2025年1月2日木曜日

原菜乃華「ミステリと言う勿れ」(2023)

映画「ミステリと言う勿れ」を年末にやっと見た。2023年9月公開のフジテレビ東宝映画。
監督は松山博昭。脚本は相沢友子。原作は田村由美のコミックス。音楽はKen Araiという名前がクレジットされているけど、ほとんどクラシック音楽。

良い評判を聞いていたので見たという感じ。テレビドラマシリーズが人気だったようだが、自分は第1話だけ流して見たという感じ。
なのであまり詳しい設定と世界観は知らない。今作を見た理由は今現在、B小町・有馬かな役でブレイク中の原菜乃華

冒頭から車がカーブを曲がれず崖下に転落するシーン、美少女と永山瑛太(謎の男、テレビシリーズを見ておらずこいつの設定が最後までわからなかった)、探偵役に相当する天パーに厚着マフラー大学生・久能整(菅田将暉)はなぜか広島観光中。そして原菜乃華とのファーストコンタクト。この一連の流れが心地よい。さすがフジテレビ大作映画。
久能整は美少女JK狩集汐路(原菜乃華)に原爆ドームの対岸で声をかけられる。バイトということで強引に祖父の遺言状公開の現場へ。
これが普通の豪邸じゃない。大名・華族・鉱山王・生糸王・金融の支配者クラスの大豪邸。庭の広さも屋敷のデカさも異常。こんな家に国王以外住んではいけない。庭師、女中、奉公人が10人では足りないかもしれない。でないと維持管理が不可能に近い。

で、顧問弁護士段田安則と会計士角野卓造から、4人の孫(親たちは全員既に死亡)町田啓太柴咲コウ(幼い女児を抱いている)、萩原利久(口が悪い品のない大学生といった感じ)へ遺言が明かされる。それぞれに蔵が与えられ、過不足なくあるべき姿に整えよという指示。その勝利者に全財産が遺贈される。
4人の孫の1人汐路が「この一族は殺し合う」という主張をするのだが、その情報は汐路からしか語られない。アガサ・クリスティーの読者なら、一人だけの口からしか語られない状況説明は真に受けてはいけないということを知っている。
だが、整と一緒のとき石垣(かなり高い)から植木鉢落下。これは、やはり命を狙われているのか?

柴咲コウも土蔵に閉じ込められ、やはり相続候補者間のデスゲームが始まるのか?と思いきや、天然冒頓だが弁の立つ整が異常に鋭い観察眼とひらめきで、この一族のある特徴に気づく…。それに遺産相続人候補者たちがみんな天然。

フジテレビが長年ドラマで培った経験をフルに活かしたような演出と脚本で視聴者を謎解きで惹きつけ引っ張る。さすがだ。

だが、その一族の壮大な闇と秘密は荒唐無稽。そんなことってある?なぜそれが令和の時代まで存続した?近代のどこかで高等教育を受けた誰かが止めていたはず。
それに、ヒロイン汐路の親の世代がそろいもそろってみんな聡明で理解があって人間性も立派。悪しき風習を断ち切る。え、急に?

自分、正直その全体像が明らかにされた段階で、あ、犯人コイツだな…って気づいた。ということは共犯者たちがいるはずだと見抜いたw
あの使用人・松坂慶子の弟の芝居脚本のくだりって必要?

このストーリーのキモはその異常な動機。異常すぎるのでこういうのはたったひとりのサイコパス野郎で十分。秘密を共有する人数が多くては不可能。そんな野郎が先祖代々存在してたとか、ちょっと不可解。だから異常かもしれないが。
闇の一族のただ一筋の光の存在であるクラリス姫はヒロイン原菜乃華であってほしかった。自分ならなんとか強引にでもそんな設定の脚本に書き換える。

エラリー・クイーンで言ったら「九尾の猫」ぐらいに動機に驚けたのだが、「ありえんやろ」という感じもする。
その後の説明がいい話にしようとしててちょっと白けた。長かった。やはりフジテレビ映画ならではの甘さを感じた。
今のZ世代はこういう展開のほうが好きなのか?人間ってもっと底知れぬ闇だぞ。

自分で使いきれない富を独り占めするやつらはこの世の衆生すべての敵。その手先が自民党・財務省政権だぞ。

あと、このシリーズの大学生探偵・久能整のキャラには金田一耕助オマージュが見られる。その存在は天使。事件に関与したくなくても探偵として真相が見えてしまう。そして心根が優しい。事件関係者たちに様々な名言を残す。てかなんで寝る時もマフラーなん。

主題歌はKing Gnu 「硝子窓」

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