2021年9月5日日曜日

天地創造(1966)

ジョン・ヒューストン監督の「天地創造 The Bible: in the Beginning」(1966 20世紀FOX)は子どものころに少しだけ見たことがあって印象に残っていた。まだ全部見たことなかった。
5月にBSプレミアムで放送されたのでしっかり見た。アメリカとイタリアの合作。
上映時間が175分と長いので真ん中で休憩インターミッションがある。

日本人はあまり旧約聖書に馴染みがない。だが、それではいくら英語を学んだところで海外の人々とのコミュニケーションは困難。聖書のエピソードも「まんが日本昔話」で学ばせるべき。自分はクラシック音楽で聖書の物語に触れる機会が多かったのだが、それでもよく知らないものが今でもたくさんある。なのでこの映画を見たかった。
(デミル監督の「十戒」と一部がごっちゃになっていた。あれはユダヤ人とエジプトのファラオの戦いがメインだった。)
これが映像で見る旧約聖書。神が天地創造する映像から始まる。昔の人は聖書を読むか、僧から話を聴くか、絵画で見て想像するしかなかった話が総天然色映画で見れる。
(古事記日本書紀もかなり昔に映画になっているのだが、自分はまだ見ていない。)

アダムとエヴァ。ヘビにそそのかされてリンゴの実を食べ善悪という概念を初めて理解。そして楽園追放。人類とヘビが戦うようになった最初のきっかけ。それ、今回初めて知った。
人類最初の殺人事件。カイン(右)とアベル(左)。遊牧民の弟アベルを農耕民の兄カインが殺害。

「ノアの箱舟」の動物大行進シーンが今見ても楽しい。動物たちの演技が楽しい。(この手法で十二支も映画化してほしい)
丸木を組み上げタールで隙間をふさいだだけの船が長時間波間を漂うことが可能なのか?動物たちが1ペアのみでいいのか?昔の人は動物の体内時計という概念を知っていたのか?
ノア役の人がジョン・ヒューストン監督その人か!
ちなみに音楽を担当したのは日本の黛敏郎。ある年代以上の人にとっては「題名のない音楽会」でおなじみ現代音楽の作曲家。

さらに時代は下ってニムロッド王のバベルの塔。自分、こどものころローマのコロッセオをこの塔のなれのはてだと勘違いしてた。
天にも届く塔を建てようなんて神をも恐れぬ行為。なので人々が互いの言葉を理解できなくさせてしまおう!と怒る神。日本の受験生が英語学習に苦しむようになった契機がこれ。

そしてアブラハム登場。まだまだイエスキリストやイスラエル王国よりもはるかに昔。アブラハムとロトはカナンの地へ。
アブラハムとその妻サラ。こどものないまま年老いた。エジプト人奴隷ハガルを側女にしたらイシュマエルが生まれた。

そしてイサクが生まれる。ハガルとイシュマエル母子は砂漠に追放される。そんなことしたら死んでしまうだろ。このシーンを見て横溝正史を連想。青沼静馬?このイシュマエルは後にアラブ人の祖となる。
自分、このエピソードを初めて知ったのがスティーヴ・ライヒの「THE CAVE」だった。
そして映画のクライマックスがイサクを生け贄に捧げる場面。全能の神の前では、85をすぎて授かった子ですらも殺さないといけないのか…。信仰を試される。

結果、このイサクは180歳まで生きる。日本も古代天皇は異常に長生きだがアブラハムもイサクも長生き。イサクの子ヤコブがイスラエル十二部族の祖となる。

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