「花戦さ」(2017 東映)という映画が天正年間の京・頂法寺の花僧池坊専好(1536-1621)を描いているというので見る。桃山の文化人たちを描いた映画はあまりない。
主演は野村萬斎なのでいくぶんユーモアの強い映画だろうと予想。監督は篠原哲雄。
専好は河原の野ざらし死体を回向などしている。師匠と兄弟子の勧めによって織田信長(中井貴一)の岐阜へ行き松を生けることになる。
前田利家(佐々木蔵之介)以下、みんな信長にビビってる。
千利休(佐藤浩市)も池坊の活けた松を褒める。だが、信長の目の前で松の枝が折れ落ちる。秀吉(市川猿之助)が機転を利かせてその場の雰囲気をなんとか和らげる。
時代はあっという間に秀吉の時代。京都は活気を取り戻している。池坊専好はすでに時代の人。
映画オリジナルヒロインとして森川葵登場。河原で盗人から髪を切り取られている野ざらし死体として登場。だが、生きていた!予告編を見たとき「現代っぽいヘアスタイル!?」って思った。そういうわけだったのか。
専好はこの娘を保護。だが、ショックで何もしゃべらない。だが突然襖に墨で画を描いたりする。何者だ?この森川が清楚で可憐だ。
野村萬斎の専好がユニーク。映画予告では「けったいな」で通してる。利休に茶室に呼ばれてから花の勢いを取り戻す。みんなが専好の生け花に感心。
秀吉の茶会で黄金の茶室よりも専好の華やかな花が大評判。秀吉は機嫌を損ねる。そして利休と秀吉の関係悪化。専好が説得しても利休は秀吉に謝罪しない…。そして利休の切腹とさらし首。
専好と吉右衛門(高橋克実)は花の力を借りて利休の四十九日を弔う。
石田三成(吉田栄作)は告げ口するだけの嫌なやつ。だが秀吉は捨て置く。
秀吉は幼い息子鶴松を亡くす。しょんぼり。利休の呪い?!秀吉はさらに残虐に狂う。サル呼ばわりした幼い女児、秀吉を揶揄する歌を詠んだもの、みんな捕えて斬首さらし首。
(さらし首の頭の上のほうだけしか映さないのでグロくない)
れんも自殺。吉右衛門も斬られる。専好「仏はどこにいる?」と絶望。
こういう命令をする方も実行するほうも悪い。豊臣家は呪われて滅んで当然。
そして専好は花の力によって秀吉を諫めようと命を棄てる覚悟で戦う。(のぼうの城みたいになってきた)
そして秀吉と「どの花が好きか?」問答のクライマックスへ。松の生け花が素人目に見てもかなり豪華で本気を感じた。
みんなで笑って済ませよう。このへんは日本映画っぽい。なんだこのラスト。ポスターにある「秀吉ギャフン」はまったく言い過ぎ。
史実性の薄いフィクションで、人によってはつまらない映画かもしれない。野村萬斎の顔芸演技がニガテという人も多いかもしれない。しかし、それはポスターや予告編やビジュアルを見れば予測のつくこと。
自分はわりと興味深く楽しく見れたということは断わっておく。
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