飛鳥部勝則「バベル消滅」(1999 角川書店)を読む。このミステリー作家の本を読むのこれで2冊目。
新潟県の佐渡と粟島の間にあるという設定の架空の鷹島にあるという版画美術館の警備員・風見国彦は、ここひと月ほど神秘的な美少女藤川志乃(中学生)が閉館間際にやってきていることに気づく。いつもコルネリス・アントニスゾーン「バベルの塔の崩壊」(1547)を見ている。国彦は意を決してこの子に話しかけてみる。この子の受け答えがなんかおかしい。
そして島の中学校社会科教師田村正義の主観での語り。こいつが青白く病的な風貌で目つきが鋭く心の声で毒づく。とてもこんな男に子どもを任せられない感じ。
やがて美術教師が美術準備室でブロンズ像で撲殺。さらに同じ中学の用務員が学校から盗み出した毒物で自殺。さらに事務員も自宅アパート階段から転落して死亡。一体何が起こってる?
2回も死体の第一発見者になってしまった田村は死体発見現場に「バベルの塔」の絵画を見つけ出す。しかも、作成時期がだんだん古くなっている傾向がある。これは一体?
そして陶芸教室の合宿2日目に藤川が宿泊先の部屋で胸を刺され殺害?!ダイイングメッセージも?そして「バベルの塔」の画集?
そして田村は刑事と関係者の前で事件のあらましと犯人を名指しする…。
ああ、これは事件の動機が新しいな…と感じた。だが、その後に「殉教カテリナ車輪」のごとく、物語の語り手と読み手の問題へと読者を迷い込ませる。ああ、周到に読者をだます気まんまんじゃん!その手はちょっと呆れたw クセが強い誤読強要テク。
どうりで読みづらいと想ってた。わりと強引な力業で読者は騙される。
主観が章ごとに変わって、それぞれ想像が入り混じって読みづらいわかりづらい文体。読み解きづらい。
こういったミステリーに慣れ親しんだ読者でないと理解が難しいかもしれない。楽しむことが難しいかもしれない。しかし、自分は面白かったと言える。あと、冬の日本海の離島の暗さを感じた。
0 件のコメント:
コメントを投稿