2020年12月25日金曜日

原田知世「時をかける少女」(1983)

原田知世主演「時をかける少女」(1983 角川春樹事務所)をついに見る。これ、過去に何度か見ようとトライしたのだがいろいろとセンスが合ってなさそうでちゃんと見てなかった。今年、大林宣彦監督の訃報を聞いて追悼も兼ねて。

これが筒井康隆の名作SF小説の最初の映画化。まだ原作は一度も読んだことはないのだが、同じ日常を何度もループする展開の元祖なことは知ってる。

冒頭からセンスが古くて受け付けない。1983年ってこんなに古臭いの?なんか70年代の雰囲気。夜のスキー場をモノクロ映像で撮ってる。じつは未来人の深町くんがぬるっとインしてくるシーン。

会話セリフがヘンテコだし主要キャストの演技が今の水準から見ると下手。とくに原田知世さんの声質とセリフ回しが「なんで?」っていうぐらい古風。大林監督の演出のせい?今こんな喋り方をする人はいない。

オープニングのメインテーマが松任谷正隆。どこか強いノスタルジーを感じる音楽。

今ではすっかりおじいさんの岸部一徳せんせいが若い。授業シーンがヘンテコ感が強い。
唯一許容できるレベルにある演技をしてるのが尾美としのり。ほぼ現在と同じような感じ。
尾道の町並みがすごく昔に見える。まるで大正時代。金田一さんが歩いていそうな町。瓦屋根と土壁の家はもうそんなに残ってないのかもしれない。夜の町のシーンがすごく真っ暗。この40年の間に日本社会は大きく変貌した。古い町並みがフィルムに残ったことは貴重。
吾朗の実家が小規模な醤油蔵。母親が着物姿だ。すごく古風。
深町くんの両親が上原謙と入江たか子。すごく昔の俳優というイメージ。

この時代の女子は体育の授業でブルマ姿だ。よくこんな格好で男女一緒に授業やってる。
ヒロイン芳山和子は弓道部なのだがバレー部といっしょにグラウンドで練習やってる。80年代ってそんななの?

深町くん役の高柳良一がとんでもなく棒。現代の水準ではこのレベルの子に主要キャストはとてもまかせられない。
いい若いもんが植物採集にいくとか、今ならすごく不審w そんな趣味ってある?
急に「桃クリ三年~♪」って歌い始めるシーンとか超絶ヘンテコ。かんべんしてくれって思った。

いきなり「もっと強く抱いて」も違和感。なんでそんな急展開?
崖での会話シーンがすっごくギクシャクしてる。「土曜日のじっけんしつーー!」の台詞が頭から離れないw
その後のコマ送りスライドショーとかとにかく古臭い。クライマックスシーンの説明セリフがしつこく長い。
この映画は原田知世を見るためのアイドル映画。まあ可愛らしいっちゃ可愛らしいけど、ヘアスタイルがすごくもっさい。とてつもなく純朴田舎少女。
原田のクラスメート役の女の子が気になったので調べてみたら、この人はこの映画後すぐに芸能界引退したようだ。

最初のオリジナルという点で偉大だが、大林監督の偉大さはわからなかった。
原田がすっと起き上がってカメラ目線で主題歌を歌い始めるエンドロールは嫌いじゃない。その点では正しいアイドル映画。

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