2025年1月29日水曜日

乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(2004)

乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(2004)を2007年文春文庫で読む。この作家の本を初めて読む。
これ、映画にもなってて、何やら最後に衝撃の真相が待ち構えてるどんでん返し系ミステリーらしいので期待して読んだ。

静岡大数学科4年の鈴木は服装に気を遣わないし彼女も欲しくないという真面目男。数合わせで頼まれ参加した男女4対4の合コンで、繭子というショートヘアーで色白で痩せた女の子と出会う。他人から見たらそれほどでもないかもしれないけど自分にはドストライク。

何度か会ううちに恋が深まる。そして初体験。この描写がほぼエロマンガ官能小説。
以後、会うたびにセッ〇ス。そして男は就職。繭子とは離れたくないので内定を蹴って地元静岡の企業に就職。
だが、意図せずに優秀だったために東京へ。以後、遠距離恋愛。週末ごとに車で往復。だんだん疲れていき、繭子の妊娠と堕胎を契機に、恋人は不幸になって破局…という、よくある風景……かと思いながら読んでいた。

これは昭和バブル期の話か?と思い始める。大学生が無理してオシャレしたりプレゼントを買ったりディナーしたりホテル予約したり。
ああ、プリペイカードで遠距離電話とか、家電で本人が出るかどうか不安だったり、国鉄がJRになった80年代後半ごろの話なのか。

注意!ネタバレは避けるが、以下、多少のネタバレを踏む可能性は否めない。

ふつうにさらさらと流して読むと、最後の最後がよく意味がわからない。自分も「……。」って無の表情になっていた。そもそも繭子の妊娠も解せない…。
だが、よくよく思い出すと、SideAとSideBで主格男の細かい箇所と性格に違和感。え、物理学科?!

「?!」ああぁぁ…、そういうことか。すべて誤読だった。2つの側面。予想外!まぎらわしい!
女って清純そうに見えても強か。真面目純朴男には太刀打ちできない。

この本は2度読み返さないと多くの読者はピンとこないかもしれない。この原作をどうやって映画にしたんだろうか。そのうち映画を見て確認したい。

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