2025年4月7日月曜日

加藤小夏「ススキノ・インターン」(2025)

加藤小夏主演のHTB北海道のドラマ「ススキノ・インターン」(2025)が始まったと思ったらもう終わった。なんと全4話だった。第4話が始まったと思ったら最終回だった。

ヒロインのユキナは北大生?商学部的な?いきなりススキノのスナックへ飛び込み?自身の学んだマーケティング知識で客のいない店を立て直す?
このヒロインが初登場シーンから見た目は変態。メガネが曇ってて碇ゲンドウ?

しかし、だんだんと加藤小夏さまのクールな美貌が活かされたカットが増えていく。まだ見てない人は4話しかないんだから全部見ろ。
いやいや、実家が母一人子一人のスナック経営とはいえ、北大の女子大生が客に酒を注ぐの?
この少女が、両手を添えたマイクを口に固定し瞬きもせず画面をみつめながらのカラオケ。ススキノの人々は今も「襟裳岬」とか「北坂場」が定番?
この子がまだ学生なので、特に必殺技とか百戦錬磨の経験と知識を持っているわけではない。そこはトライアンドエラー。客は増えたけど、常連客がいなくなる…などの悩みも発生。
全4話で渡辺いっけい、真矢みきとのピソードを駆け足で描く。そこは何か刺激的なマーケティング知識があるわけでもない。むしろヒューマンドラマ。

共演者は大塚寧々酒井若菜。このふたりしかいないスナックが小夏さまの学びと実戦の場。
このドラマを見ていて、実際の撮影はほとんどがスタジオで札幌ロケに行ったのはもしや小夏さまだけでは?と思ってた。大塚も酒井も実際にススキノにロケ撮影に行ったのかもしれない。
加藤小夏はカメラ女優でもあるのだが、大塚寧々さんは元祖カメラ女優。日本大学芸術学部写真学科アイドル女優の元祖。2000年前後はとても人気が高かった。56歳の現在、さすがにもうお婆さんになりつつある…。かつての人気巨乳グラビアアイドルだった酒井若菜もおばさん女優。
小夏さまの素朴女子大生ファッションがむしろ新鮮。え、その服で店に出るの?そこも新鮮。ボトルを渡辺いっけいのグラスに注ぐときのてんやわんやトラブルは青春映画っぽかった。
小夏さまは地味な服装であっても高貴な美貌が目立つ。この子を守りたい。
自宅での普段着JD小夏。これはリアルに普段の小夏さまぽい。
このカットはなんだか日本映画ぽい。スナック、それは女たちの戦場。
小夏さまはこういうカットで常に美しい。思わず息を飲む。なのにコメディアンな飾らない普段着日常。

この企画は映画としても十分に耐えるものではなかったか?市川準とか岩井俊二とか周防正行とか矢口史靖とかにアイドル青春映画をつくってほしかった。いや、小夏さまは今年の夏で26歳。まだ間に合う。

2025年4月6日日曜日

のん「換身」(2025)

のん(能年玲奈)がNHKBS藤子・F・不二雄SF短編ドラマ「換身」に出演するというのでチェック。NHKエンタープライズの製作で脚本・演出は倉本美津留。

婚約中のカップルを尾上松也とのんが演じてる。このふたりの日常に突然、反社組織組長で極悪で粗暴な六平直政が割り込んでくるというストーリー。
人の心と体を入れ替えるマッドサイエンティストが声を聴くまで佐野史郎さんだとはわからなかった。てか、この役が佐野さんである必要がとくにないw

尾上とのんが主役のようだが、六平直政さんも実質主演キャスト。
昭和な少年向けマンガなので、ストーリーの進行をそのまま実写ドラマにすると雑な印象も受ける。
人と人が入れ替わってカオスな騒動になる…という、ドラえもんでもよく見た藤子不二雄ならではの単純な短編ストーリーなので、登場人物キャラに奥行きなどはない。
入れ替わって、入れ替わって、入れ替わる。昭和からある定番だが、ヤクザ組長が残酷で粗暴で、中盤にあるシーンがかなりショッキング。その意味がわかると怖い。

