2020年12月13日日曜日

宮崎あおい「世界から猫が消えたなら」(2016)

「世界から猫が消えたなら」(2016 東宝)を今になってやっと見る。川村元気の原作小説を映画化したもの。
監督は永井聡。脚本は岡田恵和。市川南と山内章弘プロデューサーの東宝映画。宮崎あおいが出てるので見る。

地方都市で過ごす平凡な映画好き青年佐藤健はとつぜん頭痛でぶっ倒れる。悪性脳腫瘍でもういつ死んでもおかしくないと告げられる。医者から告知される場面がリアルな反応でいいなと思ってたら妄想オチで1回スカす。

家に帰ると自分の部屋に自分がいる。なにこれ?
で、自分から「明日死ぬ」と教えられる。死なないで済む方法を教えられる。この世界から何かひとつ消すごとに寿命が延びるという。こいつ悪魔? 
悪魔佐藤の提案でひとつづつ世界から何か消えていく。ドラえもん「もしもボックス」的世界観ファンタジーか?

世界からケータイ電話がなくなるとしたら、その前に最後に電話したい相手は誰か?この主人公が電話したのが宮崎あおい。モトカノとの久しぶりの再会。「もっと他に電話するべき人がいないの?」
宮崎あおいは最初の登場シーンから映画女優としてのオーラを感じる存在感。
このふたりの出会いは間違い電話?たまたま居間で見ていた映画の件で話が合う。しかも同じ大学。何度かデートして別れた間柄。

宮崎は佐藤のたとえ話につきあって話を合わせる。「電話はなくなってほしくないな」
ここで佐藤は宮崎に自分の死が近いことを告げる。「そうなんだ…」

ケータイと電話が突然消えて街の様子が変わっていくシーンはSFっぽい。電話のない世界では当然宮崎は佐藤を何も覚えていない。
でも、電話がないと何か仕事や物資を注文することすらできないわけだから、街の風景はもっと全く違ったものになるのでは?

今度は映画の消えた世界。DVDを貸してくれる友人濱田岳との出会いと想い出。こいつとの記憶もすべて消える。人との想い出はモノが仲介している。どこか哲学っぽい。
映画がなくなればテレビは一体何を映してる?
そしてブエノスアイレス。佐藤と宮崎の旅の想い出。放浪する日本人青年との想い出。そして死。
人が死んでも世界は変わっていない…というエピソード。なんか、どんどん深い話になっていく。

てっきり愛猫家むけ映画かと思ったら違った。死生観哲学SFだった。人によっては感動作かもしれないが自分は暗い気分になった。

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