2020年11月23日月曜日

ディクスン・カー「蠟人形館の殺人」(1932)

ジョン・ディクスン・カー「蠟人形館の殺人」を読む。もうカーはどれを読んでも面白いものに出会えないことがほぼわかってるけど、一昨年秋に買っておいた本があるので読んでおく。2012年創元推理文庫の和爾桃子新訳の第2刷。100円でゲット。
THE CORPSE IN THE WAXWORKS (THE WAXWORKS MURDER) by John Dickson Carr 1932
アンリ・バンコラン予審判事が活躍する長編第4作目。1932年のパリが舞台なのだが、おそらく、登場人物紳士たちはこの文庫表紙のような服装。

パリの怪しい通りにあるオーギュスタン蠟人形館に入っていく姿が婚約者に目撃されたオデット嬢(元閣僚の令嬢)は館から出る姿は目撃されなかったのだが後日、高いところから落下し刺し傷がある状態でセーヌ川に浮かんだ。

この物語の語り手である「私」はバンコラン判事と一緒に蠟人形館を調査。この館を切り盛りする娘の言う事が要領を得ない。そうこうしてるうちに被害者オデット嬢の友人マルテル嬢が刺殺体となって、怪物サテュロス蠟人形に抱きかかえられている状態で発見。

これ、ほかのカー作品に比べれば読みやすい。それほどややこしいこともない。読んでてやっぱりそれほど面白い感じはしない。
「私」はバンコランの指示で蠟人形館の隣の秘密の社交倶楽部に潜入捜査し殺されかける。瀕死の重傷。江戸川乱歩のような展開っぽい。

この第4作はバンコラン長編では一番評価が高いようだが、それはマルテル嬢殺害犯が意外だからだと思う。この真犯人は誰も当てられない。推理作家はやろうと思えば誰であっても真犯人にすることができる。まったく容疑者に挙がってない人物が真犯人でしたってどうなの?

バンコランの真犯人への自決を迫る脅迫電話のくだりが酷すぎる。1930年代なので仕方ないかもしれない。時代を感じる。

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