2025年5月13日火曜日

キリエのうた(2023)

2023年10月公開の映画「キリエのうた」をGW期間中にやっと見た。
原案・脚本・監督が岩井俊二。音楽は小林武史。制作はロックウェルアイズ。配給は東映。

新宿の路上で暗いオーラを出すギタ女がキリエ(アイナ・ジ・エンド)。頭が青い女イッコ(広瀬すず)が話しかけてくる。ご飯をおごってくれる。そして、「泊まるところないなら来なよ」
目を覚ますとイッコは実は顔見知り。帯広の高校の先輩真緒里だった。
以後、現在と過去のイッコとキリエの回想。3時間もある長い長い激重映画。
これが東日本大震災ちょっと前からの回想。ふたりの少女と夏彦(松村北斗)の流転の人生。

アイナ・ジ・エンドというシンガーのことは自分はほとんど知らない。風貌と雰囲気が櫻坂の山下瞳月に似てるなと思いながら観ていた。

この映画、口のきけない小学生少女といっしょにいるだけで路上ミュージシャン七尾旅人が職質に遭うシーンからもう不快。
この警察官男女の目つき言動なにからなにまで不気味でリアル。七尾もよく職質されるのかリアル。それほど犯罪の匂いもないのにそこまでシャカリキになる必要ある?

おそらく通報したのは無表情で路上演奏を聴いていた女。そんなことより早く不良外国人や迷惑詐欺電話や自民公明議員を捕まえろ。そのフットワークをなんでオウムや統一教会のときに活かせなかった?
たぶん岩井俊二の映画人生で何度もロケ撮影中に警官がやって来たんだろうなと想った。こんな嫌がらせされたんだろうなと想った。
あと、黒木せんせい主導で夏彦が関わってしまったルカ(東日本大震災で母と姉を失った)を福祉行政に預けるのだが、この担当者が個人情報を理由に、最大の功労者ふたりに対し「血縁関係のない無関係者だから何も教えられない」と突き放す。え、事前に何の相談も報告もなく児童保護施設へ送った事後報告?「帰って」という態度。
これはひどい。せめて最低限の説明と感謝はあってしかるべき。

ルカは高校生になっても夏彦を訪ねるのだが、夏彦からルカを引き離した福祉司女の顔が怖い。夏彦をまるで犯罪者を見るような目で見る。口のきき方ももうちょっと何とかならんか。
夏彦から引き離された後のルカは幸せになってる?そこ、行政と福祉司が最後まで責任を持て。
広瀬すずイッコは登場した瞬間から胡散臭かった。不労所得で生活してんの?中高年男性から金を搾取し続けたインフルエンサーの事件を想い出した。
祖母母娘、三代にわたってスナックママな人間はそんな人間という描き方。ひどくね。

結婚詐欺師疑惑のイッコの件でキリエ(ルカのその後)は新宿南署へ任意同行。身寄りのないキリエが唯一身元を証明してくれる人物は十勝の農場で働いている夏彦。
夏彦の身の上話を聴いてる刑事ふたり。話を聴いてそれだけ?何か手助けするとかないのか。
あと、音楽業界関係者たちがそろいもそろって信用できなさそう。北村有起哉、もうちょっと何とかしろ。

新宿での音楽フェス、やっぱり警官ふたりがこちらを観察するような座った目でやってくる。見ていてとにかく不快。警察は楽な仕事ばかり選んでやってる。なのに圧迫感。
一方でフェス主催者も何も法的手続き踏んでなかった?!テキトーすぎる。

この映画、とにかく日本社会と福祉行政の不幸な人々への塩対応。見ていて爽快感がない音楽映画。
何も救いがないやつか…と思って観ていた。結局みんな不幸なままかもしれない。
東日本大震災のその時がリアルで見ていてしんどい。きっとこんな人生狂わされた人々のドラマはたくさんあったに違いない。

主題歌はアイナ・ジ・エンド「キリエ・憐れみの讃歌」(avex trax)

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