2021年現時点において館シリーズ最新刊となっている綾辻行人「奇面館の殺人」(2012年)を講談社NOVELS版で読む。
乃木坂の佐々木琴子もこれを読んでいるらしいので読む。
2018年5月に初めて「時計館」を読んで以来、足掛け3年で館シリーズのすべてを読んだことになる。
館シリーズでおなじみ鹿谷門実が最初から登場。駆け出し怪奇幻想作家日向京助から「自宅にすぐ来てくれ」と呼び出し。「君は自分と似てるから」と、資産家影山逸史の別荘(奥多摩?)で開かれる「会合」に代理出席してほしいと頼まれる。「出席するだけで200万もらえる。半分で山分けしよう!」
(どうせまた殺人が起こるのに200万じゃ割に合わないだろw)
この奇面館が中村青司が設計なので鹿谷は承諾。奇面館へと向かう。奇面という日本語は存在しないらしく変換で出てこない。おそらく、80年代に少年ジャンプ誌に掲載されアニメにもなった「ハイスクール奇面組」から綾辻先生は着想を得たに違いない。(そんなことが暗黒館に書いてあったような気もする)
奇面館に行く。やっぱりちょっと変わった建物。女子大生アルバイトに案内され金属製マスクとガウンを着用するよう指示支持される。なにそれ?「それがルールなんで」
集まった6人がなぜかすべて主人影山逸史と同じ年齢で、しかも生年月日も近い。自称、社長、マジシャン、建築家、教授、警部、そして日向を名乗る鹿谷。
翌朝、影山と見られる死体が発見される。四月なのに季節外れの大雪でやっぱりクローズドサークル状態。指十本が切断された首なし死体。「本当に本人?」
しかも宿泊者は睡眠薬で眠らされてる間に全員鍵付きの仮面をつけられてしまっている!
鹿谷と元兵庫県警の警部らを中心に相談する。フードプロセッサーの中に人間の指らしき物体を発見。電話線も通じない。雪で周辺の人家にも行けない。
しかも館にいる人間たちが登場人物全員が仮面をつけてるという、現実ではありえない状態。こういう状態を読者にリアリティを持つように説明するにはページ数が必要。二段組活字で425ページの大ボリューム。
で、いつものように抜け穴の仕掛け。正直自分はこういうのはどうでもいいけど、これは館シリーズ共通のギミック。これがないと館シリーズではないのかもしれない。ワクワクしない人もいるかもしれない。
これまで読んできた館シリーズはどれもある地点でガラッと見え方が変わってくる新事実とかあるけれど、「奇面館」はそれほど驚けるポイントがなかった。実はこれとこれは同じでこうでした!と後から知らされるという感じ。
今作は死者は一人のみ。犯人もそれほど悪質な感じもしない。今作で語られる男たちの人生もあんまり深みを感じない。
自分としてはシリーズ全作で一番気に入ってない。これを最初に読んではいけない。佐々木琴子は楽しめただろうか?
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