2026年2月1日日曜日

松本清張「砂の器」(昭和36年)

松本清張「砂の器」(昭和36年)を読む。新潮文庫で読む。今回読んだものは平成23年の107刷!

自分がこの本を初めて読んだのはなんと中学生のとき。それ以来で2回目。当時もっていた版はこれとは違う表紙のやつ。
当時は読み終えたとき「すごい長編を読み終えた!」と思ったものだが、今回は上下巻を2日でささっと読み終えた。松本清張はテンポよくてさくさく読みやすい。それに新潮文庫新装版は活字が大きいし1ページあたりの活字数が少ない。

今回あえて2回目で読んだのは、近年海外で新訳が出たりして松本清張人気が高まってるらしいから。じつに65年前の社会派推理小説。
海外では「Inspector Imanishi Investigates」というタイトルになっているらしい。「砂の器」では抽象的すぎてダメだった?

だが、今回読み返してみて「Inspector Imanishi Investigates」のほうがむしろ合ってるし相応しいと感じた。
野村芳太郎監督の「砂の器」では老父と幼い息子が過酷な旅をしてる場面がクライマックスで印象的。しかし、原作では今西刑事がずっと旅して聞き込み捜査をしてる。ほぼこの人の脚による事件の解決。回り道もしたけどすごく有能。そして松本清張のあっさりドライさ。映画は橋本忍、山田洋次脚本の叙情性がとにかく胃もたれ。

今回読み返して、中学生時代にはわからなかったであろう箇所が大人になるとよくわかると思った。
中央線の窓から切り刻んだ白い布を撒く女の箇所で、芥川龍之介「蜜柑」を連想させるのだが、当時の自分はまだその小説を知らなかった。

そして、今作の主人公で作曲家の和賀英良は「ミュージック・コンクレート」というジャンルの音楽をやってる前衛作曲家なのだが、中学生のときは何も想像できなかった。
後にクラシックを聴きまくった自分からすると、今では読書しながら音が聞こえてくる。たぶん一柳慧や湯浅譲二みたいな感じ?映画版の芥川也寸志「宿命」は今も好きじゃない。

読み終わって満足感と充足感がある。さすが読み継がれる名作。今西刑事がブレイクスルーをつかんでいく過程は爽快。

あと、10年ぐらい前に友人と東北を車で旅したとき秋田・由利本荘の岩城亀田を通りかかったとき「あ、砂の器の亀田!」ってちょっと興奮したことを思い出した。
あと、亀田をうろつく謎の男の件は、清張が同時期に連載していた「日本の黒い霧」の「下山国鉄総裁謀殺論」のことを連想。

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