1998年10月公開の竹内結子主演映画「イノセントワールド」を見る。これ、過去に何度も見返してる好きな映画。DVDを持ってるのだが今回17年ぶりで見た。
原作は桜井亜美の同名小説。監督は下山天。脚本は小川智子。音楽は土井宏紀。製作はフジテレビ、ポニーキャニオン、東北新社(配給)。
体外受精で生まれた女子高生アミ(竹内結子)は援助交際で金を稼ぐ日々。母(范文雀)は知的障害のある兄タクヤ(安藤政信)産んだショックから、次の子は精子ドナー提供の精子を使うことを望んだ。
アミを産んだことを母が隠していた文書を盗み見たことでその秘密を知る。アミは父(長谷川初範)を父と認めない。なので家庭は冷え切ってる。
精子ドナーNo.307を探すためタクヤとふたりで旅に出る。生命科学を扱っていた大学研究室の元教授を訪ね、自分の精子ドナーが診療所で医師として勤務している高森ではないか?と北を目指す。この最果ての地が青森県の竜飛岬。風が強く波が高い。
兄と妹のふたりで海辺の崖に面した診療所を訪ねる。医師の妻で看護婦の啓子(伊藤かずえ)が出先から戻って来る。「どこから来たの?」ふたりが地元の人間でないことはお見通し。
しかしタクヤが39℃の高熱を出していることが発覚。そこに青年医師高森(豊原功輔)が往診から帰って来る。ふたりはこの診療所に一泊することに。
初めて見たときからこの竹内、安藤、豊原、伊藤の4人のシーンと芝居がとびきり素晴らしいと感じていた。兄妹と医者夫婦のファーストコンタクトがとにかくリアル。必要最低限の台詞しかない。日本映画は台詞で説明してはいけないというのが自分の持論。
感情を持たない青年医師とかつて太陽のように明るかった妻が現在は仮面夫婦。夫婦としての交渉はない。そこにやってきた異分子ふたり。そこには当然化学変化が起こる。
それはもう文豪が書くような文芸作品。大人になってから見るとさらに理解が進むし感心する。このドラマは面白い。
それに、自分は初めて見たときから青年医師が天気図を書いているシーンに注目。実際、自分も2000年代前半ごろはラジオ天気図を書いていた。天気図用紙を購入し毎日決まった時間んに記入。記入の仕方を誰からも教わってないので自分流かもしれない。最初はえんぴつで記入して後に清書していたのだが、めんどくさくなって最初から万年筆ダイレクト記入。(等圧線や前線の緯度経度はメモ)
かつて研究の一環として精子ドナーを務めた青年は、自分の子が訪ねて来たという現実と直視できない。現実から目を逸らすために天気図作成に没頭するシーンでの豊原とJK制服姿の竹内の争いが、初めて見た当時も面白くてつっこみを入れたのだが、今回も面白くて「何やってんの?」と突っ込んだ。
これ、タクヤが百葉箱前で高森に同じく「何やってんの?」と訪ねるシーンと対比になっていることに今回気づいた。
人によってはドラマがだらだらしてると思うかもしれないが、4人の変化に注目していれば退屈することはない。
この名作がどうして配信もなくCSやBSでも地上波でもまったく放送されないのか?もっと多くの人が見るべき名作。
DVDはSD画質なので今見ると物足りない画質。それに変な色合いになっていて暗いし見ずらい。画質をUPしてブルーレイ化とか無理なのか?
今回見てみて竹内結子が映画デビュー作から演技がとても自然で上手なことに衝撃を受けた。そして子どもと大人の間にいる17歳の体型の華奢さにも衝撃。
主題歌「ただ風は吹くから」(1998 ポニーキャニオン)はMVまで作られた。この映像はぜんぜん見た記憶がないし見られていないかもしれない。
豊原功補青年医師が長身で服装がなにかの練習着のようでかっこいい。さらに、伊藤かずえもとても良い。作り笑いがほぼほぼ乃木坂の金川紗耶にそっくり。
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