1月2日にNHK総合で江戸時代の画家伊藤若冲を主人公にした時代劇「ライジング若冲」が放送された。
伊藤若冲(1716-1800)についてはここ15年ぐらいの間にだいぶ世間の注目度と認知度が増したような気がする。東京でも展覧会があった気がする。
若冲を演じたのは歌舞伎役者中村七之助。自分はテレビドラマで初めて見る。この人を見て驚いた。本当に江戸時代の人の雰囲気がする。幕末古写真とか見ると日本人は江戸時代から顔が変わってなくて震撼することがある。きっと歌舞伎役者も江戸時代から変わってない。
ドラマは宝暦元年(1751)京四条富小路の屋根の上にいる若者、後の円山応挙(中川大志)が遠眼鏡をのぞきつつスケッチしてるシーンから始まる。応挙は若冲をライバル視。応挙ってこんなキャラだったの?
なお、このドラマには池大雅(大東駿介)も登場。その妻が門脇麦だが、門脇はほとんど登場しない。このドラマはほぼ男だけのドラマ。
ちょっと意味が分からないシーンがあった。若冲は青物問屋の長男なのだが丹波で行方不明?そこに書付を持ったガラの悪そうな山師(キム兄)らが強請りたかりにやってきている。こういうの、江戸時代によくあったことなの?
路上で出会った売茶翁(石橋蓮司)から若冲という雅号を与えられる。売茶翁の勧めで相国寺塔頭の禅僧大典顕常(永山瑛太)を訪ねる。大典顕常は生涯にわたり若冲のプロデューサーでパトロンで友人。相国寺のエリート僧。書画の目利き。
このドラマ、若冲の30代中ごろから、相国寺に「動植綵絵」を奉納する50歳までを描いてる。
これ、放送中から世間がざわざわした。「BLなの?!」このふたりが手を握ったり、抱きしめ合ったりする。見てるときは気づかなかったのだが、若冲と大典顕常、若冲のほうが3つ年上。BLというよりは「おっさんずラブ」。
瑛太が手を置く七之助の手がすごく華奢で真っ白だった。歌舞伎の女形おそるべし。現代人と思えない雰囲気。
作演出は源孝志。ドラマの最後に「この物語は史実に基づきつつもアートの精神にのっとり遊び心のある解釈を加えたドラマです」とある。遊び心?!
ナレーションや台詞が一部漢文調だったのも新鮮。
若冲はこの時代としては長生き。85歳まで絵を描き続けた。天明の京都大火では自宅の画材と多くの作品が焼失してしまったそうだ。それは痛恨。
ドラマでは2019年に発見されたばかりの若冲35歳ごろの作品まで登場。ふたりの出会いのきっかけとして使っていた。
ドラマの終わりに若冲のその後と作品を紹介するパートと合わせて90分の番組。若冲への興味と関心を高めてくれる上質なドラマだった。
なんと1月16日には「完全版」がBSプレミアムで放送。完全版?!
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