2023年12月10日日曜日

森川哲郎「疑獄と謀殺」(昭和54年)

森川哲郎「疑獄と謀殺」(昭和54年)を2008年祥伝社文庫復刊で読む。
文庫オビの「重要証人はなぜ自殺するのか!?戦後疑獄事件にまつわる死、その真相に迫る!」が良いコピー。

森川哲郎(1924-1982)は新聞、雑誌記者を経て文筆活動に入った小説、評論家。とくに帝銀事件の「平沢貞道を救う会」事務局長として活動したことで知られる。

一部、松本清張「日本の黒い霧」とかぶる内容。昭電疑獄、造船疑獄、GHQのGSとG2という部局の勢力争いと足の引っ張り合い。

日本国民が戦争のために半ば強制的に供出させられたダイヤモンドと貴金属が、終戦後に乗り込んできたアメリカ軍将校たちによって、日銀の地下金庫から好き勝手に持ち出されポッケナイナイされた事件は胸糞。

自分、貞明皇后のダイヤ王冠までも行方不明になっていたとは知らなかった。
さらに、愛新覚羅家の秘宝、フィリピン略奪ダイヤ、チャンドラ・ボースと共にあった財宝などもことごとく闇に消えていたことも知らなかった。こういうの、ちゃんと小学生の社会・歴史で教えるべき。

六「ドミニカ糖事件と謀略機関員の死」、七「日通不正事件」、八「防衛庁機密漏洩事件」は令和の今、あえて読むべきものかどうかとも想ったのだが読んだ。重要証人・参考人が不審な死、怪死している。

最後に「ロッキード事件」。田中角栄元首相逮捕後に、関係者が16~18人も不審死してるって怖すぎる。
検察庁での取り調べ後に、田中の秘書兼運転手だった笠原氏(現金受け渡しメモを供述)が、埼玉県比企郡都幾川村の山道路上で、排ガスを引き込んだゴムホースを咥えた状態で死亡してるのが発見されたのは不審すぎる。(ゴムホースの入手先が不明なまま)

事件を捜査していた警視庁国際刑事課課長補佐・森沢学警視正も隅田川で水死体となって発見。事件を調査していた日経新聞編集委員も心不全で急死。丸紅からも急死者を出してるし、ロッキード社の財務担当副社長も自殺…。
不審な点があっても簡単に「自殺」ってことにされるのも怖い。警察にどこからか圧力が?

そこにCIAの影が?!ケネディ暗殺にも関わったと言われるCIAは外国要人暗殺も計画(たとえばカストロ)するのでありえなくもない…。

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