昭和カップルは元に戻ろうと努力するのだが、そう簡単に元に戻れない。てか、戻れずに終わって、後は余韻…という映像作品。
ま、短編を短編ドラマにしましたというものなので、特にいうべきこともない。ドラマ内の植生を見ると、昨年12月上旬ごろに撮影されたものかもしれない。

2025年4月5日土曜日

ユゴー「レ・ミゼラブル」(1862)

ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo 1802-1885)「レ・ミゼラブル Les Misérables」を人生で初めて読んでみることにした。永山篤一訳の角川文庫(2012)上下巻を選んだ。

この本はミュージカルや映画にもなっていてほとんどの日本人にも馴染みのある名作という扱い。ナポレオン後の政情不安フランスを舞台にした作品で、日本人は大人ですらも理解しがたいというのに、なぜか児童向け図書室にすら置いてある。なんで?まあ、世界中で読まれてるのだから、ストーリーをなんとなくしか知らないのもまずいと思いページを開いた。

レ・ミゼラブルって文庫上下巻に収まるのか?と思いながら読んでいたのだが、この角川版は、レミゼラブル特有の読みづらさを解消するために、チャールズ・E・ウィルバーによる英訳をポール・ベニシューが1960年代に説明過剰な部分をそぎ落とし簡約編集した英語訳の日本語訳版。
なのでクドさがなくテンポが良いが、話の展開が急に感じることもあるかもしれない。

200年前のフランスが政情不安だし治安が悪いし、人々の心が荒んでいる。ということを読み始めて早々に感じる。昔は大変だ。
だが、これって令和日本もほぼ同じでは?と感じた。

ジャン・ヴァルジャンという不幸な主人公男が登場。パンを盗んで投獄。脱獄を繰り返したために19年監獄入り。犯した罪に対して罰が過酷すぎる。
現在の日本のネット社会は罪に対して重い罰を期待しすぎに感じる。重すぎる量刑は社会をさらに酷くさせないか?

ファンテーヌという幼い娘を連れた不遇な女が登場。この幼い娘コゼットを預かった宿屋の主人テナルディエ夫妻がとにかく酷い。子どもが病気になっただの嘘と脅迫でさらに金を巻き上げる。なのにコゼットを児童労働と虐待。多くの金を巻き上げて置いて何もしてない。金づるとしか考えていない。まるで昭和初期の「岩の坂もらい子ごろし」に匹敵する悪人。

これ、ほぼ令和日本。テナルディエとファンテーヌ&コゼット母娘の関係が、ほぼ自公財務政権と日本の一般国民。
しかも、テナルディエは戦場で略奪をする浅ましい悪党。こいつは最初から最後まで登場。早く死んでくれと願いながら読むはめになる。(ラストでのマリウスとのやりとりはスカッとするかもだが)

19世紀以前の文学作品でよくあるのだが、そんな不幸な男がどうやって巨万の富を得て人生やり直すことができるのか?
ジャンの場合はガラス細工の新技術だったらしい。かつて自分に宿を貸してくれた教会から銀製品を盗んだり、旅芸人少年の銀貨を盗んだりと酷い悪党だったジャンがいつのまにか聖人のような紳士になってるとか、そんなの小説だけの話。

あと、この小説で最大の嫌な野郎がジャヴェール警部。こんな司法権力の末端にすぎない役人がなんで社会でこれほど偉そうなんだ?
裁判所で自分の正体をバラしたジャン。逮捕するためにやって来て「もうお前は市長じゃない!」とか、いやいや、無実の罪を老人に着せようとした司法関係者たちはもう司直失格だろ。自信満々な検事と警察官が冤罪を生む。

このジャヴェールは最後までジャンにつきまとう。早く死んでくれと思いながら読むのだが、ジャンは最後まで聖人。命までも助けるし、これが19世紀のヒューマニティー。

上巻は朝ドラを半年間見たような感じ。下巻は暴動とパリ市街戦。

抄訳版ですら読んでいて長く感じた。だがもうこれからは映像作品を見ても、登場人物たちのことが分かった状態で見ることができるという安心感。

2025年4月4日金曜日

齋藤飛鳥「少女のみる夢」(2016)

