2022年4月17日日曜日

DEEP WATER(2022)

パトリシア・ハイスミス「Deep Water」(1957)が初めて実写映画化されるというので楽しみに待っていた。邦題は「底知れぬ愛の闇」?!
この作品は日本では「水の墓碑銘」(河出書房新社)というタイトルで邦訳が出ている。自分はすでに読んだ状態で見る。
監督はエイドリアン・ライン。この人はまだハリウッドの一線で活躍してるのか。脚本はザック・ヘルムとサム・レヴィンソン。

主演はベン・アフレックアナ・デ・アルマス。製作は20世紀スタジオ、リージェンシー・エンタープライズ他。劇場公開を目指していたものの先が見通せずに3月18日よりhulu、アメリカ以外ではAmazon Primeによって配信開始。Amazonで見ると吹替え版がデフォ?

自分、映画を見る時、先に原作を読んでいるということがほとんどないのだが、やはり読んでから見ると理解がしやすい。
ざっくり説明すると、夫以外の若い男と自由奔放に遊んでる若い美人妻と、嫉妬深いムッツリもっさり中年男の周囲で起こる死。ジャンル的にサイコサスペンス。

原作の主人公はこんな自転車で汗を流すようなスポーティじゃなかったイメージ。
家に帰ると妻が階段に座ってこちらを見つめてる。アナ・デ・アルマスが初登場の瞬間から美人。

開始から映像が自分の想像してたイメージと遠くない。家のイメージもパーティーシーンも。プールの大きさも。アメリカ人の生活は豊かだ。
現代にアレンジされている。幼稚園児の娘の求めに応じてアレクサが音楽をかけてくれる。

地元名士たちのパーティーへ夫婦で出かける。この妻メリンダが日本じゃ考えられないぐらいにオープンに尻軽で若い男といちゃいちゃ。男も旦那がいると知っててキスしてるとかおかしい。これがアメリカか。(旦那がなぜか放任)
原作とイメージ違うのが主人公ヴィックに話しかけてくる夫人が黒人だったこと。60年の間にアメリカ社会はだいぶ白人と黒人が溶け込んだ。

妻が陰でキスしてた金髪男ジョエル(新参のよそ者)に「妻と親しかった男友だちマクレーを殺した」と告げる。ジョエルはビビッて帰る。妻は怪訝。何か言ったの?
噂はすぐ広まる。「ヴィックがとジョエルを脅した」と妻はカンカン。いやいや、それは逆ギレ。この奥さんも頭おかしい。夫と知性において差がある。女としての魅力のみの妻。

ヴィックが離れの部屋でカタツムリを飼っている設定も原作と同じ。職業は軍用ドローンのチップを作った技術者?(こいつが仕事してる場面がまったくない)
ヴィクは裕福なのだが銀行から妻のカードの残高不足の連絡。メリンダは一体何に支払いをしてる?
ヴィクが調べると、メリンダはバーピアニストのデライルと浮気中。朝帰り。小切手のことを問い詰めると「別にいいでしょ」なんなんだこの奥さんは。もう即離婚だろ普通。

パーティーにメリンダはデライルを呼ぶ。夫に隠れてふたりでお楽しみ。プールでデライルとはしゃぐ妻を遠くから見つめるヴィクの怒りの眼差し。
デライルがひとりになった瞬間にヴィクはこいつをプールで溺死させる。このへん、原作だと即殺害シーンになってビビるのだが、この映画では誰が殺したかわからないようになってる。
妻は捜査官に「ヴィクが殺した!」とヒステリックに叫ぶ。捜査官もヴィクを疑う。なぜなら妻の浮気相手なのだから。

メリンダはドムという作家と一緒に事件を推理。ヴィクが犯人だと確信を深める。
ヴィク周辺に出没する車。ヴィクはメリンダが探偵を雇ってると思うのだが、こいつは心療内科医だと紹介される。メリンダは懲りずにまた若い建築業者キャメロンとデートしてるのをヴィクは見ている。妻はこの男と娘を連れてブラジルに行くつもりか。
メリンダはこいつも家に招待してヴィクに「初めて寝たアメリカ人」と紹介。メリンダもバカだが選ぶ男も軽薄バカ。じゃなきゃこうならない。

ヴィクはキャメロンを口車で車に乗せて郊外(よくピクニックに行く場所)へ連れ出し無言で殺害。デライル殺害と違って今度は残酷な撲殺シーンと崖から落とすシーンがある。そして死体を川のよどんだ深い場所に沈める。
ここから先、なぜかヴィクとメリンダは愛を取り戻したかのようになる。

妻が落とし忘れたスカーフを取りにピクニックに行った渓谷へ戻り死体が浮かんでるのを見て焦る。沈めようとしてるところをドムに目撃される。
ここ先は原作になかった映画ならではの手に汗握るサスペンス要素。この映画で一番ハラハラした場面。逃げろ!ドムじいさん!

え、そういう時系列?!と驚いた。見ていてずっと原作に忠実で雰囲気も同じだなと感じていたのに、ラストは原作を衝撃的に改変。予想してなさすぎた展開で焦ったw 

原作は退屈に感じることもあったのだが、この改変はこれで良かったかもしれない。ドムがノワール小説を書いてるという設定になっていたのはこのため?これは予見できなかった。

アナ・デ・アルマスは日本でも人気が高まってる。「ブレードランナー」にも出てた。キューバ出身。ガッキーやPerfumeと同じ1988年生まれ。本編中で裸身をさらしてる。原作よりエロ要素を盛り込んでる。

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