2024年1月1日月曜日

青崎有吾「11文字の檻」(2022)

青崎有吾「11文字の檻」(2022 創元推理文庫)を読む。2019~2022に発表された短編に表題作書き下ろしを加えて全8作からなる「青崎有吾短編集成」。では順に読んでいく。
  1. 加速してゆく 2005年4月のJR福知山線脱線事故の事故発生時刻に、尼崎駅で通勤のため列車を待っていた新聞社カメラマンと、そこにいた男子高校生の、あったかもしれない人間ドラマ。
  2. 噤ヶ森の硝子屋敷 ガラス張りの屋敷で起こった密室殺人を探偵がささっと解決する。
  3. 前髪は空を向いている 高校生の青春小説?
  4. your name わずか3ページ。崖からの転落死亡事故の目撃者が犯人だとバレるまで。
  5. 飽くまで わずか6ページ。すべてにおいて飽きっぽい男の独白。乱歩にありそうな短編。
  6. クレープまでは終わらせない 急に毛色が違う。エヴァンゲリオンみたいな日常?
  7. 恋澤姉妹 これも毛色が違う。近寄るものはすべて殺すという殺戮マシーン姉妹に接近しようとして死んだ女とその女弟子によるハードボイルドアクション。
  8. 11文字の檻 軍事独裁政権となって他国と戦争中の日本(?)が舞台。敵性思想を持っていると判定され強制収容された官能小説家が、正解すれば出所できる11文字パスワードのクイズに挑む、理不尽な目に遭わされる囚人と収容所の心理戦。そして予想のできない結末。謎解き脱出ゲーム小説の最新作。これは他に読んだことのないタイプで新鮮で面白くて感心。
書き下ろし作の「11文字の檻」がいちばん面白かった。

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