井上の「スプリング!」を見ていて、そういえば齋藤飛鳥星野みなみも同じような仕事をしていたことを想い出した。飛鳥とみなみは第15回テレビ朝日新人シナリオ大賞作品「少女のみる夢」(2016年7月4日放送)にW主演していた。脚本は藤原忍で演出は宝来忠昭。
井上は20歳だったこともあって見れるドラマになっていた。だが、当時17歳と18歳だった齋藤飛鳥と星野みなみの演技はかなりギリな感じ。

飛鳥の演技にはまだ後の日本アカデミー賞新人賞(実に初演技から9年後)の片りんを感じられる。だが、星野の演技はほぼ素人。星野は乃木坂を卒業後に芸能界も引退。自分の演技の素質に見切りをつけたのかもしれない。
入院患者みなみと、病院で昏睡状態になっている少女の生霊(幽体離脱)との交流を描く。
やだ、病院って実はそんなことが起こってんの?!
この時期のあすかは乃木坂15枚目シングル「裸足でSummer」初センターという時期。人気アイドルの階段を駆け上がって行ってた時期。

だが自分は当時まだこの子の魅力に気づいてはいなかったかもしれない。自分が飛鳥さま崇拝を始めたのは、1期生が次々といなくなり、飛鳥がのびのび自由にふるまうようになって以後。そして今では全乃木坂メンバーで唯一こちらから情報を求めていく存在。
飛鳥は全身のバランスがとてもよい。自分、キレイなお姉さんでも太ももが細すぎると魅力半減w 
この新人シナリオ大賞ドラマは録画しておかないと後で見るのが困難なもののひとつ。今回この放送を録画したディスクを取り出して見返した。福士誠治、生田智子、松本まりかといった出演キャストのことは忘れていた。院長先生役で藤森慎吾が出てたこともまったく忘れていた。
当時のインタビューなどを見ると、飛鳥はドラマ主演を知らされたときうれしかったそうだ。だが、2018年の「あの頃、君を追いかけた」では演技に苦手意識を持ち、それは2020年の「映像研には手を出すな!」まで引きずる。
しかし「マイホームヒーロー」「推しの子」ではイキイキと女優業を楽しんでる様子が伝わるようになる。その結果が2024年度日本アカデミー賞新人俳優賞。よかった。
卒業後に舞台俳優に力を入れるメンバーが多い仲、飛鳥はテレビバラエティにレギュラーを持ってるし、テレビドラマと映画に出演してくれている。テレビで見ることができる。よかったよかった。
乃木坂オタは新規で加入してくるメンバーへと乗り換えることで箱推しを続けている。なので卒業してしまったメンバーのことは忘れてしまうし、もうあまり話題にもしなくなる。星野みなみは今一体どこでなにをしているんだろう。

2025年4月3日木曜日

井上和「スプリング!」(2025)

乃木坂46の井上和テレビ朝日新人シナリオ大賞ドラマ「スプリング!」(3月21日放送)にヒロインとして主演するというのでチェック。乃木坂メンバーが外仕事ドラマで主演というのは偉大な先輩たちでもごくわずかしか経験していない快挙。

書道部の優等生逢坂碧(井上和)は国立大法学部の前期試験の合格発表に自分の名前がなくて絶望。そして同じ高校同じクラスの村瀬佑(藤岡真威人)も不合格。それは暗くなる。
男はすごくポジティブ。3日後の後期試験に気持ちを切り替える。試験科目は小論文のみ。定員は10名という狭き門。
いや、急に小論文対策とか無理やろ…。碧は何も前向きになれない。ああ、浪人生か…。

佑はとにかく碧を強引に説得し励ましやる気を出させるドラゴン桜野郎。バスケ部顧問の国語教師(駿河太郎)に対策と攻略法の伝授を頼む。
そしてふたりは一緒に後期試験対策準備。だが、このふたりを陰から観察している少女(松本麗世)がいる。イケメンくんにはこういう女子生徒が眼をつけている…。
小論文というのは自分は経験がない。何を書けばいいのか?どういうテクニックがあるのか?まるでわからない。
たぶん書いて書きまくって、添削ダメ出しされ、どんな出題テーマにも対応できるスキルを数日でマスターできる何かコツをつかまないかぎり合格は無理筋な気がする。

