ロバート・A・ハインライン「銀河市民」(1957)を野田昌宏訳ハヤカワ文庫SF(1972年)の2005年新装版で読む。表紙イラストは前嶋重機氏。
CITIZEN OF THE GALAXY by Robert A. Heinlein 1957
太陽系から遠く離れた惑星サーゴンまで輸送され、市場で奴隷として売られる痩せこけた少年ソービーは老乞食バスリムに安価で買われる。
この義足老人がいい人。薄汚れたソービーを洗いご飯を食べさせ生傷と虐待で傷ついた心をも癒す。そして一緒に物乞い家業。ソービーはバスリムを父ちゃんと呼ぶようになる。
だが、バスリムはソービーにいろいろな言語のメッセージと男の顔を覚えさせる。ときに紳士のような姿でいたりする。これはさすがに知恵のないソービーでも普通の乞食でないと気づく。
そして父失踪。サーゴンは警察が監視する社会。どうやら父はスパイで警察に殺された?そしてソービーも警察に追われる。何もしてないのに。
意味も解らないまま暗記させられたメッセージを星間貨物船シス号の船長クラウサに伝えると、この船長の尽力もあって密航に成功。
あとは船内の人間関係と人類学。そしてソービーは、かつてバスリムと軍人仲間だったブリスビー大佐に託される。
ブリスビーはバスリムから伝えられたメッセージから「九惑星の奴隷交易を援助しているものが、われわれの世界にいる」ということをつかむ。
ソービーの身元が判明してから急展開。地球の超お金持ち一族。貴種流離譚だったのか。
ハインラインはアメリカらしいSF作家。初年兵ものからビジネスの世界まで描く。アメリカ人は十代のころから司法、法律契約と株式と経営の概念にどっぷりつかる。日本人がかないっこない。
それと、この文庫版の表紙イラストはあまり小説の内容をイメージとして伝えていない。こんな感じがウケるんだろうけど。
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