2021年8月12日木曜日

ディクスン・カー「帽子収集狂事件」(1933)

ジョン・ディクスン・カー「帽子収集狂事件」を三角和代訳2011年創元推理文庫版で読む。
THE MAD HATTER MYSTERY by John Dickson Carr 1933
もう自分はあまりカー作品には期待していないのだが、横溝や乱歩が褒めるし、古典的ミステリー作品として有名なので押さえておこうと思って、気が進まないままページをめくっていく。

事件発生後、スコットランドヤードの偉い人とフェル博士が話し合っている場面から始まる。
なにやらロンドンでは帽子を盗まれる事件が頻発し話題になっている。その事件を追いかけていた新聞記者がロンドン塔でクロスボウの矢が刺さった状態で死んでいる。そして資産家伯父の盗まれたシルクハットをかぶってる?

比較的新しい訳だし、もしや?と思いページをめくっているのだが、やっぱり状況がぜんぜん頭に入ってこない文体なところがディクスン・カー。

ポー未発表原稿をめぐって、古書収集家同士の争い?弟夫婦の痴情のもつれ?
ひたすら田舎町屋敷が舞台のクリスティはすごくイメージしやすいのに、カーは古城が舞台になっていて、日本人からするとイメージがし難い。

最後まで読んでも結局いつものカーだった。偶発的事案と勘違いによってややこしいことになった過程はこうでした!という、それほど面白くもない小説。

とくにフェル博士は名探偵としては何も魅力がない。わかった顔して座ってるだけの爺さんでしかない。いちおうラストでどんでん返しがあるだけで傑作とは言えない。

乱歩は初期短編こそ名作だが、人生のほとんどを海外ミステリーを読んで過ごしてた人。乱歩の褒める作品はたいていそれほど面白くない。どこがどう面白いのか説明してほしい。

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