そして後期試験前日、碧は早瀬から、佑に関する爆弾情報を知らされて混乱。この井上の演技は良い。
だがこれ、視聴者も衝撃。そんなことってある?!こいつの目的は何?気持ち悪い!w
それってつまり、自分の立場を韜晦する演技が求められる。演出よっては相当に嫌なキモイやつに見えてしまう。昨年に「ウィングマン」を演じた藤岡真威人にとっても俳優としてわりと難しい試練。
自分には、受験と就職そのものをテーマにした青春ドラマをつくるべきではないという持論がある。それを描いても爽快なものにならないから。机で勉強してるだけの映像を撮っても面白くないし、合格したらめでたしめでたしというドラマ映画を見て何が楽しいのか。現実は努力しても報われず無駄になることの方が多い。
もっと文章の書き方テクニック指南なライトなコメディと青春ドラマらしさがあったら評価した。

坂道グループの運営は過去オーディションでのトライ&エラーから多くの知識を得た。人気の出る子の特徴を掴んだ。5期生はそのノウハウの集大成だったように見える。そして6期生を選んだ目も確かなものだったに違いない。

2025年4月2日水曜日

ロバート・ブロック「サイコ」(1959)

ロバート・ブロック「サイコ」(1959)福島正実訳のハヤカワ文庫NV(1982)で読む。

かのヒッチコック「サイコ」の原作。ロバートブロックという作家は今日ではヒッチコック映画の原作者としてしか語られない。自分もこの本を見るまでその存在を知らなかった。
ちなみにハヤカワから邦訳が出た時のタイトルは「気ちがい」それ以外考えられない訳語。

読んでみて驚いたことは、ヒッチコック映画がほぼ原作通りだったこと。違う点は、会社の金を持ち逃げする女性の箇所を映画は詳しく書き足していたこと。
あと、主人公青年ノーマン・ベイツは太ってる?!

この本が書かれた当時としては画期的だったかもだが、この手のサスペンススリラーは食傷気味なほど書かれたし映画やドラマで見た。今の若い子が読んでもそれほどの新鮮味は感じないかもしれない。

映画を見た人はわざわざ原作も読む必要性を感じない。
ただ、活字では登場人物たちの心の声も書かれているので話がさらにわかりやすいと感じるかもしれない。

2025年4月1日火曜日

畑芽育「なのに、千輝くんが甘すぎる。」(2023)

2023年3月公開の「なのに、千輝くんが甘すぎる。」を見る。
原作は亜南くじらの同名コミック。監督は新城毅彦。脚本は大北はるか。音楽はfox capture plan。制作配給は松竹。主演は高橋恭平(なにわ男子)畑芽育らしい。

畑芽育という若手女優ホープを自分はよく知らない。ほぼ初見。たぶんすでにドラマや映画で活躍してる。次世代広瀬すずだし次世代浜辺美波。このヒロイン如月真綾(きさらぎ まあや)が最初のカットから美少女。
もしかしてハーフかな?と思って調べたら、祖父がアメリカ人らしい。
この子がなぜか女子たちが黄色い声をあびせる学園のモテ男子千輝(陸上部)でなく、もっさり花壇水やり男子のほうに恋してる。この男に告白したら即失恋。なぜ?しかも「ブスに告白された」とSNSで嘲笑してさらす。(この男は後々まで害悪でしかない勘違いキモ野郎)

千輝(ちぎら)くんと図書室だったり電車だったりでよく出会う。二人きりで。
で、このモテ男のほうがヒロインに迫って来る。「次に片想いするの俺にすれば?」男の提案で「片想いごっこ」を開始。本気で好きになってはいけない約束。なんだこの展開。まあスウィーツ映画だから。

いやもう子どものやることとはいえリアリティのない学園恋愛コメディ。
こんな美男美女が何やってんだと思わないでいられない。なんでそんなルールでがんばる?

