2021年1月14日木曜日

完全なるチェックメイト(2015)

「完全なるチェックメイト」という映画があるので見る。監督はエドワード・ズウィック。原案脚本はスティーヴン・ナイト。2015年に日本で公開されたときの配給はGAGA。

英語の原題は「Pawn Sacrifice」という。邦題とまるで違う。チェスに何ら馴染みのない日本人には「完全なるチェックメイト」のほうがどんな映画かわかりやすい。

将棋が完全な日本国内ドメスティックな競技なのに対してチェスは全世界競技。アメリカ人ボビー・フィッシャーとソ連のボリス・スパスキーの対局は1972年当時の世界の関心事。米ソ代理戦争。
クイズオタだった自分はこの二人の名前ぐらいは知っていた。昔ちょこっとチェス入門本ぐらいは読んだことあるけど、もう駒の動かし方も忘れた。

冒頭でふたりの対局を伝える世界のニュース映像。てっきり当時の実際の映像かと思って見てたら、日本のニュース映像が明らかに当時のものじゃない。日本の俳優を使ってそれふうに撮ってる。

変人フィッシャーを演じるのがトビー・マグワイア。部屋に盗聴器がないか乱暴に探してる。子ども時代からの回想が始まる。
ニューヨーク・ブルックリン。母と子。娘と息子。父は行方不明。母はロシア語を話しているコミュニスト?ロシア人コミュニティで過ごしてる。母親は当局から監視されている。
そんなボビー少年はチェスと出会う。独学ながらたちまち天才少年ぶりを発揮する。ほぼほぼ無敵。次の目標は当時世界最強だったソ連のプレーヤーたち。

ブルガリアの大会でスパスキーを目撃。気になる。だが、周囲の些細な騒音を異常に気にするようになる。ソ連は不正を働いていると訴え怒鳴り散らし会場を去る。チェスから引退すると宣言。かなり短気で癇癪持ちだ。

そこに弁護士(マイケル・スタールバーグ)が接近してきてボビーを連盟に戻してくれる。元プレーヤーの神父(ピーター・サースガード)がセコンドについてくれる。
だが、アメリカの連盟は金がなく、米ソ友好のためのカリフォルニアでの対局に備えるホテルの格も劣ってる。
世界3位の相手と対戦してアッサリ勝利。ボビーの要求がソ連みたいにリムジンで会場に行きたい。観客との距離。そして金。とにかく態度と要求がデカい。試合前夜に売春婦と寝てる。で、アッサリとスパスキーに負ける。

ビーチでそのままふて寝。だが、ボビーは再び世界と勝負を始める。弁護士は愛国者としてボビーを世界チャンピオンにするべく動く。(こいつはワシントンと繋がってる?)
ボビーは福音派の教義のテープみたいなものを聴いている。ボビーの姉はボビーからの手紙がどんどん異常になってて心配。ボビーはユダヤ人なのにユダヤ陰謀論妄想に取り憑かれてる。

この映画、チェスプレーヤーの狂気を描いているようでいて軽妙コミカル。テンポがよく見ていてまったく飽きなかった。
ボビーと弁護士のリムジンでの会話とかすごく聴いていて面白い。トビー・マグワイアがずっとキレまくり。自分の要求を通すためにフルスロットルで怒ってる。カメラが多いと空港で逃げ出すとか奇行が過ぎる。

混乱とカオスの対局。そして運命の第6局。緊迫!この手の勝負を描いた映画で一番出来がいいと感じる映画だった。爽快感もあるし味わい深くもある。結果、とても好きな映画。

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