塩野七生 ローマ人の物語「ユリウス・カエサル ルビコン以前」(1995)を新潮文庫(2004)で読む。文庫版では8巻、9巻、10巻に相当。ユリウス・カエサルという人物の少年時代から死までを全6巻で語ろうという試みの前半に当たる「ルビコン以前」を扱う。
もう第7巻以前のできごとが思い出せないw とにかく細かくて長い。これを読み進めていくことはとにかく忍耐。
名門貴族の子として生れたカエサルはスッラ独裁時代に殺されかける。そこでギリシャに逃亡。このとき海賊に囚われ、自らに掛けられた身代金を安い!と値を吊り上げ、後に海賊たちを縛り首にして報復という有名なエピソードがある。
このころに大富豪クラッススと人気者ポンペイウスがのし上がる。高校世界史で第一回三頭政治って出てくるけど、こういう本を読まないと何も具体的な実態はつかめない。
自分、「カティリーナの陰謀」という事件をまったく聞いたことなかった。たぶん高校世界史では扱われていない。たぶんローマ史を詳しくやる欧米の生徒は知ってる。
そして中巻にあたる第9巻からは「ガリア戦記」。
紀元前1世紀のことがこれほど詳しく細かく現代まで記録が残っていることがすごい。それにカエサルは文人。軍人としても政治家としても世界史に名を残すビッグネームだが、作家としての能力も超一流。
ガリア戦記はローマ人のガリア人征服。文明のローマ人が野蛮人のガリア(ケルト)人、ゲルマン人、ブリタニア人たちを斬り従えていく。とにかく多くの人々が死ぬ。古代から現代まで戦争で死んだ人々のなんと多いことよ。
カエサルとガリアの最後の戦いがアレシア攻防戦。あれ?ヴェルチンジェトリックスって誰?ああ、岩波文庫「ガリア戦記」ではウェルキンゲトリクスと表記されていた人か。塩野せんせいが暮らすイタリアではそう呼ばれているのか。
ガリア戦記を読む以上に、カエサルの戦争を詳しく解説してくれる。塩野せんせいはほぼ生き字引。とにかく情報量が多い。これをすべて把握してる読者がいるとすればそれはすごい。
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