このヒロインは男子に不慣れというわけでない。クラスメートのカワイイ系男子手塚くん(板垣李光人)とは普通に話ができている。この二人のほうがお似合いだろと視聴者は思う。
サッカーを見学中にボールが当たるハプニングでヒロインはモテ男に「お嬢様抱っこ」され、女子たちから「誰あの子」。いやそういうの女子の夢。
千輝くん好き好きグループにいる地味だが個性的な顔した女の子がかわいい。調べてみたら中島瑠菜というらしい。SEVENTEENモデルらしい。演技はまだほぼ素人の段階だが。
その一方で傍らにいる箭内夢菜がデカいしかわいくないし役不足。以前のようにもうちょっと痩せたらかわいいのに。

千輝くんの家が大豪邸だ。幼い妹と暮らしてる。親は仕事が多忙で留守がち。
クラスメートたちが幼稚。千輝と真綾がふたりでいるところを見て騒ぐ。ショックで道路に飛び出した真綾を助けてじん帯痛めた千輝。
いや、何事もなかったように去っていく車は何なんだよ。病室が個室だしリハビリとか保険であっても治療費が高額では?
責任感じたヒロインのすることがお百度詣り?!ま、けなげっちゃけなげだが。

今は写真を拡散され炎上する一方で、離れた場所でも動画を送ってきて様子がわかるとか便利。それを見て大会グラウンドに駆け付けるヒロイン。「タッチ」でも見たやつ。
この手の映画を見て新鮮さを求めても無駄。ジャニーズ目当ての中高生女子向けなのでこれはこれで正しい映画。ひとつの産業。

2025年3月31日月曜日

池田瑛紗のなんて美だ

実は自分がいちばん見てる番組はたぶんTOKYO-MXの「なんて美だ!」だ。
これが家で晩飯食べてるときに流しておくのに最適なアート教養番組。
毎回テーマが大きすぎる。もっとアートに関心あるなら知ってたほうがよいアーティストの特集という程度なら尚よい。
だが、自分は乃木坂の優等生・池田瑛紗さんの反応やコメントを見聞きすることが楽しみ。この子は毎回面白い。

2025年3月30日日曜日

ウィーダ「フランダースの犬」(1872)

ウィーダ「フランダースの犬」(1872)村岡花子訳の昭和29年新潮文庫(平成9年64刷)で読む。
思いついた今読む。日本ではアニメで有名だが自分は見たことない。あの悲劇的な最終回だけはバラエティ番組とかで見聞きしてるかもしれない。

ウィーダという名前はペンネーム。本名はマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(1839-1908)といい、フランス人を父に英国で生まれた女流作家。

児童向けだと理解して読み始めたのだが、19世紀英国はヒューマニズムと慈善事業の時代とはいえ、動物虐待と貧困家庭へのイジメが酷い。ブラバントでは犬や孤児はこれほど酷い扱いを受けていたのか?

フランダース地方産の老犬が主人公ネロ少年の祖父に拾われる。この老人と孫がとても優しい。今まで怒鳴られ叩かれこき使われてきた老犬パトラシエにはとても暖かいご主人様。

ついに祖父が働けなくなり亡くなってしまい、少年はひとりぼっち。そして家賃を払えず犬と一緒に路頭に迷う。
あ、欧州の教会って祭壇画とかって金払わないと見せないところが多い。ルーベンスのキリストの磔刑と降架の絵を見たいけど、そのお金は少年にとっては払えるものではない。

少年と親しい粉ひき屋少女。だが、父が乞食同然のネロに冷たい。孤児少年が娘にふさわしくないにしても異常に冷たい。火事の冤罪かけたりとか悪質。いくら悔い改めたところでこいつは許されない。町の有力者と言えどもこいつに追従してネロに門扉を閉ざした村人たちも有罪。
そして最悪のラスト。少年は老犬と一緒に疲労凍死してる状態で発見。こんなの子どもに読ませていいのか?酷薄すぎる社会。ある意味、令和日本。

この本には「ニュールンベルクのストーブ」という作品も収録。「フランダースの犬」と同じぐらいの長さ。
子だくさん貧乏家庭のオーガスト少年は、先祖代々大切に使ってきたストーブ(名陶工によるお宝の一品)を父が借金のために安価で売り払ってしまう。それはどうしても嫌だ。

ストーブの内部に入ったままチロルからバイエルンへ。汽車と船の旅。そしてファンタジー。最後には王様の御前。
これは「フランダース」みたいな救いようのない不幸話とは違って、幸せラスト。

2025年3月29日土曜日

山下美月「御曹司に恋はムズすぎる」(2025)

