石持浅海「月の扉」の2019年乃木坂文庫版(久保史緒里が表紙)も「疾風ガール」と同じ店で売られていたので同時に拾って連れ帰った。110円。
2003年に光文社カッパノベルズとして刊行、2006年に光文社文庫化。そしてこの2019年乃木坂文庫で22刷。たぶん多くの人々に読まれた名作なのかもしれない。タイトルの前に「長編推理小説」と銘打ってある。
ちなみに自分がこの作家の本を読むのは2冊目。
国際会議開催中で厳戒態勢の沖縄那覇。重大な決意をもって空港に集まった男女3人。那覇発東京行きの航空機に登場。そして乗客から乳幼児3人を奪って人質にしてハイジャック。このへんの手口は模倣されないのか心配になる斬新で新しい手法。
犯人の要求は警察に不当逮捕されたカルト集団「キャンプ」主催者石嶺の釈放。正確には空港に連れてくるだけで良いというもの。
石嶺は不登校児童と一緒にキャンプをして子どもを立ち直らせる手助けをする団体をやっていただけ。父親の同意は得てキャンプに参加させ家に戻したのに、母親が騒いで略取誘拐ということで逮捕。それは不当だと主張。
通常なら逮捕されるような案件でもないし警察幹部も反対。なのに上層部のどんな権力が働いたのか?
そんな騒動の最中、機内トイレ内部で、人質となった乳幼児の母親女性が血を流して死んでいる…。
この小説で探偵役となるのがたまたまカップルで搭乗していた青年。座間味島のTシャツを着ていたというだけで犯人グループから「座間味くん」と呼ばれる青年。
犯人はそこにいた「座間味くん」に意見を求める。この座間味くんが異常に頭が良い。
犯行グループのリーダー格・柿崎は、座間味くんの頭脳を見込んで、女性不審死事件の真相の調査を依頼w なぜなら自分たちはハイジャックで忙しい。県警本部と交渉もしないといけない。
ハイジャック犯に機内トイレという二重密室での不審死?の調査を無理矢理やらされる。いやあ、この設定は新しい。
犯人グループは当局が時間通りに要求を飲まないと、人質をひとりづつ殺していくと通告。警察が時間を引き延ばそうとしてると判断。よってひとりを殺害しようとするのだが、そこは座間味くんが説得。「すでに女性の遺体があるじゃないか」と。
トイレで発見された不審死遺体を機体の外に投げ落とす。警察はさらに緊張。人質の乗客が殺害されたのか?内部で一体何が起こってる?!
初めて読むジャンルのサスペンス。予測不能という点においては100点。だが、登場人物たちの言動すべてに納得はいかなかった。そんなトリックで?とも感じた。
座間味くんのキャラが良い。最後まで本名すらもわからない。何者なのかもわからない。
この作者はたまたまふらっとそこにいた青年が謎を解いて去っていく…というパターンが好きなようだ。
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