藤谷治「船に乗れⅠ合奏と協奏」(2008 ジャイブ)という本があるので読む。もらって5年ぐらい経つのでそろそろ読む。この本って出たころわりと話題になったように記憶してる。
主人公が高校生の青春小説らしい。てっきり児童向けかヤング向けかと思ってたけどそうでもなかった。40代になったかつての少年が音楽高校でチェロを学んで過ごした青春を回想している。
「のだめカンタービレ」は音大だったけど、この本は中学から高校へ上がる時期から始まってる。自分とはまるで縁遠い音楽学校での体験がリアルに描き綴られている。そこはとても新鮮だし興味深い。
ただし、主人公の津島サトルくんが横浜本牧に豪邸を構える資産家一家の子。小学生のころからヨーロッパの小説や哲学書を読む。一族は東京藝大を出てる音楽一家。父は慶応卒の社長。30畳の居間にベーゼンドルファーのグランドピアノがあるような家。嫌悪感しかないw
ピアノを学ぶも才能が足りず、祖父の提言によりチェロに転向。中学は普通の公立校。上流階級の子なので高名な先生に学ぶ。東京芸大付属受験には失敗するのだが、祖父が理事の音大付属の高校へ。そこは女子が100人以上なのに男子は数名という世界。
そして強制的にオーケストラでしごかれる。両家の子女が集まるのぬるい環境なので音楽学校としては二流かもだが、なにせ音楽家に育てないといけない虎の穴。指導担当教師が現在の水準では許されないパワハラ気質。
音楽を学ぶ高校生たちがLPレコードとかカセットテープでしか海外の有名演奏家の演奏に触れていない。まだカセットウォークマンも家庭用ビデオも存在しない時代。なのでたぶん、1980年ごろの高校生の青春を描いているのかと。当時のアイドルスターとか世相とかいっさい触れられていない。
この時代のクラオタのアイドル演奏家たちの名前も登場するので、たぶん今のクラオタ大人が読んでも「わかる~」という感じで楽しいかもしれない。おそらく今現在60代という年代のピュアな青春。ラブ要素もちょっとある。
もしこの本がドラマ化されていたら、たぶんメンデルスゾーンのピアノ・トリオが世間の知名度と人気が上がっていたかもしれない。
面白かったので引続き第2巻も読もうかと思う。




