今年の1月期ドラマはこれしか見てなかった。カンテレ制作の「御曹司に恋はムズすぎる」だ。主演は永瀬廉だが、山下美月が出てるのでチェックする義務がある。
第7話までしか見れなかった。第7話と第8話の間に個人的にドラマどころでないことがあったので。
大手アパレルメーカー勤務の山下美月は真面目で堅実な仕事ぶりで社内で頼られる有能社員。
そんな現場に「御曹司」というだけで何もできない自信過剰男が配属。最初から美月はこいつにキレぎみ。
そんなふたりがアパートで隣同士になり、何もできない御曹司くんのために夕ご飯を作り、御曹司くんに気があると誤解され、すっころんだ拍子に抱き合ってしまい男はキスしようとしたら、女激怒という、よくある「最悪な出会い」から始まるラブコメだと予想。

いやいや、今の時代に御曹司って…、韓国かよ!と突っ込んだ。美月のために仕方なく見た。今の若者ドラマってこんなにも子どもっぽい内容なのか?
ボケとつっこみのような男女の傍らには西畑大吾や小関裕太のような頼れる有能社員もいる。そういうキャストで進んでいく社内ラブドラマ。

いやもう女優山下美月に感心しかしない。乃木坂で見た山下とはもう別人のような気がする。乃木坂に在籍していたころがもう遠い昔に感じる。
とにかく演技が安定していて立派で見ごたえがある。この子は乃木坂時代から何をやっても器用。ノースキャンダルだったし精神の不安定さも見せたことがないし、それにいつも愛嬌があってへらへら笑顔。たぶん心根も優しいし人間が出来上がってる。もしかすると聖人かもしれない。
そんな山下にぴったりの役。そこも感心。
あとはスウィーツ映画に何本か出演してテレビドラマで主演を張って、やがて朝ドラヒロインにでもなればもう安泰。まだ25歳なのでこれからの活躍が大いに期待できる。

2025年3月28日金曜日

宮崎あおい「青い車」(2004)

2006年公開の映画「青い車」を見返す。たぶんDVD発売以来で見る。何も面白かったという記憶がない。てかどんな映画だったのかの記憶もない。

原作はよしもとよしとも「青い車」。監督・脚本・編集は奥原浩志。脚本は奥原と向井康介。制作はジェネオン。
主演はビジュアルから判断してARATA、宮崎あおい、麻生久美子の3人だと思う。音楽はなんと曽我部恵一
中古レコード店で働く金髪DJのリチオ(ARATA)は幼少期の事故による目の傷を隠すためにサングラスをかけている。アケミ(麻生久美子)という彼女がいる。アケミがクラブイベントに連れて来た男(水橋研二)の空気を読まない軽さに不機嫌になって殴る。狂暴な男なのに人当たりが良い?こいつの性格がつかめない。

だが、開始10分以上見ていてもぜんぜんドラマが動かない。ずっとどうでもいい会話してる。なんか退屈。
アケミの妹このみが女子高生宮崎あおい。姉とは仲がいいようだ。
妹は姉の彼氏リチオとも親しくしてる。このみは部屋にやってきてリチオにサングラスを外して素顔を見せてとか言う。
サングラスを変えたリチオはライブハウスでめまいから気絶。病院へ。原因は医師にもわからない。
不機嫌にこのみを夜のクラブから帰そうとしたかと想えば自宅に呼び出してキスしたり。こいつは何なんだ?

レコード店店長(田口トモロヲ)から店を任せられるので下見。なぜかいきなり店長の小さな息子を連れ去られようとするし。なんだこりゃ。
それでいてドラマがぜんぜん面白くなってくれない。心象風景も挟んでくる。もう見ていて意味不明。これって演じてる役者たちも意味がわかってないのでは?
大学受験のために塾を申し込んだかと思いきや、告白され交際を申し込まれたり。もうみんな何やってんの?
気分屋のリチオはすぐ不機嫌。レコード店辞めると言ったり、アケミと喧嘩したり。
アケミが交通事故死後、青い車でドライブしてこのみはリチオをホテルに誘うし。みんな自由すぎんか。

今回見てもやっぱり自分には何も良い所がなかった。