2020年12月26日土曜日

黒島結菜「悲熊」(2020)

12月18~24日にNHKで「悲熊」という5分間全10回の帯ドラマが放送されていた。まとめて2話放送だったり3話放送だったりと不定期だったので時間を確認して予約して見た。

黒島結菜は数年前にもNHKでこんな帯ドラマをやっていた。それにしてもテレビ出演のほとんどがNHKって、これはいったいどういうわけだ?まるでNHK専属女優。
これが、熊の着ぐるみを着たジャ〇ーズ俳優を見て萌えようという20代30代女性をターゲットにした深夜帯ドラマ。正直、自分は何も面白く感じなかった。

社会的弱者と一般市民との間に立って問題を解決しようと、困惑しながら奮闘する親切な栗林さん(黒島)と非熊との交流。あきらかに知的障碍者とケースワーカーの関係みたいなものを描いてる。
このふたりがハンバーガーショップで出会うシーン。見ててぞっとした。社会的弱者やマイノリティーを席で待たせておいて困窮するまで3時間放置するとか、アメリカなら数億円規模の訴訟になる。パソナ竹中は日本に懲罰的損害賠償だけは持ち込まない理由をコメントしてほしい。

ゴミ箱を漁っているところを保護(捕獲)され保健所の檻に入れられ「殺処分か?」という箇所もナチス支配下のユダヤ人やロマ人を連想してぞっとした。

悲熊の勤務先の労務担当者がじつに無表情で淡々と事務をこなす。そこもぞっとした。
頭上から植木鉢が落下してきて頭を直撃してるのにその後の責任の所在がはっきり描かれていないのもぞっとした。すべてをガマンし泣き寝入り。
着ぐるみで可愛らしくほのぼの描いていてもその本質は怖ろしい。むしろ社会の現実にそら恐ろしくなる。

悲熊には選挙権もない。悲熊の「非」という文字がそこだけくっきりと別の意味を持って前面に飛び出て見える。「非」の刻印を押されたものは我慢を強いられる。
たぶん硬派な社会派ドラマは見ないという層に向けてつくられた社会問題啓発ドラマ。たぶん出演者はわかってる。こども視聴者と若い女性視聴者に「くまさん可哀想」と思わせ、数年後にじわじわわからせるドラマ。
けなげでピュアな弱者を限界まで困窮させ我慢させる政権への批判も感じ取った。オブラートで包めば怖くない!w

ドラマ公式サイトに「悲熊で癒されてください!」とあるのもブラックジョークのようでぞっとした。
コロナ禍によって社会の分断がよりはっきりした2020年の最後を飾るにふさわしいドラマだったかもしれない。

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