鮎川哲也「クイーンの色紙」(1987)を読む。2018年の12月に100円で見つけて買って積んでおいたもの。ようやく読む。
ダメ探偵が持ち込んだ謎をバーテンが話を聴いただけで解く「三番館シリーズ」の第5集。
自分が手に入れたものは2003年創元推理文庫版の初版。5本からなる短編集。順番に読んでいく。
秋色軽井沢(別冊小説宝石 1983年9月号)
新潟行き急行「佐渡1号」が上野を出て赤羽にさしかかったころ、ポケットウィスキーを飲んだ30代男性が苦しみだし絶命。自殺として処理されるのだが、死亡した男性と交際していた女性は他殺の疑いを持っている。そして「探偵」に依頼。新潟で過去の女たちに聞き込み捜査。
さらに、小県郡武石村の山道で女性の遺体が発見された事件との係りは?
これ、何を語ってもネタバレになりそうなネタ1本勝負短編。たぶん、ヨコ〇マ市民はこれを読むときっと笑う。自分も一度その辺に行ったことがあったので思いがけない声が出たw
いろんな地方都市へ行って思いもかけない地名と出会ったとき、毎回自分も同じようなことを考える。
X・X(週刊小説 1976年8月30日号)
ダイイングメッセージが「X・X」だったけど、これは誰かの名前?容疑者は「X」と書いてクスヤマ(楠山)?それともロシヤアルファベットでH?それともローマ数字で合わせて「二十里」?という、ちょいふざけた短編。だが、ラストは切ないというか怖い。
クリーンの色紙(ミステリマガジン 1986年7月号)
エラリークイーン(ダネイ)のサイン色紙紛失事件。これは…、どうでもいい真相。日常エッセイにちょいミステリー要素を足したような短編。
タウン・ドレスは赤い色(別冊小説宝石1980年12月初冬特別号)
渋谷で小さな花屋を営む女性は闇金もやっていた。そして死体となって発見される。ちょい松本清張っぽい短編。
ボロアパートのドアの鍵(チェーンロック)の密室トリックにこんなバージョンがあったのか!?という短編。犯人がわりと性悪。
鎌倉ミステリーガイド(別冊小説宝石 1987年5月初夏特別号)
藤沢駅に集合して鎌倉ミステリーツアーに向かったグループ。作家の家や延原謙の墓なんかを見て回る。やがて、ハイキングコースで殺人事件。
これ、何を語ってもネタバレになりそうなのでこれ以上語らない。短いながらに感心させられる。バーテンさんがとにかく頭がいい。
どの作品も古い時代なのに文体は古くない。とても新鮮だし終わり方がおしゃれ。推理小説作家として様々なミスリードのテクニックを駆使した短編。これまで数冊鮎川哲也を読んできたけど、どちらかというと短編のほうが良い。
0 件のコメント:
コメントを投稿