2025年7月11日金曜日

阿部和重「グランド・フィナーレ」(2005)

阿部和重「グランド・フィナーレ」(2005 講談社)という本をもらってきたので読む。群像2004年12月号に発表。132回芥川賞受賞作。あとは短編3作を加えた一冊。
発表からじつに20年を経て自分の目に届いた。事前にどんな内容なのかまったく知らない状態で読んだ。

表題作は本全体の4分の3を占めるので長編と呼べるかもしれない。第1部と第2部に別れているっぽい

もう冒頭から文学作品という感じで、主人公の状況があまりピンと伝わってこない。DV離婚して8歳愛娘と会うことができないという37歳中年男。どうやら娘のためにプレゼントを買っている。
だが夜のクラブで酔っ払った友人から主人公が離婚した真相が語られる。

まったく予想してなかった話。ニュースとかで耳にはするけど、ほぼ日常会話に登ることのないあの社会問題を扱ってる。その世界はそういう仕組みになっているのか。

ネタバレになるので書かないが、この主人公はかなりサイテーな部類。女性読者からはかなりの嫌悪感に違いない。こいつの性癖はこの社会で居場所がない。
司法から刑事罰は受けていない。社会的制裁も受けてない。だが映像制作の仕事を辞めて実家へ帰るらしい。

ギャル女Iにホテルであけすけに自身のやってきたこれまでを語る。そしてIは思っていることを主人公に説く。Iの主人公への嫌悪感。
ここでこの小説は終わってもいいように感じた。だが、第2部へ続く。

老いた母と兄家族の家に身を寄せる。家でじっとしてるなら問題ないが、ぬいぐるみ(AIで会話できるやつ?)を持って近所を散歩。それは世間体が悪い。

なんでタイトルが「グランド・フィナーレ」なんだ?まさかこの後さらに最悪なバッドエンドが?と身構えて読み進めるのだが…、えっ?!そんなところで急にバッサリ終わるの?
これぞ文学作品だわ。さすが芥川賞だわ。

馬小屋の乙女(新潮2004年1月号)
この短編、最後のオチが意味わからんw なんでこのタイトルなんだ?

新宿ヨドバシカメラ
森山大道氏の写真とコラボする企画のために書かれた短編。新宿の歴史などにも触れてるので紀行文か何かと錯覚するかもだが、こんな短編をヨドバシカメラさんは認めてるのか?女子学生が読んで意味わかるのか?

20世紀
Sony製CD-R商品発売にあわせてホームページで発表された5章に別れた紀行文ふうな短編。

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