションが最初に足利西高(廃校)へロケ撮影を誘致した最初の映画。ほぼ全編を校舎内くまなく撮影。
「君に届け」は7年前の西高一般開放日にもしっかり見て回ったので今回はそこそこに。西高滞在を早々に切り上げてそのまま足利市街地へ。
土曜日の昼下がり、小雨交じりだったせいか足利市の中心部なのに人があまりいない。
八雲神社にも行ってみた。そして群馬県桐生市へ移動
桐生へ来ると毎回行くのが五十番さん。なんという昭和なたたずまい。

ここに来るのは5年ぶり。高齢夫婦が切り盛りしてる店なので店側に余計な負担やストレスをかけない気遣いと見守りが必要。今年の夏から麺類の提供を止めていた。もういつ営業を止めてもおかしくない。今回が最後かもしれないという危機感を持って臨む。
外から見るとやってるかやってないかわからない感じだが扉を開けると内部はほぼ満席。ほぼ全員中高年。この日も「君に届け」ロケ地巡礼と思われる中年女性たちがいた。

5年前に来たときもギリギリなイチかバチか感があったけど、今回もさらにイチかバチか。
駐車スペースが3台分(しかも狭い)しかないし、注文がちゃんと届くのか?ちゃんと料理ができるのか?ちゃんと配膳されるのか?すべて気長に見守るしかない。今回自分はカツカレーを注文。ダシの効いた和食カレー。
そしてまたこの場所へ。爽子と風早くんの出会いの辻。
今回の旅の最後に西桐生駅。こんな駅が令和の今も現存して現役だとはとても信じられない。

2025年11月3日月曜日

中上健次「岬/化粧」(1976)

中上健次「岬/化粧」(1976)中上健次選集12(小学館文庫 2000)で読む。

中上健次(1946-1992)はとても有名な作家(享年46)だけど自分は今回が初読。
「岬」は芥川賞受賞作だし、この本ももらった本なので読むという感じ。

自分、遠い昔に一度この作家の本をちょっと読んでみて止めたことがある。子どもには太刀打ちできない本だった。作家の故郷で見聞きし体験した最下層の人々、男女のエロチシズム。

岬、臥龍山、藁の家、修験、化粧、重力の都、どれも文体の文豪感wには感心はしたのだが、どんな話だったかは読んだ直後から忘れていく。

この中では「修験」と「化粧」がベストだったように感じた。虚と実の玄妙という点において鮮やか。

昭和の地方の田舎町の人々の日常使い言葉ってすごい。「頭の悪い血筋」だとか「しょうもない女買って梅毒うつされて出来た子と違うか?」とか、そんな会話が周囲にある地域で育ったのが南紀の団塊の世代?
関西弁会話の小説って読むだけで苦労する。何言ってんの?ってところから始めないといけない。

2025年11月2日日曜日

加藤小夏「踊ってミタ」ロケ地・足利西高巡礼

こなつ…さま…、こなつさま、こ、こ、こなつさま…。