新田次郎「武田勝頼」を読む。1983年講談社文庫版で読む。この作家の「武田信玄」が風林火山で全4巻だった。「武田勝頼」は「陽」「水」「空」で全3巻。
こいつはもういつどこで買ったのか覚えていない。たぶんキャンプに出かけた先で3巻まとめて買った。各巻に108円の値札シールが張られている。おそらく10年積読本。2週間以上かけてやっと読み終わった。
「歴史読本」誌に昭和48年11月から54年8月まで「続武田信玄」として連載したもの。
信州諏訪出身の新田次郎は武田信玄と勝頼に強い関心とシンパシー。織田信長という狂人に敗れ去った名門を悲しみと憐みを込めて描き綴る。
その結果を知った状態で読む。戦国時代の倣いとはいえ、調略と謀略と裏切りで多くの人が死ぬ。殺される。読んでいて気分良くない。
信長がどうしようもない短気で乱暴なのはわかる。だが、武田と直接領地が接する徳川家康も狂人レベルで暗くて卑怯。それは武田びいきの新田次郎だからそう描くのかもしれないが。
父信玄の代からいる甲斐武田氏重臣たちが老害。諏訪氏の血を引く四男の勝頼は家督を相続した段階から肩身が狭い。重臣たちのまとまらない意見を聴くしかない。みんな利己的でバラバラ。
織田徳川連合軍相手の設楽ヶ原での敗戦が運命の変わり目。勝頼をナメてかかる老害家臣穴山梅雪が戦犯。総大将勝頼の命令を無視し自分勝手に戦場をかき回して敗戦。さらに最悪なのが徳川に寝返って武田を自滅させる。
強い人と将棋を指すと、ちょっとした局地戦からあれよあれよというまに追い詰めら短い手数で負ける。武田勝頼と家臣たちのあまりにあっけない敗走がそんな感じ。ちょっと不利になればたちまち瓦解。怖い。
日本もいつかそんな感じで滅びるかもしれない。日本の名門企業のいくつかでそんな兆候がずっと見えてる。
第3巻はもう織田になすすべなく追われる。跡部勝資と小山田信茂、そして真田昌幸のやりとりは「真田丸」の最初のほうで見たそのまま。
旗色悪くなったとたんにアッサリ武田を裏切り棄てた甲斐の人々は後ろめたくないのか?甲府駅前にある武田信玄公の像とか、過去の栄光だけしか伝えていない。
この本は読んでいてとにかく悲惨で凄惨。勝頼の正室を見殺しにした北条氏政も冷たい。
この本で唯一気持ちよく有能で忠節を持った人物は真田昌幸。「真田丸」では草刈正雄だった人物。武田勝頼の家臣たちで唯一いろんなことが見えていて物事の道理がわかってた人。勝頼が昌幸を頼って岩櫃へ逃れていたらその後の歴史はどうなっていたか。
NHK大河ドラマはもうネタ切れなのに戦国時代にこだわるのなら真田昌幸でいくべき。
































































