2021年1月31日日曜日

柴咲コウ「青天の霹靂」(2014)

劇団ひとりが原作を書いて監督した「青天の霹靂」(2014 東宝)を今になってやっと見る。製作は川村元気。劇団ひとりはこの本と映画で相当にお金が入ったに違いない。

かなり冴えない生活をしてるマジシャン大泉洋の独白で始まる。なんかこのシーンから文学の香りがする。いい映画の雰囲気がある。
とかく世間は世知辛い。テレビに出て売れ始めた後輩マジシャンにはなめられ、ボロアパートは水漏れ。
そして長年会ってなかったホームレス父は河原で野垂れ死に。冴えない人間の父親も冴えない人生の終わり。「生きるって難しいなあ…」涙を流す。

そこに突然雷が落ちて1973年にタイムスリップ。このロケ地の河原は昔自転車で行ったことがある。鉄橋の写真を撮ったりした。
街並みがすっかり高度経済成長の昭和そのもの。この辺の街の作り込みがよくできてて感心。とりあえず30円で牛乳でも飲むしかない。

もうあんな惨めな現代にはもう戻りたくない。浅草の演芸場へ行って風間杜夫支配人に手品を見てもらう。やることがテーブルマジック。それ、ステージに向いてんのか?この主人公はしゃべりが下手。インド人としてステージで手品をするようになる。スプーンを曲げて折る手品をまだ誰も見たことがなかったために大ウケ。

そこに柴咲コウが現れる。この柴咲が登場した瞬間から美人。チャイナドレスでも体調悪そうでも美人。
柴咲はチンという男と暮らしてた。チンが逮捕されたので大泉は柴咲に代わって身柄を引き受けにいく。このチンが劇団ひとり。大泉は一目見て父親であることを知る。柴咲の体調が悪かった理由はつわり…。それってつまり、お腹の子は自分?!

大泉と劇団ひとりはステージでコンビを組むことになる。ひとりの中国人芸が発揮される。インド人と中国人がケンカしながら手品を見せる芸を開発。中印国境紛争だ。これがウケ始める。劇場は満員になり笑いにつつまれる。

柴咲の妊娠は危険な妊娠だった。子どもを産むと死んでしまう?!どうせこどもの将来はろくでもない。大泉はひとりに子どもをおろすように言う。殴られる。ひとりは芸能の道からラブホテルの客室清掃へ。

息子と父の会話。母がいない理由が教えられてたのと違う。真相を知る。
出産のその時、大泉は本格的なマジックで最終オーディションのステージに立つ。

涙をさそう人情噺。それほど驚きはないのだが、ところどころで感心する。土手での父親とのシーンはハッとしたしとてもよく出来ていて感心した。生きることに絶望した男は父に「ありがとう」と伝える。
劇団ひとりのどこにこれほどの作品を生み出す素養があったのか?89点は与えられる。

主題歌 Mr.Children「放たれる」

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