2025年1月3日金曜日

五来重「石の宗教」(1988)

五来重「石の宗教」(1988)を2007年講談社学術文庫で読む。

五来重(1908-1993)は著作も多いかなり有名な仏教史と民俗学の学者先生。だが、自分はこの人を、梅原猛が円空仏の本でめちゃくちゃ批判してたことで印象に残ってた。この先生の本を初めて読む。

そういえば小学校~高校で習う日本史における宗教って、天皇や武家の信仰した宗教ばかりで、名も無き民衆が信仰した路傍の道祖神、庚申塔や青面金剛、馬頭観音や地蔵石仏に関することは一切教科書で学んだことがない。

日本は神道と仏教だけですけど…という考えで止まってた。大人になって山を歩いたり田舎道を歩くまで、それ以前の自然崇拝や祖霊を祭る信仰の存在が見えていなかった。

男女和合を表す石像とか、金精神の石の棒とか、明治政府は淫祠邪教扱いで恥ずかしいと思われるようになってしまった。

今まで知らなかったことをいくつか学んだ。この本、学術本という感じはあまりしない。どちらかというよ一般読者に向けたくだけた語り口。辛辣な皮肉とか垣間見えるが、「え、そんな決めつけていいの?」という箇所はいくつか気になった。
いくら昭和でも通りかかったご婦人に男根の形をした石のいわれを聴いてみるとか、今なら完全にセクハラおじさん不審者。そっぽを向かれて当然。

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