2023年12月31日日曜日

鴨崎暖炉「密室狂乱時代の殺人」(2022)

鴨崎暖炉「密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック」(2022)を読む。昨年12月に宝島社より文庫書き下ろしとして出た1冊。
この著者を初めて読むのだが、前作の「密室黄金時代の殺人」も「このミステリーがすごい!」で文庫グランプリを取って評判らしいのでいずれ読みたい。

「完全な密室」であれば容疑者は必ず無罪判決が出るという判例が出て以来、密室殺人が頻発する近未来(?)、富豪ミステリーマニア大富ケ原蒼大依が絶海の孤島の屋敷で賞金10億円の「密室トリックゲーム」を開催。

招待された高校生主人公・葛白香澄と変人キャラの参加者たち。史上初の「密室殺人」で無罪となった女子高生、その反例を出した28歳の元裁判官たちが、本当に起こってしまった連続密室殺人事件の謎に挑むという、いかにもな絶海の孤島クローズドサークルもの。

読んでいて明らかに次の世代の書き手による、最新のミステリーという感じがする。やりとりとキャラが面白い。
しかし、次々と5人連続で殺される。「密室殺人」がどれも、理工系大学生が思いついたような「ぼくがかんがえたさいきょうのみっしつ」とでもいうような奇想天外物理トリックの数々。しかもエラリーのような本格ロジックも噛ませてくる。カードキーに関する問題は読んでいてわかるようなわからないような…。

ああ、これは自分には合わなかったかな…と思いきや、ラストでアレがさく裂して驚く。ミステリーを読み飽きたような読者がメタで楽しめるような新鮮な作風。
今の時代の若者にはこういったものがウケるのかもしれない。今まで読んだことのない叙述トリックもあって新鮮で楽しかった。アイデアと発明が詰め込まれてる。

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